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2019年01月19日 07:01

ドラッグストア業界が挑む「食と健康」市場創造戦略~製配販連携で10兆円産業目指す(後)

新しいカテゴリーに新しい市場が創造される

 2回目となる今回の実証実験は、19年2〜3月に行うが、前回の実証実験について、ここで振り返っておこう。

 「食と健康」による市場創造を目指し、JACDSは昨年、11月、12月の2カ月間、横浜市港北区のDgS2店舗(フィットケア・エキスプレスセンター南店、ハックドラッグ港北東急SC店)の協力を得て、実証実験ならびに研究を実施した。研究で得たデータを踏まえて、2回目の実証実験を規模拡大して行う。「新しいカテゴリーに新しい市場が創造される」といわれるが、これは市場創造の大原則でもある。

 「食と健康」実証実験の基本的な考え方は、DgSが「食と健康」相談で、医薬品との相互作用まで含めて対応できる「地域の健康プラットフォーム」を目指そうというもの。スーパーやコンビニではできないDgSだからこそできる新機能をもち、「毎日のバランスの良い食事が基本」をベースに、不足する栄養素の摂取など、健康意識を高めるアドバイスを管理栄養士が行う。

 「食と健康」実証実験は、19年3月に行う「第20回JAPANドラッグストアショー」との連携で行うもので、展示会場では、「食と運動に関する測定」と、「健康相談」の実施、「食と健康」の棚割り提案などを紹介する。「食と健康」のブースでは、日本栄養士会、栄養大学と連携して、管理栄養士によるアドバイスも実施する計画だ。

在宅介護事業を視野に管理栄養士を大量採用

 実証実験の実施計画案では、以下の項目が検討されている。(1)売場づくり(表示・POP・陳列など)、(2)販売促進ツール(新聞チラシ・ポスター・パンフ・など)、(3)試飲・試食会の開催、(4)タッチパネル・モニターの設置、(5)地域包括支援センターとの連携、(6)市民健康セミナー、(7)マネキンの配置(特定日に配置)、(8)ペッパー(ロボット)の配置、(9)コンシェルジュマスター制度への協力、(10)在宅調剤との連携・調整、⑪地域薬局との連携、調整―など。

 現在、DgS業界では、生鮮食品を含めた食品カテゴリーの取り扱いや、在宅介護への取り組みなどで、管理栄養士の大量採用が続いている。在宅介護事業を視野に、400店舗以上で在宅に取り組んでいるスギ薬局では、17年を「管理栄養士活用元年」とし、「健康寿命延伸」に寄与するため、食事や運動などの市場を見据えた提携・M&Aも視野に入れる。同社の管理栄養士は約400人。

 JACDSによると、DgS業界全体で管理栄養士資格をもつ従業員は、推計1万人~1万2,000人といわれる。しかし、店頭で専門職としてその職能を発揮しているのは、一握りにしか過ぎない。

 JACDSでは、25年までに管理栄養士を10万人まで増員する計画だ。そのために、栄養士や管理栄養士の職能団体である「日本栄養士会」との協力関係を構築するための話し合いを始めている。関係構築を通じ、今回開かれた「食と健康」市場創造プロジェクト第1回製配販合同会議には、日本栄養士会の迫和子専務理事が出席、DgSでの管理栄養士の役割と職能発揮について意見を述べた。

健康ハブSと栄養ケアSの連携で新たな「ビジネスモデル」構築を

 迫氏は、今年11月に開催されたドラッグストアMD研究会・健康食品市場創造研究会「合同研究会」主催の「第4回成長戦略最新情報セミナー」で、「ドラッグストアに期待する管理栄養士の活用法」について講演し、協業を呼びかけている。

 迫氏は、家族力の低下(少人数・独居) 、地域社会の衰退、経済格差の増大、情報の混乱などが、食の外部化・孤食・栄養情報の氾濫・食の簡素化など、生活者の食生活に大きな影響を与えていると指摘。特定成分の過剰摂取や栄養バランスの偏りによる健康障害を防止することが必要としたうえで、「食生活の自立に向けた食育の必要性」を訴えた。

 そして、DgS業界が目指す「健康ハブステーション」と日本栄養士会が推進する「栄養ケアステーション」の連携により、新たな「ビジネスモデル」の構築が必要と強調した。

 超高齢化の進展により、生活者の食の多様化が進むなか、DgS業界と栄養の専門家集団である日本栄養士会との連携は、時宜にかなったことといえるだろう。DgS業界は、他業態がうらやむほどの成長を持続しているが、これとて盤石ではない。将来に向け次世代の業態づくりに突き進むDgS業界の新機軸ともいうべき「食と健康」による市場創造への取り組みは、ほかの小売業がその動向を注視している。

 「食と健康」市場創造プロジェクトには、DgS企業からウエルシア薬局(株)、(株)ウェルパーク、(株)カメガヤ、(株)ココカラファインヘルスケア、(株)サンドラッグ、スギメディカル(株)、(株)ツルハホールディングス、(株)トモズ、(株)マツモトキヨシホールディングス、ミネ医薬品(株)などが参加する。
 メーカー・卸は、(株)明治、アサヒグループ食品(株)、味の素(株)、大塚製薬(株)、キューピー(株)、日本水産(株)、日清オイリオグループ(株)、ハウス食品(株)、(株)ファンケル、マルハニチロ(株)、(株)大木、国分グループ本社(株)などが参加する。

(了)

【取材・文・構成:大川 善廣】

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