2024年05月27日( 月 )

【企業経営ワンポイント】企業防衛と含み資産

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IYASAKA CONSULTING(株)
玉井 省吾 代表取締役副社長

 企業経営は、景気の動向に大きく左右されます。バブル崩壊、リーマン・ショックなどの時期は、地場の企業の苦労されていた様子を間近に見ていました。その時期に銀行の担当者として、経験した例をお話しします。

 同じエリアに建材卸業の法人が2社あり、両社ともに担当していました。この2社は、創業時期や年商、利益率ともにほぼ同じでしたが、うち1社は現在も堅実に事業を継続されている一方で、もう1社は倒産し、現在は存在しません。

 当時、バブル崩壊後で景気が悪化し、設備投資は減速しました。工事高減少の影響を大きく受ける業種ですので、当然、売上、利益ともに減少しました。また、流通の仕組みの変化も利益率に影響したようです。銀行としてもできる限りの支援をさせていただき、2社ともに厳しい時期を乗り切りましたが、数年後、違う結果になりました。

 なぜ、このようになったのでしょうか。いろいろな要因があるとは思われますが、1つの大きな要因は含み資産の大小の差です。2社ともに業歴は長く利益を蓄積していましたが、不動産(土地)の含み益に大きな差がありました。内部留保した利益剰余金で厳しい時期を凌ぎましたが、A社は大きな含み益(不動産の売却益・評価見直しによる益出し)で乗り越え、B社は含み益は小さく、益出しはできませんでした。銀行は融資判断に決算書を用いますので、含み益の大小は企業の防衛に直結します。結果、A社は長い業歴で蓄えた利益と不動産の含み益で難局を乗り越えることができたのです。

 では、企業防衛に役立つ「含み益」は、どのようにして形成すればいいのでしょうか。業歴の長い企業は、A社のように所有不動産による含み益(実勢価格-取得価格)を形成されているケースが多いようです。また、もう1つの「含み益」の形成に生命保険を活用しているケースがあります。生命保険の含み益(解約返戻金-資産計上累計額)は長年かけて形成する場合もありますが、短期間で形成することも可能です。

 昨年末に、ある企業から事業保障・財務対策の相談を受けました。前期、今期とも業況は計画通り順調で、将来に向けての体制を整備したいとのことでした。打ち合わせを重ね、最優先で事業保障として役員の生命保険をご契約いただきましたが、「含み益」の形成と法人税の圧縮(繰延)、利益の平準化にも非常に効果がある契約でした。保険契約は、ある一定期間以上長く継続していただくことが前提ですが、対策したことで、しなかった場合より納税額を約1,000万円の繰延(圧縮)する結果となりました。

 業歴の長い企業も、創業から間もないこれから発展される企業も、今後の企業防衛のために、含み資産形成の1つの手段として生命保険の活用を考えてみてはいかがでしょうか。

<プロフィール>
玉井 省吾(たまい・しょうご)
1965年生まれ。長崎出身。88年、福岡シティ銀行入行。県内外の支店に勤務し、中小企業の法人営業を担当。事業者に対し、事業融資、経営アドバイスを行う。99年、外資系保険会社に入社し、ライフプランナーとして勤務。その後、保険を活用した経営コンサル業を開始。2015年より現職。IYASAKA CONSULTING(株) 代表取締役副社長

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