2024年05月27日( 月 )

住まいの安全性を極限まで追い求め、まちの魅力づくりに貢献する総合建設業~(株)谷川建設・谷川喜一社長

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 長崎市に本社を構える戸建メーカーとして、「注文住宅の谷川」の名を九州、関東に知らしめた㈱谷川建設。総合建設業としても幅広い分野で長崎のまちづくりに貢献するなかで、どのような問題意識を持ち、事業に取り組んでいるのか。代表就任から20年目を迎えた、谷川喜一代表取締役にインタビューした。

生活の光で夜景の維持へ

 ――長崎経済の活性化について、どのようにお考えですか。

(株)谷川建設 谷川 喜一 社長

 谷川 県外や外国の方を含めて、多くの方に長崎にお越しいただき、一緒ににぎわいをつくるという田上市長の『交流の産業化』というお考えには賛同しております。そのためのインフラ整備として、駅前再開発や県庁舎移転にともなう跡地の活用、出島の表門橋の架橋などの整備に力を入れ、長崎の観光資源を最大限生かすということは大事なことだと思います。

 弊社では、総合建設業としてインフラ整備の部分で貢献するほか、郊外に住まわれている高齢者の方に、住みよい住環境を提供させていただき、ネットワークをつくるうえで、医療や娯楽も含まれると思いますが、そこでどのようなサービスを提供できるかということも考えなければいけません。

 また、長崎の魅力はいくつもありますが、そのなかで斜面地が生かせていません。長崎の斜面地は、ヨーロッパの斜面のある街並みにも引けを取らないロケーションなのですが、住まいが接道していなかったり、高齢化が進んで空き家が増えたりしています。長崎市として、世界新三大夜景に認定された長崎の夜景の維持がありますが、中心地にある背の高い建物と、斜面地の空き家の光で演出していくということがあります。我々としては、住み替え、建て替え、リフォームなど、『建物を生かす』というところで関わっていきたいと思います。

 ――空き家対策は今後、国交省のモデル事業などで全国的な取り組みが進んでいきます。

 谷川 弊社としても、全国820万戸の空き家に、中古物件の価値を見出そうとしています。中古物件の市場の開拓と整備は、絶対にやっていかなければなりません。所有者を明確にすることと、建物に価値を持たせて市場に流すことは大切です。ただし、建築基準法の改正前に建てられ、耐震性はおろか建築基準も満たしていない建物もありますから、その整備が簡単には進まないという現実もあります。

 ――御社の技術に、期待が寄せられるのではないでしょうか。

 谷川 その期待に応えていきたいところですが、自社だけでは無理なので、自治体や各企業・団体が一緒になり、『長崎のまちづくり』をイメージして取り組んでいく環境をつくっていかなければなりません。

住まいの安全の追求

 ――過去数度の大地震で、『住まいの安全性』に対する関心が高まっていますが、御社ではどのように取り組まれていますか。

谷川建設 本社

 谷川 法的基準をクリアすることは当然のことですが、東日本大震災を受けて弊社では、過剰だと言われても、企業努力によってあらゆる面で建物の強度の限界に挑戦するようになりました。弊社の商品の耐震・耐久のテクノロジーに関する自信はありましたが、それをさらに引き上げるために何が必要かというところで、工法を変えています。具体的には、耐震3等級を標準化しており、建築基準法の約2.4倍の耐震強度を確保しています。また、さらに高めるものとして制震工法(住友ゴム工業の住宅用制震ダンバー「MIRAIE」)を採用し、地震力を50~70%緩和できるようにしています。熊本の震災のように、自然災害は特定の地域で起きるものではなく、あらゆる地域で起きる可能性が高いという前提で備えていく必要があります。

 ――実際に、熊本の震災で御社の住宅が受けた被害の状況はいかがでしたか。

 谷川 熊本には、東日本大震災以前の建物も含めて約1,200棟ありましたが、倒壊および半壊はゼロでした。そのなかには建築中のものも含まれており、震災を挟んで上棟したというケースになりますが、震度7クラスの地震を立て続けに2回受けて、その後も支障なく現場で建築が進んでいます。弊社では、茨木県つくば市の防災科学技術研究所で実物大の構造躯体による耐震性能実験を行っていますが、実際の地震でも、建物の構造体の強度が示せたと思います。

 ――熊本震災の復旧では、どのような活動をされましたか。

 谷川 生活環境を元に戻すため、総合建設業として、復旧のための初期活動にも取り組んでいます。たとえば、建物自体は無事でも瓦がずれたりするなどの軽微な損傷に対し、初期活動として、九州各地から被災地に入ったメンバーが、お客さまを中心にブルーシートを屋根に張って雨水の侵入を防ぐ応急措置を実施しました。その際、両隣も含めて同じような状況にあるわけですから、被災された地元業者が建てたところは対応ができませんので、依頼を受けて周辺の住宅の応急措置も実施しました。
 応急体制が整っており、7月の九州北部豪雨でも、行ける限り現地に赴き、お客さまにコンタクトをとるなどして、該当件数98件のうち、床下浸水3、土石流被害1、土砂流入被害1という被害状況の確認が発生から10日で終了し、復旧対応の準備を迅速に行っています。

 ――最後に、今後の事業展開や、谷川社長のビジョンをお聞かせください。

本社に飾られた「大工の七つ道具」

 谷川 累積の完工棟数が1万8,000棟を超え、今、多くのお客さまのニーズは、新築だけでなく、リフォームやマンションのリノベーション、中古物件の売却、住み替え、住む人の世代に応じたインテリアコーディネート、外構では駐車場の増設やスロープ化など、幅広いものになっています。それに応えるべく、新築以外で、不動産事業、リフォーム事業、リノベーション事業、外構やインテリアなどの付属部門、それから借家・賃貸事業というように、お客さまのニーズの1つひとつに応えられる体制をつくっていきます。また、情報共有、所有資源の活用という点で、企業連携を視野に入れています。

 ――本社の入り口には、“大工の七つ道具”が大切に飾られていますね。

 谷川 『原点を大切にする』という想いで飾っています。創業者の父からは、継続することの大切さ、材木商を営んでいた祖父からは、材木は生きているものを殺生して使わせていただいているという価値観を教わりました。そこから「森に返す」という発想(※)が生まれています。この原点を理解し、谷建会(谷川建設協力会)の施工業者の方々が材木を大切に扱ってきたからこそ、建物が高く評価されてきたと思っています。

【山下 康太】

家づくりで使用する柱と同じ数だけの木を植える活動を実施。

<COMPANY INFORMATION>
代 表:谷川 喜一
所在地:長崎市岡町9-1
設 立:1971年12月
資本金:1億円
TEL:095-848-3552
URL:http://www.tg-k.jp​

 

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