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2019年02月12日 11:25

今の日本に必要なのは「富国強兵」ではなく「富国有徳」!  

 2月7日(木)午後6時30分~8時45分、霞ヶ関ビル35F 東海大校友会館東海・三保の間において、低迷の日本政治をポジティブに変えることを目的とした、第1回「新共和主義研究会」が開催され、70名を超える有識者が参集した。
 登壇したのは、首藤信彦・共和バンド代表(元衆議院議員・東海大学教授)、鳩山友紀夫・東アジア共同体研究所理事長(元内閣総理大臣)、小林正弥・千葉大学教授(公共哲学・コミュニタリアニズム研究)の3名である。

 日本政治の腐敗、低迷、無力、外交破綻が日々展開

 今、信じられないような日本政治の腐敗、低迷、無力、外交破綻が日々目の前で展開している。戦前政治体制復活を願う超保守派と保守官僚、財界・メディアなどが結託した安倍政権が長期間続き、日本が長年にわたって積み上げてきた国民の資産を浪費し、国際的な価値を失わせている。本来暴走する安倍政権を阻止する役割を担う野党も、国会審議で、与党を追い詰めることさえできない。政党支持率では、支持政党なしが6割を超える一方、全野党の支持率を合計しても自民党の約3割という有り様である。一体全体、日本はどうなってしまったのか。このままで、本当にいいのか。第1回「新共和主義研究会」が開催された理由がここにある。

日本政治はすでに賞味期限も消費期限も切れている

(1)首藤信彦・市民政治バンド「共和バンド」代表(元衆議院議員・東海大学教授)

首藤 信彦 氏

 まず口火を切ったのは、首藤信彦氏である。首藤氏は、安倍政権発足以後の「官僚の復権」「内務省化した警察権力」「政治の広報化」「メディア支配」から、近々の「戦争法」「共謀罪」「モリカケ」「憲法9条」までさまざまな事例を挙げ「日本政治はすでに賞味期限も消費期限も切れている」と喝破した。東西冷戦構造の申し子である自民党、イデオロギーを失った(Identity Crisisに陥った)社会党、共産党はもちろん、民主党など多くの野党も迷走を繰り返している。日本政治は、たとえ時間がかかっても、思い切って基本に戻って、政治哲学から考え直し、新しい政治理念で、政治を再度組立て直す必要がある。首藤氏は、その新しい政治理念として、今世界で注目されている「共和主義」(コミュニタリアニズム)を提唱した。共和主義とは、人々の公共的美徳(関心・行動)に基づく自己統治により、公共善を実現しようとする政治思想である。

日本、世界のあらゆる分野で徳ある政治が失われた

(2)鳩山友紀夫・東アジア共同体研究所理事長(元内閣総理大臣)

鳩山 友紀夫 氏

 続いて登壇したのは、鳩山友紀夫氏である。鳩山氏は開口一番「共和主義」の意味するものは、一言でいえば「富国有徳」に他ならないと述べた。戦争を経済合理性の枠内で考える国家指導者たち(「INF全廃条約を離脱したトランプやプーチン」「F35を100機(1機約150億円)追加購入する安倍首相」など)の例を挙げ、今日本、世界のあらゆる分野で「徳のある政治」が失われている現実を指摘した。さらに「辺野古移設訴訟」(裁判所が政権に忖度)などの例を挙げ、安倍政権で最大の問題は、誰もが当たり前と思っている「三権分立」ができていないことだと続けた。最近話題の「プロジェクト・フラ」(※)にも言及、米国のフィルターを通した情報しか入手できない日本の現状を憂いた。最後に、自身の政治信条である「友愛」は「自立と共生」(自己の尊厳の尊重と同時に他者の尊厳の尊重)を意味し、共和主義の掲げる「公共善」「美徳」と通じるものがあると結んだ。

政治的な関心をもち、自ら政治に関わることが重要

(3)小林正弥・千葉大学教授(公共哲学・コミュニタリアニズム研究)

小林 正弥 氏

 最後に登壇の小林正弥先生は「共和主義」と「民主主義」の違い、なぜ今「“新”共和主義」なのかを解説した。

 「民主主義」とは、国家や集団の権力者が構成員の全員であり、その意思決定は構成員の合意による政治思想のことをいう。衆愚政治に陥りやすく、日本でも米国でも、形式的には民主主義であるが、現状では「競争的権威主義」(独裁専制主義)になり果てている。

 一方、「共和主義」とは、特定の個人や階級のためでなく、全構成員の共通の利益(「公共善」)のために存在するものとされる政治思想のことをいう。構成員には「公共的美徳」が求められる。また、民主主義では、政治に関係しない人がたくさんいるが、共和主義では「公共善」を実現させるために、人々が自ら政治に関わることが重要である。

 現在世界には「共和主義」は数多く存在するが、その多くは「公共的美徳」を実現できていない。本来あるべき「共和主義」への復興をイメージして「“新”共和主義」と題した。小林先生は最後に「共和主義」という言葉は日本人には馴染みが薄いが、形式的王権(英国王室、日本の天皇象徴制など)と抵触する概念でないことも付け加えている。

 3人の講演後、会場から質問が続いた。「公共的美徳」を求めない日本国民はいないかもしれない。問題は今後、支持政党なしが6割を超える日本国民を巻き込んで、どのように大きな動きにしていけるかである。引き続き注目していきたい。

【金木 亮憲】

※【プロジェクト・フラ】
太平洋戦争末期、ソ連対日参戦に備えてアメリカ合衆国とソビエト連邦とが合同で実施した極秘軍事作戦。1945年8、9月に行われた旧ソ連軍による北方四島占領作戦に、米国が艦船10隻を貸与していたことを、根室振興局が米国とロシアの専門家による研究成果などを突き合わせ、明らかにした。米国はソ連の対日参戦に備え、大量の艦船の提供だけでなく、ソ連兵の訓練も行っており、米国の強力な軍事援助が、ソ連が四島を占領した背景にあったことが浮かび上がった。(北海道新聞から)

 

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