91歳のA老人と1年ぶりにお会いした。相変わらずお元気な様子には変わりがない。A老人が伴侶を失ってもう10年になるが、Aは料理できるなど器用なため、一人暮らしには不自由がない。難儀なのは免許を返納して行動範囲が極端に狭くなったことだ。
息子・娘とも近くに別所帯で生活しているが、車で移動できなくなったからといって、自分の都合(別荘行き)を頼むことは拒み、湯布院に所有していた別荘は売却した。
「毎日、携帯に電話が何回、かかってきますか?」と質問してみた。「1日に平均2回かかってくる。大半は趣味の詩吟クラブのメンバーからである。ほかからの用件の電話は皆無だ」という返事。解釈すると一般的な交際は、ほぼ消滅しているということだ。
詩吟のメンバーからの誘いがきっかけで、出歩く以外に外出する理由はない。あとは犬の散歩で知り合った方々と交わす挨拶や雑談のみだ。「令ちゃん、今日も元気だね」と愛犬に御愛想をいただくのが日課だとか。
Aは「ほぼ死ぬ支度は完了した。だがまだ体の衰えもなく、成仏まで時間がかかりそうだ」と語る。
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