2024年03月29日( 金 )

自社ブランドを確立しあえて地方への進出を図る

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(株)グランディーズ 亀井 浩 代表取締役

 大分、宮崎、愛媛、香川で建売住宅をはじめ、投資用マンション・アパート、分譲マンションなどを手がける(株)グランディーズ。2006年11月に設立され、12年に福岡証券取引所Q-Board、14年に東京証券取引所マザーズへの上場を果たした。ローコスト・低価格の商品を武器に、地方への進出を図る同社の戦略や事業方針などについて、代表取締役の亀井浩氏に話を聞いた。

独自のエリア戦略と低価格帯の建売住宅販売を手がける

 ――御社が手がけるエリア戦略についてですが、エリアの選定基準はどのようになっていますか。

 亀井 弊社のコンセプトは「地元でよく働き、若く真面目な人たちが、無理せず、よい家を選んで買ってもらう」ことです。購買対象者は、地方に住む年収300万円前後の、とりわけ20代の若い世帯の人たちとしています。旦那さんの年収300万円と奥さんのパート代の100万円弱を加え、フルローンでボーナスなしで毎月5~6万円台の支払い。2台分の車庫のある庭付きの一軒家に住んで、日曜日は家族みんなでドライブを楽しんだり、どこかに遊びに行ったりする家族が多いですね。

(株)グランディーズ 亀井 浩 代表取締役

 購買対象者、土地の価格を含むエリアの状況を加味して供給が可能と判断したエリアが、大分県内をはじめ、宮崎・松山・高松などです。たとえば、長崎市や鹿児島市に進出して営業展開を行おうとしても、仕入れの土地の価格は高いため販売価格が上がり、弊社が提案する建売住宅の金額にはなりません。こうなると、2,000万円以下で販売する戸建住宅を主体とした弊社のビジネスモデルでは、厳しくなりますね。福岡エリアに進出しないのは、土地の価格が高いからです。

 次は久留米市や岡山市などを考えています。土地の価格が、他の地方都市より意外と安いのが理由です。ほかに中国・九州の地方都市など考えていますが、まだ構想の段階と言えますね。

 宮崎市に本社を置く(株)マエムラさんは、年間約300棟を手がける地場大手ですが、そのように大規模な事業を手がけるところと、張り合うつもりはまったくありません。弊社はまさに地元の工務店的な考えで、エリアごとに年間30~40棟の間で戸建住宅の販売を目指していますし、社員たちにも「無理な仕入れや受注をするな」といつも伝えています。無理な土地の仕入れや受注を行うと、今の人員のキャパを超え、建売住宅の品質維持に良くない影響が出てくるからです。各事業所のエリアにおいて、横ばいとなる年間30棟ほどの受注で十分です。30棟を受注する各事業所を増やしていくのが理想ですね。
 長崎、鹿児島以外の九州地区では、過去に熊本エリアへの進出を予定していました。しかし、16年4月に熊本地震が発生したこともあって、現在進出は保留の状況です。もう少し時間を置いてからゆっくり進出する予定です。

製造業に近い規格住宅「フォレクス」シリーズ

 ――低価格で住宅を提供できる秘訣は何でしょうか。

 亀井 弊社の建売住宅は「フォレクス」の名称でラインナップされています。「じぶんサイズの暮らし」をテーマに、3LDKは延床面積約80㎡、4LDKは88㎡で、価格は1,790万円からあります。3LDKもしくは 4 LDKで2,000万円を超えないというのは、かなりリーズナブルと言えるのではないでしょうか。「フォレクス」は品質保証、断熱性、省エネ性、耐久性、湿気対策の5つの品質を掲げています。低価格で販売しても、品質は絶対に落とせません。

 また、建売住宅でありながら最高ランクの断熱等性能等級4なので、1年中快適に過ごすことができます。窓も断熱性や防露性に優れた樹脂と、耐久性や意匠性に優れたアルミを融合させた“ハイブリット窓”サーモスL(LIXIL)を標準採用です。

 商品のラインナップは6パターンのみ。だから大工さんなんかは、4~5棟手がけると図面を見なくてもすべて頭のなかに入っているみたいで、業者さんへの見積もりもほぼなく、「今回はこのパターンだから」と、すぐに発注書送りとなっています。メリットとしては、業者さんは見積もりや打ち合わせの回数を減らせます。また、手戻りがない分、家を建てた後の不具合は今まで全部対処し、改善してきました。クロスに隙間が開いたとかそういった小さな案件はありましたが、基本的に複雑なアフターサービスはほとんどしなくていい。価格、設計、構造、施工などすべてがシンプルになり、低価格での提供が可能になるのです。

 戸建てに関しては、設計・施工も自社で行っています。どちらかといえば製造業的な販売ではないでしょうか。よくある話で、規格住宅と言いつつも顧客の要望に応えて間取りなどを変えているところもありますが、弊社では間取変更などは一切やっていないため、低価格でトラブルも少ないのです。

 ――今年4月に不動産管理会社のDipro(株)を購入しグループ化した経緯を教えてください。

 亀井 Diproの代表だった黒木透社長から直接お願いされました。福岡市内でも管理物件数が多い会社なので、変な同業者に売ると管理戸数だけが抜かれて、社員のクビは切られてしまうケースもあります。そうなると社員も困るので、「社員を守ってくれ」と言う意味合いがあったと思います。あとは民泊コンサルのairBestが上場を視野に入れているので、切り離したのではないでしょうか。黒木社長が社員を思う気持ちは大きく、また、弊社の福岡への拠点設置との話が一致したので話に乗りました。
 弊社では、社員が1番です。社員が大満足をする会社をつくりたいと思っていますので、これからも社員とともに歩んでいきます。

【道山 憲一】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:亀井 浩
所在地:大分市都町2-1-10
設 立:2006年11月
資本金:2億6,892万円
売上高:(16/12)19億4,360万円

<プロフィール>
亀井 浩(かめい・ひろし)
1970年、大分県別府市出身。国立大分高専を1年で中退後、建設現場で職人として働き、89年に個人創業。90年に(有)ケイズを設立し、94年に(株)ケイズへと法人改組。2006年11月に(株)グランディーズを設立し、08年には日本最速の17カ月で株式公開。12年に福岡証券取引所Q-board市場へ、14年には東京証券取引所マザーズ市場へ株式上場を果たす。17年、Dipro(株)の株式を100%取得し、子会社化。

 

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