2024年04月18日( 木 )

地球温暖化で危機に瀕する種子バンク:切り札は遺伝子組み換え!?(前編)

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2019年5月24日付の記事を紹介する。

 5月25日から「令和」の時代初の国賓としてアメリカのトランプ大統領が来日する。安倍首相とプレイする千葉のゴルフ場や、優勝力士に大統領が直々にアメリカ杯を贈呈する国技館など、訪問先の数々は厳重な警戒体制が敷かれている。日本の新型空母となる「加賀」への乗船も予定されており、ゆるぎない日米関係を世界に向けて発信するという。

 しかし、6月末に大阪で開催されるG20首脳会議の主要議題となる環境問題についてはほとんど関心が向けられていないことが気がかりだ。日米の同盟関係を最優先したいのは分かるが、両国が率先して取り組まなければ地球環境は取り返しがつかないところまできている。地球環境の再生なくして、日米同盟もあり得ないはずだ。

 自然との結びつきを大事にする生き方を積み重ねてきた日本であるからこそ、その真逆を行くようなトランプ流の「地球温暖化はウソだ!」と大見得を切り、パリ協定離脱を宣言してしまうようなアメリカに対して、方針の撤回を求める働きかけが、今こそ必要ではないだろうか。自然環境の破壊と人間生活への悪影響は抜き差しならないところにきている。その現実を直視すべき時である。

 例えば、2018年明け早々、チョコレートファンにとっては聞き捨てならないニュースが飛び込んできた。何と、アメリカの海洋大気協会(NCAA)の調査報告書によれば、「チョコレートの原材料であるカカオが絶滅の危機に瀕している。このままでは30年以内にカカオは地上から消滅する」とのこと。

 要は、2050年までにチョコレートが食べられなくなるという話。どうやら、その答えはトランプ大統領が認めたがらない「地球温暖化」にあるようだ。実は、カカオは中米の旧インカ帝国が原産地であり、医療や延命効果もある「神々の食べ物」と称され、2000年もの歴史を持っている。ブラジルやペルーでも収穫されるが、現在、世界のカカオの半分以上がアフリカのコートジボワールとガーナの2カ国で生産されている。

 ところが、近年の温暖化の影響で、赤道付近では雨量の減少が著しく、カカオの育成に異常が見られるようになった。加えて、新たな害虫や病原菌が次々と発生しており、チョコレートの原料が安定的に供給され難くなってきたというのである。コスタリカではカカオの輸出量が96%も低下してしまった。

 チョコレートメーカーにとっては由々しき事態といえよう。何しろ、欧米はもちろん最近では中国を筆頭に、インド、インドネシア、ブラジル、ロシアなど巨大な消費地においてチョコレートの需要は鰻登り。従来の農法では需要に追い付かず、今後は年間10万トンのチョコレートが不足するとの予測も出ていたからだ。

※続きは5月24日のメルマガ版「地球温暖化で危機に瀕する種子バンク:切り札は遺伝子組み換え!?(前編)」で。


著者:浜田和幸
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