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2015年04月27日 13:15

スカイマークの創業者、澤田秀雄氏の事業家人生(前)

 

今、ハウステンボスの救世主だ!

 民事再生手続き中のスカイマークは4月22日、全日本空輸を傘下に置くANAホールディングスと、投資ファンドのインテグラルの主導で再建に取り組むことが正式に決まった。1990年代後半からの航空自由化で誕生した新規航空会社4社は、すべてANAと資本・業務提携を結び、ANAグループに組み込まれた。創業者が悲願としてきたJAL(日本航空)とANAに伍す3社体制は潰えた。スカイマークの創業者、澤田秀雄氏(64)は今、大型リゾート施設「ハウステンボス」(長崎県佐世保市)に居る。

ロボットが主役の「変なホテル」を開業

huistenbosch ハウステンボスは7月17日、敷地内に「変なホテル」を開業する。「世界最高の生産性を持つローコストホテル」(澤田秀雄社長)を目指し、これまでにないホテルという意味を込めて、名称は「変なホテル」とした。
 ホテルは鉄骨2階建で、部屋は1~4人用が計72室。放射熱を利用して室内を適温に保つ建材を使用するほか、太陽光発電設備を設け、同規模のホテルに比べて約5割の省エネを図る。
 ローコストの決め手は、約10台のロボットの導入だ。フロント係は、ロボット開発会社「ココロ」(東京)などの人型ロボット3台が務める。フロントは無人化。宿泊客は、予約した名前を告げるとロボットが音声認識で確認する。顔写真も撮影し、ルームキーの代わりに、顔認証で客室の開閉を行う。
 客の荷物は安川電機(北九州市)の作業用ロボットなど3台が運ぶ。ロビーでは、アームロボットが、荷物の一時預かりを担当し、荷物をアームで持ち上げ、ロッカーに収納する。部屋番号を伝えると、ポーターロボットが、荷物を部屋の前まで運んでくれる。
 客のチェックアウト後、風呂掃除やベッドメイキングは人間が担当するが、床の清掃はロボット掃除機が担う。
 ロボットの導入で、人件費を同規模の一般的なホテルに比べて6~7割削減できると試算する。総事業費は10億円。
 料金はオークション方式で決める。例えば、シングル(21平方メートル)は1泊7,000円が最低料金で、希望者は1,000円単位で入札。宿泊日の1カ月程度前に、落札者が決定する。初年度の宿泊者は5万4,000人、売上高3億5,000万円を見込んでいる。
 澤田秀雄社長は、「これまでにない生産性が高いホテル。500店、1,000店と増やし、世界のホテルを変えていきたい」と語り、ロボット主役のホテルの多店舗展開に意欲を見せた。
 澤田氏の新事業への情熱はいささかも衰えていない。

運輸省=航空3社には歓迎したくない闖入者

 時計の針を巻き戻す。
 1998年9月19日。スカイマークの一番機は羽田から福岡に向けて飛び立った。JAL、ANA、JAS(当時の日本エアシステム)の3社の寡占体制に風穴が開いた瞬間だった。
 だが、35年ぶりの新規航空会社の就航は難産を極めた。新規参入には抵抗が強かった。事業開始時に「半額キャンペーン」というディスカウントサービスの計画に、所轄官庁の運輸省(現・国土交通省)が激怒、事業認可を下ろさなかった。
 スカイマークを起業した澤田秀雄氏は、自著『HIS 机二つ、電話一本からの冒険』(日経ビジネス文庫)でこう回想する。

〈スカイマークの掟破りの事業戦略が既存の航空会社や業界から忌諱されたようで、期待していた事業認可が下りないのである。3カ月、6カ月と努力を続けても、なかなか良い結果は得られなかった。なんと、事業認可が下りたのは初飛行の予定前日の夕方4時ごろだった〉

 規制緩和が政府の方針とはいえ、所管官庁の運輸省や航空3社には、歓迎したくない闖入者だった。運輸省や既存航空会社との軋轢が後々まで、スカイマークの経営に影を落とすことになる。
 澤田氏と航空会社の間には、以前から確執があった。

〈海外の航空会社はHISが手がける海外旅行の格安チケットについて協力的で、ビジネスの拡大に積極的なのに、日本の航空会社は全く非協力的で排他的だった。格安チケット販売をビジネスにして一人でも多くの海外旅行をサービスしたいと願うHISの事業ポリシーと、規制という囲いの中で独占的な利益を享受していた日本の航空会社の経営ポリシーは、全く相いれなかったのである〉(前掲書)

 格安チケットをめぐり、軋轢があった澤田氏が、「航空運賃の半額」を売り物に航空業界に殴り込みをかけてきたから、既存の航空会社は猛反発。澤田と航空3社のガチンコ勝負が繰り広げられることになった。

(つづく)

 

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