これまでの渋谷、これからの渋谷。 「100年に一度の再開発」を期に「世界のSHIBUYA」へ(後)
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東京急行電鉄(株)
都市創造本部渋谷戦略事業部 副事業部長
太田 雅文 氏――そういえばリオ五輪の際には、閉会式で渋谷が登場しましたね。
太田 16年のリオ五輪閉会式で、マリオがリオまで土管を通って現れたと思ったら安倍晋三首相だったという演出ですが、この最初の舞台は、渋谷スクランブル交差点です。ハロウィン、カウントダウンイベント、ワールドカップなどでも必ず渋谷が舞台になり、「世界的な都市SHIBUYA」として世界中に発信されています。
――渋谷のこれからは、単なる若者の街だけにとどまらないですね。
太田 これまでは「若者の街」としてのイメージが強かったですが、実は、渋谷はIT企業の設立数が日本一多く、クリエイティブコンテンツ産業が集積している街でもあります。Google(同)が「渋谷ストリーム」に、19年秋に開業予定の「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)」には、サイバーエージェントの広告事業を中心とした部門およびグループ会社とmixi本社が入居予定で、今後、さらにその側面が強まります。
そして、新たなイノベーションの創出・クリエイティブ人材の育成の場として、「渋谷スクランブルスクエア」の運営者「渋谷スクランブルスクエア(株)」(東急電鉄、JR東日本、東京メトロが共同で設立)は、東棟15階に誕生する産業交流施設「SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)」において、東京大学、東京工業大学、慶應義塾大学、早稲田大学、東京都市大学の5大学と連携します。大学に集積された“知”や、渋谷ならではの多種多様な人たちや民間企業が交流し、社会課題解決に向けた取り組みや情報モビリティなどの分野においての社会実装を行います。
イノベーションを囲い込むのではなく、オープンイノベーションフィールドとして渋谷は成長していきます。沿線も含めて、さまざまな実験を行っていきたいと考えています。
「渋谷駅桜丘口地区」は23年度に竣工予定
――これからの工事の案件は。
太田 東急不動産が主体となるプロジェクトで、19年秋に竣工予定の旧東急プラザ跡地を含む開発の「道玄坂一丁目駅前地区」、23年度竣工予定の「渋谷駅桜丘口地区」。そして27年度開業予定の「渋谷スクランブルスクエア 第Ⅱ期(中央棟・西棟)」と続いていきます。
――スタートアップとの協業も進んでいますね。
太田 東急線沿線エリアを中心とした外国人観光客誘客強化のため、日本人ガイドと外国人観光客をつなぐガイドマッチングサイト「TOMODACHI GUIDE」を運営しているHuber.と資本業務提携契約を締結しました。今は、沿線の居酒屋でも外国人のお客さまが増えました。インバウンド戦略においては、東急線沿線にも大きな観光資源があり、観光振興を推進しています。
――開業したばかりの「渋谷ストリーム」について、お聞かせください。
太田 「渋谷ストリーム」は商業ゾーン、177室のシティホテル「渋谷ストリームエクセルホテル東急」、オフィス、ホールで構成されています。Googleの本社機能もここに移転予定です。商業ゾーンには飲食店舗約30店舗が出店し、街とのつながりにも凝っています。渋谷川が隣にありますので、水の音を聞きながら食事ができる店舗もあります。4階には、サイクルカフェおよびアクティビティーコート「 TORQUE(トルク) SPICE & HERB, TABLE & COURT 」が12月にオープンします。アクティビティーコートでは、自転車関連のイベントはもちろん、映像やスポーツなどさまざまなイベントの実施を予定しており、フットサルを始めとした各種イベントのスペースレンタルにも対応いたします。
「Greater SHIBUYA」広域渋谷圏構想が本格化へ
――最後に、東急グループで取り組む「Greater SHIBUYA(広域渋谷圏)」構想の方向性と具体的なプロジェクトについて、お聞かせください。
太田 「Greater SHIBUYA」構想には、これから力を入れてまいります。渋谷という街自体は、それほど大きくはありません。しかし、渋谷駅から半径2.5km圏内には、青山、表参道、原宿、松濤、池尻、中目黒、代官山、恵比寿、広尾など、個性豊かな街が徒歩圏で結ばれています。これらの街と渋谷がつながることによって、広域渋谷圏全体の価値を向上させることができないかと検討しています。また、新国立競技場、NHKのほか、学術機関では東京大学、青山学院大学なども存在しています。この恵まれた環境を生かし、渋谷を中心とした持続的な成長をつくり出していく取り組みとして「Greater SHIBUYA」構想を本格化していきます。
18年9月に渋谷駅南側で「渋谷ストリーム」と「渋谷ブリッジ」が開業し、官民連携で渋谷川沿いの遊歩道が整備されたことで、渋谷~代官山方面への人の流れが生まれました。それまでは、渋谷から原宿、表参道、青山が中心でしたが、渋谷を中心とした人の流れをさらに拡大していきたいと考えています。
東急グループは、“ハコモノ”をつくるだけではなく、街や企業と連携して、さまざまなイベントを誘致、開催をして、いつ何度来ても楽しい「エンタテイメントシティSHIBUYA」を目指していきます。
(了)
【長井 雄一朗】
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