2022年01月24日( 月 )
by データ・マックス

【検証】関空連絡橋衝突事故を振り返る~未曽有の衝突事故は防げたのか(2)

報告書を読み進めるうえでの留意点

 運輸安全委員会のHP下部には、参考というかたちで掲載され、報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語について以下のように定義されている。

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 報告書のなかで最も多く使用されたcの「考えられる」は可能性が高い場合に用いられるとされ、報告書全体で59回、「3 分析」に関する項目内では実に42回も使用された。次に多く使用された用語はdの「可能性があると考えられる」で6回。主に分析に関する項目、原因に関する項目、勧告に関する項目で使用されている。これら「考えられる」「可能性があると考えられる」の使用頻度は、報告書全体のおよそ95.6%にのぼる。

 一方、aの「認められる」、bの「推定される」といった、断定もしくは間違いないとされる用語については、aは2回、bは1回のみにとどまり、「3 分析」や「4 原因」を述べる項目内での使用は見当たらなかった。使用頻度を合わせても4.4%にとどまり、事故原因の「究明」という観点から見ると、読み手にとってはややぼんやりとした印象の報告内容とも受け取れる

 断定的な表現を用いることを極力避けているのか、用いることができない理由があるのか―運輸安全委員会に問い合わせたところ、担当者は、「事実情報として、記録されている数字ですとか、聞き取りの結果など、さまざまな情報を入手し、それに基づいた分析を行っております。中には100%事実とは言い切れない情報であったり、事実と証明できる材料が入手できていないなど含まれており、そうした状況を踏まえて、このような言い回しになっております」と話す。

 今回の衝突事故で得られた記録として残る確実な情報としては、AIS、風向風速などの記録。このようにすべての事象が事実として間違いのない(と認定される)情報であれば、より断定的な言い回しになったかもしれない。一方で、関係者からの口述や証言などに基づく情報は、当時の状況を正確に反映したものであるかというと、やや確実性に欠けるものであるともいえよう。

 今回の報告書は、こうして集められた情報を基に各種分析などが行われている。報告書を読み進めるうえでは、これら情報の確実性、正確性に留意したうえで読み進める必要があろう。

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(つづく)
【長谷川 大輔】 

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