• このエントリーをはてなブックマークに追加
2019年02月07日 13:45

更年期を正しく理解し、健康増進の重要性を理解してもらうことが大切(1)

NPO法人更年期と加齢のヘルスケア 理事長 小山 嵩夫 氏

いつまでも元気で若々しくありたい―。こんな生活者のニーズに応えるために、NPO法人更年期と加齢のヘルスケアでは、年を重ねても活動的に生きるためのサポートを行うアドバイザー「メノポーズカウンセラー」を育成している。メノポーズとは“更年期”を意味することから、アドバイスは更年期女性が対象となる。これまで更年期に該当する40~60代の女性医療は臓器別医療が中心だった。しかし、更年期は、からだ全体の症状を考えることが必要であり、老年期への対策を立てる適切な時期であることから、学会では更年期に関する正確な知識の普及とヘルスケアの具体策を提案している。小山嵩夫理事長に、更年期医療の現状とヘルスケア対策の取り組みについて聞いた。

 

更年期から老年期女性の生活の質を高めるために

―更年期医療で行われているホルモン補充療法(HRT)について、婦人科医の間でも賛否が分かれていると聞きます。
 小山嵩夫理事長(以下、小山) 我が国における更年期医療は、長い間対症療法が中心でした。年齢的なものでもあり「じっと我慢して通り過ぎるのを待てばよい」といった考え方が主流で、系統だった対応は1990年ごろまで行われなかったといえます。というのも、訴えられる症状として不定愁訴が多く、全体像もつかみづらいので、医療サイドからみると「よくわからない」または「関わりたくない」領域であったといえるでしょう。

 60年代後半には、更年期に卵巣機能が停止し女性ホルモンの分泌がなくなると、更年期症状だけではなく、骨粗鬆症、動脈硬化、物忘れなどの症状がみられ、そしてこれらの症状には女性ホルモンが深く関わっていることがわかってきました。そのことから欧米では、更年期以後の生活全体と老化との関係において理解し、対応していこうという機運が高まってきましたが、我が国では長い間、更年期障害中心の対応がなされていました。ただ、文献的にはHRTと骨粗鬆症、HRTと心臓血管系、HRTと物忘れ、HRTと生活の質(QOL)などの関係を示した論文が非常に多く発表されていましたので、更年期医療に関心をもつ大学関係者の間では、これらの事実は知られていたと思います。

 欧米に遅れること20年余り、90年ごろから一般女性の間でもHRTによる治療法は知られるようになりました。そして、90年代後半にはHRTを処方する医師が飛躍的に増加したのです。

 この流れが続けば、我が国でも更年期障害のみならず、女性ホルモンを介して長期的な更年期以降の健康維持・増進を考える方向性になったかもしれません。しかし、2002年に米国から発表されたHRTに関する大規模臨床試験・WHIの報告が、HRTに関してネガティブな結果を示しました。このことにより、急速にHRTへの関心が低下し、長い停滞期に入りました。

 欧米先進国ではHRTの普及率が20~40%と言われていますが、我が国ではこの間、2%程度に止まっており、「更年期といえば更年期障害、骨粗鬆症」との認識から抜け出せない状況にありました。

(つづく)
【吉村 敏】

▼関連リンク
●NPO法人更年期と加齢のヘルスケア
●(一社)日本サプリメント学会

 

<COMPANY INFORMATION>
理事長:小山 嵩夫
所在地:東京都大田区南千束3-14-16
設 立:2002年4月
TEL:03-3748-2562

<プロフィール>
小山 嵩夫(こやま・たかお)

1944年生まれ。68年、東京医科歯科大学医学部卒業(医学博士)。同大学医学部産婦人科助教授を経て、96年に女性の健康を総合的に管理することを目的として東京・銀座に小山嵩夫クリニックを開設、院長として現在に至る。専門は生殖内分泌学(更年期医学)。ホルモン補充療法の第一人者として知られる。更年期前後から元気に生きるための啓発活動を行っており、NPO法人更年期と加齢のヘルスケア理事長として、メノポーズカウンセラーの育成に従事している。著書として「女と男の更年期」(誠文堂新光社 2008)、「女性ホルモンでしなやか美人」(保健同人社 2009)など。学術専門誌「更年期と加齢のヘルスケア」編集長。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2019年08月19日 15:06

西日本新聞の柴田建哉社長殿、貴方は社を復活させる覚悟がありますか?(1)NEW!

 まずは弊社が発刊するI・Bの2019夏季特集号の巻頭文「『人口減』の先に待ち受ける、激変時代 企業の命運は朽ちるのか、あるいはいかに発展させるのか」を参照されたし。

2019年08月19日 14:51

フージャース、大分で99戸新築マンションNEW!

 大分市中島町2丁目で、まもなくマンション新築工事が始まる。物件名は「デュオヒルズ大分中島」で、地上15階建の総戸数99戸のマンション。建築主は(株)フージャースコー...

2019年08月19日 14:40

『脊振の自然に魅せられて』「夏だ! 沢登りの季節がやってきた」NEW!

 今年の夏は例年より暑さを感じます(加齢のせいもあり)。こんな時期の山旅は沢に限ります。福岡市早良区飯場に福岡市で唯一の大型渓谷「野河内渓谷」があります。この渓谷は井...

2019年08月19日 14:22

ライオンズクラブ337-A地区 明るい未来をつくるために(1)NEW!

 世界最大級の奉仕団体として知られるライオンズクラブ。同クラブは、『We serve』─「ライオンズクラブを通じて、ボランティアに社会奉仕の手段を与え、人道的ニーズを...

2019年08月19日 13:00

人間に死を選ぶ自由は存在しないのだろうか(前)NEW!

 NHKスペシャル「彼女は安楽死を選んだ」(2019年6月2日放送)を見た。ある女性が全身の身体の機能が奪われる「多系統萎縮症」という回復の見込みのない難病と宣告され...

2019年08月19日 11:26

日韓の経済力格差は?(前)NEW!

 筆者は1981年に日本に留学する機会を得た。日本は1954年から1973年までの19年間、実質GDP成長率が9.3%という驚くべき成長を記録し、いわゆる高度成長を経...

2019年08月19日 10:50

海洋資源大国・日本の生きる道:海底に眠るレアアース泥でエネルギー革命を!(後編)NEW!

 「水を制するものは、世界を制す」。これが21世紀の資源争奪戦の現実である。狭い国土に人が密集しているが、石油などエネルギー資源の乏しい国。必要なエネルギー源の9割を...

2019年08月19日 10:39

【政界インサイダー情報】カジノ管理委員会の人事等、設立の準備が進むNEW!

 政府は今秋の臨時国会において、内閣府大臣官房の指揮下、カジノ管理委員会設立に向けた人事案を提出するとのことで、来年度の具体的な実行に向け、着々と準備が整っている。全...

2019年08月19日 10:05

HIS、ユニゾHDの敵対的買収に発展~それぞれが抱える表に出せない裏事情(前)NEW!

 ホテル事業などを手がけるユニゾホールディングス(HD)は8月6日、旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)が実施中のTOB(株式公開買い付け)に対し、取締役会として反...

2019年08月19日 09:50

香港、マカオ、深圳 視察報告 「世界一港湾都市」奪取計画の現在地(後)NEW!

 香港国際空港のマカオ行きバスターミナルは大陸(珠海市)方面行の団体客が溢れ、長時間の待機を余儀なくされた。この際、我々日本人には何も言わない職員が、中国人団体客に対...

pagetop