【友利家具中国人社員に聞く】日本式家具づくりの魅力、やりがいとは?(後)
日本語通訳をきっかけにアダルに入社
―アダルで働いている理由は?

寥 もともと「日系企業で働きたい」と考えていました。中国の民間企業と比べ、給与などの待遇も良く、安定しているし、日本語の勉強もできるからです。
―働きながら、日本語の勉強をしていたのですか?
寥 そうです。上海にある中国の貿易会社で働いていたのですが、日本語の通訳の仕事もしていました。最初に武野会長にお会いしたのは、通訳としてです。その後、協栄家具から「うちの会社で働きませんか?」という電話が入りました。武野会長と面接をして、協栄家具に入りました。16年前のことです。
協栄家具に入社してからは、通訳をしながら、工場に入り、少しずつ家具づくりの仕事を覚えていきました。家具づくりの仕事の内容をほぼ理解できるようになっているので、友利家具で働いています。友利家具の社員には、長い付き合いの社員も多く、気心も知れています。
日本アダルとの連絡調整を担当

―仕事にはもう慣れているわけですね。
寥 理解はしていますが、慣れているとはいえません。友利家具になってから、仕事がますます複雑になっているからです。毎回わからないことがあって、新しく覚えることがあります。
―今はどういう仕事を担当しているのですか。
寥 主に日本のアダルと友利家具とのやりとりの窓口を担当しています。電話やメールなどを使って、受注から出荷までの連絡調整を行っています。そういう仕事がないときは、工場に出て、図面通り作業ができているかチェックしたり、手伝ったりしています。日本の担当者に対し、こちらでの作業内容について問い合わせるのも、私の仕事です。
―後輩の教育や指導をすることはあるのですか。
寥 田舎から出てきたばかりの一般社員に対し、日系企業のやり方を教えたり、ルールの違いなどを注意することはあります。長年アダルで働いている社員は日本のやり方をある程度理解していますが、仕事が忙しくなると、それを守れないこともあります。たとえば、ゴミが落ちていても、拾わないとか。武野会長にはいつも怒られています(笑)。
―武野会長の要求に応えるのは、難しいですか?
寥 できる限り要求に応えたいとは思っています。武野会長が言っていることは、基本的に正しいと思います。ただ、仕事の段取りをするうえで、武野会長と考え方が合わないことはあります。
休みが少ないのが不満
―仕事には満足していますか。
寥 満足しているとはいえません。アダルでの16年では、いろいろな問題が発生して、苦労することが多かったからです。問題が解決したときなどは、仕事が楽しいと感じることはあります。友利家具にきて、休みが少ないのも不満です。プライベートな時間が足りません。通常は土日が休みですが、今、旧正月前だということもあって、土日も出勤することがあります。こんなに忙しいのは、久しぶりです。会社の寮に住んでいるのですが、自宅は上海にあって、旦那もそこにいます。今の会社にきてから、自宅に帰る回数も減りました。家族と一緒にゆっくり休むことを何よりの楽しみにしています。
―お金は稼げますか?
寥 それはそうです。残業は多いので、その分お金は稼げます。
―アダルの仕事は続けていく考えですか。
寥 おそらく続けていくと思います。少なくとも、あと3年間はアダルで働くつもりです。
(了)
【大石 恭正】