2024年04月20日( 土 )

低炭素で楽しく暮らせるまちづくり~BONJONO(3)

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 2017年、国土交通省が開催した「第1回先進的まちづくりシティコンペ」で、国土交通大臣賞を受賞した北九州市の「みんなの未来区BONJONO(ボン・ジョーノ)」。自衛隊分屯地の跡地開発として始まった城野地区の再開発は、低炭素社会実現のための取り組みや、住民・事業者が自らの手でまちづくりを進めていくというユニークな手法が採られている。BONJONOの取り組みをレポートする。

自動車を使わない住環境

駅へつづくデッキは目抜き通りに直結している

 中央の目抜き通りは駅に直結しており、電車による移動がしやすい環境が整えられている。どこに住んでいても、スムーズに駅につながっているのである。これも低炭素モビリティの実現に寄与している。
 エコモールだけでなく、宅地内に張りめぐらされる道路も、その中心的な視点は徒歩・自転車による移動を考えたものとなっている。「クルドサック」と呼ばれる道路の末端がサークル状になった袋小路がある道路を住宅内に通すことで、車による通り抜けができないように設計されているのである。歩行者が安全、快適に移動できることが、まちづくりの基本的な観点となっているのだ。

 城野駅と直結するエリアは「エコフロント」と呼ばれ、まちの拠点となる機能が集められている。まずは駅。かつて自衛隊分屯地であったこの地は、駅へのアクセスが悪かった。BONJONOの地区だけでなく、周辺住宅地からも分屯地を避けるかたちで城野駅に行かねばならなかったのである。そこにエコモールを通すことで、周辺地域まで含めたアクセスの改善に成功したのである。駅のデッキを降りると、コンビニやレストラン、総合病院、広場などの施設が設置されている。BONJONOを中心とした周辺地域まで含めた改善が図られているのである。

 このほか、「エコパーク」と名付けられた公園が多数設置されており、バーベキューが開かれるなど、地域のコミュニケーションの場として活用されている。
 また、分譲が進められている住宅には、エネファームや太陽光発電施設を積極的に導入することが推奨されている。地域自体にエネルギーマネジメントシステム(CEMS)が導入され、その情報を地域で共有しエネルギーを賢く使うことができるように配慮されている。このように、低炭素社会のモデル住宅街としてBONJONOは考えられているのである。

(つづく)
【柳 茂嘉】

 
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