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2019年03月27日 07:04

爆発的に拡大する再生可能エネルギー、日本は世界から取り残される!(中)

 環境エネルギー政策研究所 所長 飯田 哲也 氏

風力は2015年、太陽光は17年に原発を抜いた

 ――自然エネルギーに関する世界の取り組みには、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)を筆頭に、昨今日本で話題の「RE100」を初め、「自然エネルギー100%プラットフォーム」「REN21」など数多くあります。

「Peace On Earth」トークショーにて(日比谷公園)

 飯田 今、世界では、再生可能な自然エネルギー、とくに風力発電と太陽光発電が飛躍的・加速度的に拡大しています。太陽光は昨年1年だけで、前年比10%増の109ギガワット(GW)増えて、累積では511GWになりました。風力は昨年52GW増えて、累積では600GWになっています。原子力は約450基で400GWと横ばい傾向にあるので、設備容量で見ると、風力は2015年、太陽光は2017年に原発を抜きました。そのほかにも10年前にはエネルギーの専門家でさえ想像できなかったことが次から次へと起きています。

 その変化があまりにも速いため、新聞、テレビメディアなどの報道はもちろん、世界の最先端を見ていない政治家や官僚、一部の専門家さえも追いつけないようです。先日もテレビで「中国のエネルギーは原発と石炭が中心である」とか「ロシアと中国は原発を大量につくっている」などと報道されていました。

 しかし、それは大きな誤りです。中国は2年前から原発の新規着工はありません。すでに太陽光と風力が供給する電力量が原発の2倍になっており、中国政府は2年後には4倍になるとの予測を公表しています。中国は現在のところ脱原発宣言はしていませんが、原発をはるかに凌駕する勢いで太陽光と風力が増え続けており、そちらに重心があることは明らかです。

「自然エネルギー100%」に対して箝口令を敷いた日本

 「RE100」とはイギリスの国際環境NGOの「The Climate Group」が2014年に開始した共同イニシアティブで、現在約164社が参加しています。(2019年2月現在)企業の消費電力を100%再生可能な自然エネルギーに転換することを目的としています。10年前に「自然エネルギー100%」などと言い出せば、頭がおかしいと思われたものです。私は一貫して言い続けていますが・・・。(笑)ところが、RE100が誕生すると、翌15年の「パリ協定」(気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定)を睨んで、アップル、ネスレ、イケア、Google、マイクロソフトなど世界を代表する企業が続々と加入しました。

 一方、世界が「自然エネルギー100%」で盛り上がっていた最中、日本では「自然エネルギー100%」に関して、経産省や経団連などから「箝口令」が敷かれていました。なぜなら、自然エネルギー100%イコール原発ゼロを意味し、安倍政権にとっては許されないことだったからです。愚か極まりない話です。世界の動きに遅れること3年、2017年にリコーが日本で初めてRE100への参加を表明、それが「アリの一穴」となり、環境省も補助金をつけるなど、現在では城南信用金庫、富士通、ソニー、イオンなど約16社(2019年2月現在)が参加しています。

「世界自然エネルギー100%プラットフォーム」設立

 「RE100」とは別に、同じ2014年には「世界自然エネルギー100%キャンペーン」が発起、この組織は2017年5月に、世界の自然エネルギー推進の流れをさらに加速するため、「世界エネルギー100%プラットフォーム」としてドイツ・ボンで法人化されました。

 これは、世界未来協議会、世界風力エネルギー協会など、世界のさまざまな自然エネルギー関係機関が参加するマルチステークホルダーの組織となっています。環境エネルギー政策研究所(ISEP)も創設メンバーで、私は創設時に理事として参画、緊密な連携のもと、日本国内での展開を進めています。世界各地の事例や研究成果を集約して情報発信し、自然エネルギー100%にかかわる対話の場を数多く立ち上げ、政策立案者への働きを行い、その成果は2015年に行われた「パリ協定」の合意に貢献しました。

世界の自然エネルギー業界のキーパーソンが参加

 「REN21」は「21世紀のための自然エネルギー政策ネットワーク」のことで、自然エネルギーの促進を図るために行政機関、国際機関、NGO、産業界、地方自治体などの各ステークホルダーの考えを共有、活動を奨励しようとする世界規模の政策ネットワークです。 

 2004年に国際的な自然エネルギーの推進を継続させるべく、ドイツ政府が総力を挙げて開催した「自然エネルギー国際会議2004」を機に、設立されました。

 本部をフランスのパリに置いています。世界の自然エネルギーに積極的な政府・国際機関・産業界・環境NGO・地域団体など多くのキーパーソンが参加しています。私も運営委員として、創設時から参加しています。国や地域の間での知識の交換、政策の発展、自然エネルギーへの迅速な世界的移行に向けた共同行動を促進しています。REN21の国際会議は2004年以降、各国政府との共催で概ね2年ごとに行われており、これまで中国(2005年)、アメリカ(2008年)、インド(2010年)、アラブ首長国連邦(2012年)、南アフリカ(2015年)メキシコ(2017年)とめぐり、今年は韓国で行われることが決まっています。またREN21では、『自然エネルギー世界白書』、『世界自然エネルギー未来白書』、『自然エネルギーアカデミー』などの制作物も出版しています。

(つづく)
【金木 亮憲】

<プロフィール>
飯田哲也(いいだ・てつなり)

1959年山口県生まれ。京都大学工学部原子核工学科、東京大学大学院先端科学技術研究センター博士課程単位取得満期退学。認定NPO法人環境エネルギー政策研究所所長。日本のFITの起草者で、自然エネルギー政策では、国内外の第一人者かつ日本を代表する社会イノベータ。国内外に豊富なネットワークをもち、REN21運営委員、自然エネルギー100%プラットフォーム理事などを務め、2016年には世界風力エネルギー名誉賞を受賞。日本でも国・自治体の委員を歴任。
著書として、『北欧のエネルギーデモクラシー』(新評論社)、『エネルギー政策のイノベーション』(学芸出版社)、『1億3,000万人の自然エネルギー』(講談社)、『エネルギー進化論』(ちくま新書)など多数。

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