【進化する粕屋町】利便性と居住環境の良さにより、人口が増え続ける粕屋町
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2019年05月14日 12:01

【進化する粕屋町】利便性と居住環境の良さにより、人口が増え続ける粕屋町

子育て世代が多い、若くて元気の良い町

 粕屋町は西側が福岡市、北側が久山町、東側が篠栗町と須恵町、南側が志免町と隣接し、糟屋郡7町のなかでほぼ中央に位置している町である。町内は南北方向にJR香椎線が、東西方向にJR福北ゆたか線が貫き、町内には計6駅のJR駅が立地。

 また、九州自動車道の福岡ICや福岡都市高速道路のランプを有するほか、さらには国道201号や都市圏を取りまく福岡外環状線が通っていることで、交通の要衝となっている。14.13km2の町域のほとんどは平野部で占められ、田園なども多く残り、都市近郊農業も行われている。また、交通利便性の高さから、町の北部エリアでは流通関連を中心とした開発も進んでいる。

町のシンボルである「駕与丁公園」と総合体育館「かすやドーム」

 町のシンボルとなっているのは、筑前三大大池の1つである駕輿丁(かよいちょう)池の周辺一体を整備した広大な「駕与丁公園」である。また、周辺には粕屋町役場を始め、総合体育館「かすやドーム」、町立図書館・歴史資料館「粕屋フォーラム」、生涯学習センター「サンレイクかすや」などが集積。町民の憩いの場と公共施設とが近い位置関係にあるほか、JR香椎線と福北ゆたか線とが交差する乗換駅である「長者原駅」も徒歩圏内にあり、実質的にも地勢的にも、このエリアが町の中心部となっている。

 隣の志免町との町境付近には大型ショッピングセンター「イオンモール福岡」(04年6月開業)があるほか、県道607号や福岡東環状線などの沿線を中心にスーパーやディスカウントストア、ドラッグストアなどの商業施設も多く、買い物を中心とした生活利便性にも優れている。

 こうした、利便性の高さや都市と自然とが適度に調和した居住環境などを要因として町の人口増加率は高く、2008年には人口4万人を突破。今なお増加を続けており、現在の人口は4万7,530人(19年3月末現在)と、九州地方の町村としては最も人口が多い。また、町民の平均年齢は約39歳と若い子育て世代が多く、日本の人口が減少局面に入って全国的に少子高齢化が進むなかで、同町は高い出生率を誇る、若くて元気の良い町となっている。

町内各所で進む開発、このまま人口増を保てるか

JR酒殿駅前では大規模な住宅開発が進む

 現在、町内では福岡市のベッドタウンとして、住宅を中心とした開発が旺盛に進められている。そのなかでも、とくに大規模なのがJR酒殿駅の南側で進められている「粕屋町酒殿駅南土地区画整理事業」だ。

 これは駅前の約13.3haの土地で進められている大規模な区画整理事業で、300戸を超える住宅や小規模な商業施設などが開発される予定。駅前という好立地に加え、すぐ目の前にはイオンモール福岡や駕与丁公園もあり、住環境としてはまずまず。同エリアは町の都市計画マスタープランで「新たな拠点」として位置づけられていることもあり、完成すれば町内にまとまった人口が流入してくることが予想される。

 ほかにも、まだまだ多くの農地を残す町内では、さまざまな場所で農地を潰して新たな開発が進行中。たとえば同町原町地区にある「阿恵大池公園」と九大・農場跡地とで挟まれたエリアでは、昨年新たに町内初となる産婦人科医院が開業したほか、周辺一帯で戸建や長屋型集合住宅などの開発が次々と進められている。

 一方で、交通利便性の良さと人口増という要因が合わさり、町内での商工業も活性化している。粕屋町商工会の青木善秀会長によると、同商工会への加入事業者数も年々増加傾向で推移しており、「18年度は50~60事業者ほど増えており、町外から支店を出す企業や、町内で独立開業する方も増えています」という。同商工会でも地域の祭りなどで積極的に町の活性化への取り組みを行っており、「将来、町民の皆が“住んで良かった”と思えるような、元気なまちづくりが進むことを期待しています。商工会でも事業者への支援を通じて、町の活性化に寄与していきたいと思います」(青木会長)。

 今後、粕屋町はどうなっていくのだろうか――。国立社会保障・人口問題研究所による「日本の地域別将来推計人口(平成30年推計)」によると、同町の人口は2025年には5万人を超え、2045年の5万4,631人まで、右肩上がりで増え続けることが予測されている。しかし一方で、現在の町の人口動態を見てみると、意外にも転入数と転出数には大きな差はなく、同町の人口増加は高い出生率による自然増を起因としたもの。町では保育園・幼稚園の増園を進めるほか、児童館の機能と地域子育て支援センターの機能を併せ持った「かすやこども館」(16年5月開館)などの整備で、子育て世帯に向けた支援策に力を入れている。

JR香椎線と福北ゆたか線が交差する「JR長者原駅」

 同町の課題を何か挙げるとすれば、町外からの転入者をいかに増やしていくかだろう。福岡市近郊には春日市や大野城市、那珂川市、糸島市、新宮町、志免町など、ベッドタウンとしてのライバル自治体は多く存在する。そうしたライバルとの差別化ポイントをいかに打ち出し、町としての魅力をどのように発信していくか――。

 前項のインタビューでもあるように、単独市制昇格要件の人口5万人達成はもはや目前。市制施行も見据えながら、人口増に耐え得る基盤整備を迅速に進めていくことが必要となるだろう。粕屋町は交通利便性などの強力な“武器”が多くあるほか、開発余地もまだ十分に残されている。自然との調和を保ちながら魅力的なまちづくりを進めていければ、町の将来はますます明るいものとなっていきそうだ。

【坂田 憲治】

▼関連リンク
【進化する粕屋町】住みやすさと住民幸福度の追求で、市制を見据えた基盤整備のまちづくり

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