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2018年12月07日 14:41

市民10人が日欧EPA批准に抗議 雨の国会前

議場に向かって拳を突き上げる市民
(2018年12月6日筆者撮影)

 欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)の承認案が6日午後、参院外交防衛委員会で可決・承認された。審議中、議場の外では雨の中、市民約10人が「生活壊すEPA」は要らないなどと抗議の声を挙げ続けた。

 抗議集会は「TPPプラスを許さない、全国共同行動」が急きょ呼び掛けた。市民は同委員会が始まる午前10時から、参院議員会館前に集まっていた。悪法案が目白押しの会期末だけに、国会周辺では別の抗議集会も開かれている。

 国会が休憩に入った正午、呼び掛け人の1人、山田正彦元農水相が土砂降りの中、マイクを取る。

 「我々は8年間、反TPP(環太平洋経済連携協定)の運動を続けてきた。この協定が水道法改正、種苗法改正、入管法改正、漁業法改正のすべてに関わっている。日欧EPAは非関税障壁においては、TPP以上のものがある。どんなことがあっても、抗議の声を挙げなければ」と訴えた。

 横浜市内で造園業を営む男性(57)にマイクが渡される。「昨夜、山田先生のホームページを見て、いてもたってもいられなくなってきた。営利目的をまったく感じない。私は趣味で自然栽培をしているが、大規模農家は遺伝子組み換えに変えないとやっていけないのではないか」と危機感を吐露した。

 参加者は冷たい雨に打たれながら、審議の続く参院の建物に向かって、「農業つぶすEPAはいらない」「生活壊すEPAはいらない」「審議を尽くせ」「強行採決するな」などとシュプレヒコールを繰り返した。

 正午すぎ、厚生労働委員会に出席する福島瑞穂議員が、衆院第二議員会館前の入管法改正抗議集会(主催・総がかり行動実行委員会)で演説した後、通りかかった。勧められるまま、マイクを取る。

 「水道法改悪は外資、大企業に運営権を売り飛ばすもの。漁業法改悪は、漁業を企業に売り飛ばすもの」と口火を切った。

 福島氏は11月29日の同委員会で、仏ヴェオリア社の日本法人から内閣府民間資金等活用事業推進室(PPP/PFI推進室)に出向職員が勤務している問題を取り上げている。

 「一昨日も水道法について質問した。TPP協定に基づいて外資系企業が投資紛争処理で(日本の政府機関を)訴えることはないといえるかと。すると、政府側は『当事者がお決めになること』と答えた。つまり、ベルリンもパリも莫大なお金を払って再公営化しているように、日本の政府も強大なリスクを免れない」

 そのうえで福島氏は、「ただし、自治体の議会が賛成しなければ、(運営権の)売却はできない。議会も頑張れ、みんなも声を挙げよう」と鼓舞した。

 午後1時、委員会審議が再開される。小西洋之(立憲)氏や井上哲士(共産)氏らが反対討論を述べる。午後1時半すぎ、採決が行われ、日欧EPA承認案と日欧戦略的パートナー協定の承認案が賛成多数で可決・承認。審議を傍聴した2人が報告に立った。

 その1人、農民運動全国連合会(農民連)の坂本一石さん(38)は「審議時間が圧倒的に短い。乳製品は関税率を変更した場合の試算がEU側と大幅に違う。輸入実体のデータが示されず、何を根拠に税率が決めたのか、示されないまま。国は『万全の対策』というが、不安が残る」と怒りを抑えた様子だった。

 EU側はEPAで乳製品の対日輸出が約938億円増大すると試算しているが、農水省は同製品の生産減少額は最大でも約203億円と試算。小里泰弘副大臣は「前提条件、分析手法によってさまざまな結果が出る」と回答を避けている。

 抗議の最中、衆院第二議員会館前では「総がかり」に代わって横田めぐみさん救出を主張する団体が横断幕をもって現れた。テレビカメラの放列が続く。一方、日欧EPA抗議を取材するマスコミはなかった。それどころか、国会中継も一切なかった。

 同EPA承認案の審議は、衆参合わせて10時間に満たない。政府・自民党は2月1日の発効に向け、会期末の10日までに可決・承認する方針だ。

<プロフィール>
高橋 清隆(たかはし・きよたか)

1964年新潟県生まれ。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)、『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)、『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)。ブログ『高橋清隆の文書館』。

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