2024年03月29日( 金 )

【記者のひとりごと】権力の座を追われれば、タダの人~高島市政ウラの仕掛人の転落

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 統一地方選の前半戦が終わった。投開票日の7日夜には、悲喜こもごもの人間ドラマがあちこちで展開されたことだろう。

 選挙とは、一般的には議会に送り出す代表を選ぶ行為であり、民意の具現化でもある。だが、より生々しい現実的側面でいうと、立候補者にとって「就活」(就職活動)の場であることもまた事実。生活がかかっているぶん立候補者にとっては「就活」面がより重要となるのは当然で、当選すれば我が世の春が待っている。一方、よほどの大物議員でもない限り現職議員にとっての落選はそれまでの「センセイ」から「タダの人」への格下げが避けられず、だからこそ土下座でもなんでもして勝利を得んと死に物狂いになる。選挙とはこれほどダイナミックな、一種の「お祭」でもあるのだ。

 現職の落選は悲惨だ。役所に行ってももはや誰も頭を下げる者はおらず、支援者に電話してもそっけない対応をされるばかり。電話を取り次いでくれない日もあるという。投開票日、報告会場の外で人相のよろしくない輩(借金取りを含む)がウロウロしているのも、「地方選挙のリアル」な一場面だろう。

 県議選の宗像市でもひとり、ドラマチックな転落劇の主人公になった人物がいる。現職と新人の3人が2議席を争った激戦区で、1人だけ当選を逃した木村哲晃氏(41)だ。昨年まで福岡市の高島宗一郎市長の政策秘書を務めた人物だが、長く高島市長の資金面(カネ)を担当してきたこと、西中洲樋口建設との距離の近さなどで、とかく(黒い)噂の絶えない有名人でもあった。

 県知事選で小川洋氏が県民から高い支持を受けるなか、自民党のなかからも「小川氏支持」を打ち出す候補者が相次いだ。しかし、木村氏の頼みの綱だった高島氏は武内和久氏支持を打ち出して公然と小川県政批判を口にする始末で、表立って高島色を出しにくかったのは木村氏の大きな誤算だったのではないか。

 いずれ国政進出は間違いないとみられている高島氏をウラで支えた仕掛人……も、選挙に落ちればタダの人。風を読み違え、流れに乗り損ねた者の悲哀を、じっくりと味わっているに違いない。

木村氏の「未来」(あした)はどっちだ…

 

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