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2018年12月10日 16:23

豊洲市場の「闇」に光差す!東京高裁「抗告許可」決定(前)~技術専門家が解説

 豊洲市場水産仲卸売場棟の構造計算偽装(設計:日建設計)をめぐる裁判において、仮の使用禁止申立に関して、5日、東京高裁は「抗告許可」を決定した。東京地裁、東京高裁で却下されていた申立が、最高裁において審理されることなった。ここまでの経緯や今後の見通しについて、この裁判における原告の仲卸業者らに対して、建築構造の技術面でアドバイスを行っている構造設計一級建築士の仲盛昭二氏に話を聞いた。

 ――東京高裁の「抗告許可」決定について、これまでの振り返りと合わせて教えてください。

 仲盛 この裁判は、東京豊洲市場の設計を行った日建設計が 水産仲卸売場棟の構造計算において保有水平耐力計算の係数(構造特性係数)を偽装するなど不適切な設計を行い、東京都もこの偽装を見抜けずに計画通知を交付したため、建築基準法令に適合しない建物が建設されたものです。安全を確認できない建物への移転および操業を受け入れない仲卸業者の代表5者は、施設の除却命令の東京都への義務付けを求める訴訟と同施設の使用禁止を求める仮の義務付けの申立を並行して提起していました。

 「除却命令義務付け訴訟」については現在、東京地裁において審理が進められています。「仮の義務付け申立」は仮処分に相当しますので本裁判に先駆けて、東京地裁は本年10月5日「申立人(仲卸業者)の申立の却下」を決定し、その後、申立人は抗告しましたが、東京高裁は本年11月7日「抗告の棄却」を決定しました。

 東京地裁の決定は、豊洲市場の設計上の問題点(建築基準法令違反)に踏み込まず、「行政の長たる東京都知事は、施設の所有者・管理者である東京都知事に対して使用禁止の要請をする必要はない」という入り口論争のみを理由とした無責任な決定です。事件の本質を避けた逃げの決定と言っても過言ではありません。

 申立に対する東京地裁・東京高裁の決定を不服とした申立人(仲卸業者)は最高裁に「特別抗告」申し立てていましたが、東京高裁は12月5日付けで抗告の許可を決定しました。
(一連の流れは表参照)

 ――この「抗告の許可の決定」は、本裁判に影響しますか。

 仲盛 もちろん、入り口論争で封じ込まれようとした事件に大きな風穴を開けたことになります。この事件で申立人・原告(仲卸業者)の代理人である武内更一弁護士は、今回の高裁の決定について以下のように説明をしてくれました。

 武内更一弁護士「東京高裁に提出した最高裁宛の「特別抗告」と高裁の担当部宛の「抗告許可申立」のうち、「抗告許可申立」につき「許可する」との決定が高裁から出ました。この制度は、高裁決定を出した担当部に最高裁への抗告の許可を求めるもので、本件については、高裁の裁判官も、民訴法337条2項の「法令の解釈に関する重要な事項を含む」と認めざるをえず、最高裁への抗告を認めました。それ自体、かなり稀有なことです。

 「特別抗告」の方は当然、最高裁に送られるのですが、最高裁は「憲法違反」の主張だとはなかなか認めないので、適法な抗告ではないと言って形式判断で棄却することが多いのですが、上記高裁の「抗告許可」の決定があれば、最高裁としても判断をすると思いますので、本件通知・要請につき「処分性」(行政訴訟の対象になること)を認めるか否かにつき、明示的に判断することになると思います」。

 ――東京都の対応を見ると、建築基準法令違反の建物を設計した日建設計を庇っているようにも映ります。

豊洲市場

 仲盛 東京都が所有している建築物は都民の財産です。しかし、東京都は「都民の財産」という認識を一切持っていないと思います。だからこそ、計画通知の審査で構造計算の偽装を見逃したことを隠ぺいするために日建設計を庇っているのです。日建設計は、東京都発注の建築物を数十年にわたり何件も受注してきました。設計事務所のなかでも最も東京都とのつながりが深い会社です。この関係からも東京都は日建設計を庇う必要があるのです。恐らく、東京都も日建設計も、“裁判所の力を借りて” この重大な局面を乗り切れると考えていたのではないかと 私は推測します。

(つづく)

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