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2019年01月11日 12:07

【若手経営者インタビュー】最後まで生き残る「輸入合板専門商社」を目指す

輸入合板販売などを手がける高千穂(株)。昨年3月、先代社長の川井田豊氏の逝去に伴い、豊氏の三男佳遠(よしひろ)氏が社長に就任。一昨年前には四男佳陽(よしあき)氏が専務として経営に加わった。近年、国の支援を受ける国産合板に押され、輸入量が減少しているラワン合板だが、佳遠社長は、「輸入合板専門商社」として、あくまで輸入合板にこだわる考えだ。「後継ぎたち」は、輸入合板ビジネスにどのような活路を見出していくのか。率直な思いを語ってもらった。(聞き手:児玉直・弊社代表)

輸入合板ビジネスに吹き荒れる逆風

――新たな年を迎え、若い経営者として、今後高千穂(株)をどう発展させていくお考えですか。

川井田佳遠・高千穂(株)代表取締役社長

川井田社長 正直に言って、我が社のビジネスを取り巻く環境は逆風です。合板の取扱量は、昔は輸入合板のほうが多かったのですが、2年前の2016年、国産合板が輸入合板を21年ぶりに追い抜きました。それ以降も国産合板の割合は少しずつですが増えています。国が国産材の使用を推奨しているのも一因ですが、何より国産のスギやヒノキは、国際的に見ても単価が安く、価格競争力が高いからです。

 例えば、住宅に使われる構造用合板は、昔はラワン材を用いた輸入合板を使っていましたが、現在はほとんどが国産の針葉樹合板に切り替わっています。現状の価格を比較して見ると、国産の構造用合板のほうが3割程度安いでしょうか。

 一方、最近のマレーシアでは、木を伐れる場所が山の奥地ばかりになってくるなど、伐採、輸送にかかるコストも上昇しています。他にも人件費、伐採税が上がるなど、様々な要因から輸入合板の価格は、乱高下しながらも、緩やかに上昇している状況です。

――そこまで状況が変わったのですか。

川井田社長 ええ、だいぶ様変わりしていますね。

輸入合板の「最後の1社になるしかない」

――国産合板には、「国産」という大義名分がある。「さあ、どうする」というところですね。

川井田社長 もちろん価格が全てではありませんし、大事なのは、モノの価値がその価格に見合うかどうかです。ラワン材にはラワン材の良さがあります。見た目が美しく、強く、加工しやすい。具体的なことはオープンにできませんが、マレーシアやインドネシアのメーカーに対しては、ラワン材の特性を活かした新商品の開発について技術的な提案を随時行っています。

――企業として生き残る「適応能力」をどう研ぎ澄ますかですね。

川井田社長 輸入合板ではなく、国産合板に切り替えるという選択肢もありますが、その場合、企業として競争力を持つためには、我々もメーカーになるしかありません。原木を買って、製材からやる必要があります。しかし、私はメーカーになる考えはありません。あくまでも輸入商社として、海外の仕入先と協力しながら新しい物を創り出し、輸入業に徹していくことが我々の土俵であり、そこで勝負する考えです。

 輸入合板の博多港への入港量は、10数年前に比べ、3-4割程度減っています。取り扱う商社の数も減っています。ただ、この間、当社の取り扱い量は変わっていません。相対的には、当社の輸入合板のシェアは大きくなっていると言えます。

 当社には、1万4千坪の敷地に2万m3保管可能な保税倉庫があり、常に豊富な在庫を持てる、自社便での配送により、小ロット化していく顧客の注文に柔軟に対応できる、このような強みがあり、それらを顧客に評価していただいているからだと考えています。今後も輸入合板を取り扱う「最後の1社になるしかない」と決意していますし、「なれる」と思っています。

――苦労していますね。塗装工場はどうするんですか。

川井田社長 すでに自社工場での塗装合板の生産は特殊品のみとなっていましたが、それも今年(2018年)で完全にやめ、全てを海外へのOEMに切り替えます。そのぶん倉庫スペースも増え、固定費も削減できるので、かえって柔軟性がでて、貿易商社としての機能をさらに強化できると考えています。

 現在、博多港を含む全国の港において、輸入合板を取り扱う倉庫会社も年々減ってきており合板を保管するスペースが不足しているため、荷物を降ろせない輸入船が港で滞船している、という状況が増えています。当社には広いスペースもあり、倉庫作業はすべて内製化しておりコンテナにも対応できるので、これからは倉庫業にもチャンスがあると見ています。

顧客の「宿題」に応えて、生き残る

――適応能力を活かしていますね。先代が残した財産をうまく活用しようとしているじゃないですか。

川井田社長 そうですね。先代が残してくれた倉庫、運送会社、輸入に関するノウハウをフルに活用しながらやっていくことが、1番リスクが少ないと考えています。昔は、1回の注文で大型トラック満載の荷物を1カ所に降ろすのが当たり前だったのですが、今は極力在庫を持たない顧客が増え、注文数量も小ロット化したため、1度の配送で4〜5カ所降ろしが当たり前です。最近のネット通販に象徴されるように、「小ロットでも同じ価格。そうじゃなきゃ買わないよ」という市場になってきています。当社には幸い、自社の運送会社があるので、そのようなニーズにも応える態勢があります。

――ビジネスは進化させないと、経営者としての強さが身につきませんよ。

川井田社長 進化と言えるかわかりませんが、お客様が「宿題」をくれますので、常にそれに対応していくことを心がけています。

――高千穂(株)の伝統を踏まえた上での方向転換ですね。正しいと思います。ただ、川井田社長はまだ若いから、もういっぺんぐらい業態チェンジのタイミングが来るかも?

佳遠社長(左)と佳陽専務

川井田社長 それは「毎日来る」と思っていますよ。日々小さな変化がありますし、それに対応することでしか生き残っていけると思っていません。
しかし先代が亡くなった今、私のやるべきことはドラスチックな変革ではなく、まずは社内の地盤を再強化することだと思っています。社内体制を今一度見直し、さらに骨太な組織にする。基本を見つめ直すことです。

 当社は既にメーカーではないので、モノ自体に付加価値をつくることはできません。しかし当社のインフラを最大限に活用し「お客様に信頼してもらえるサービス」を提供することで、付加価値を創造できれば、と思っています。

――それが商売の原点ですよ。これからは「合板商社」に特化していくわけですね?

川井田社長 そうですね。ここ数年は実質的には合板商社だったわけですが、完全に「合板専門商社」へシフトするということです。

――川井田専務には支えてもらっていますか?

川井田社長 社内業務の効率化、販管費の削減等を中心に動いてもらっていますが、だいぶ支えてもらっています。

川井田専務 会社に入ってまだ1年なので、会社の歯車としては「まだまだ」だという感じがしています。

<COMPANY  INFORMATION>
代表:川井田 佳遠
所在地:福岡県糟屋郡宇美町宇美3351−3 早見工業団地内
設立:1957年3月
資本金:6100万円
前期売上:約30億円
従業員数:16名

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