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2019年06月13日 09:40

医者があきらめた疾病を完治~動静脈瘻による左手切断から救われたAさん(61歳女性)

長尾治療院

 生薬方とともに東アジア各国の主要な医療技術として発展してきた伝統医学の鍼灸によって、現代医学では治療できないと診断された多くの患者が救われている。患者視点での医療を考えてみると、西洋医学と東洋医学という垣根を越えた医療のあり方が見えてくる。どちらが優れているのかという議論ではなく、それぞれに有意な症状があるという認識が明日の医療に求められるべきではないだろうか。

<プロフィール>
長尾 良一(ながお・りょういち)

1949年福岡県生まれ。手技療法の大家であった父・松造氏の跡を継ぎ、長尾流の手技と独自の鍼灸治療で現在に至る。長尾治療院院長、日中特種鍼法研究会会長を務める。

不治の病の駆け込み針灸院

 どこに行っても治らないと診断された患者が一縷の望みをもって訪れる針灸院がある。針灸は身体に鍼や灸を用いた刺激を与えることで、多様な疾病への治療的な介入や健康増進を目指す医療技術であり、身体へ加えたさまざまな物理刺激による治療的経験則の集積である。

 針灸はもともと中国の伝統医学として伝承されてきたものだが、日本では17-19世紀に独自の発展を遂げており、現在では中国式と日本式として異なる針法が存在している。

 佐賀県唐津市にある長尾治療院は、院長である長尾良一氏が1980年に設立した針灸院で、日本に伝わっている針法のみならず本家である中国特種針法の大家らの技術をもとりまとめた日中特種針法を施している。中国の伝統的医学として伝承されてきた針灸は治療的経験則の集積であるため、その技術は一子相伝、門外不出の扱いであった。

 そのため現代医療においてはその普及は限定的なものにとどまるが、その治療によって救われた患者は少なくない。

3病院とも「治療できない」

 30年以上調理師として仕事を続けていたAさんは55歳をすぎたころから左手親指のつけねに痛みを感じ始めた。17歳のころに怪我をして縫合したあたりでの違和感であった。しばらくは痛みを我慢しながら仕事を続けたが、痛みは日々増大してくる。

 知人の勧めもあってAさんは当時勤務していた病院で診察を受けたところ、左手親指つけね付近の動静脈瘻(どうじょうみゃくろう)であることがわかった。この症状は動脈と静脈が絡まってくっついているため、それから先に血液が流れずに組織が死んで再生できなくなる。もとになっているところから切断しなくてはいけないというのが現代医学の見立てである。

 当時Aさんの指は通常の3倍ほど膨れ上がっていた。調理師という仕事をもつAさんにとって左手首を切断するという診断結果はあまりにも耐え難い現実である。

 血管造影などによる診察の結果、動脈と静脈が潰れていて治療は不可能であると宣告されたAさんは、セカンドオピニオンを求めて民間の医療機関として医療用ヘリコプターを運航している病院を紹介してもらった。ところが、先の診断で撮った画像を見た医者は即座に治療ができないことAさんに告げた。「ここまで血管が潰れていたら治せない。あとは左手首を切断するだけ」このあと3番目に訪れた大学病院でも同じことを言われた。

 放っておけば命の危険があることを知らされたAさんは、生きるために左手首切断の決断を突きつけられていた。そうなればもちろん今まで通りの仕事は続けられない、これからどうやって生きていけばいいのか。

 当時、生きた心地がしなかったというAさんは腰痛の治療で通っていた長尾治療院でその不安を口にした。するとそれを聞いた長尾院長から思いもよらない言葉が返ってきた。「僕が治してやる」。

症状から導かれる治療法

 Aさんの治療に対して長尾院長は静脈瘤(じょうみゃくりゅう)の治療法を基本として考えたという。

 静脈瘤とは筋肉のポンプ作用が落ちたり、血管の弁の機能が悪くなって静脈の血流が停滞することによる症状で、妊婦や長時間立ち仕事をするような人に見られる。中国にはこの静脈瘤を治療するために血管や弁を操作する独特の方法があり、長尾院長はそこからAさんの治療法を見極めていった。

 また、過去の経験も見極めの一因となった。かつて顔面腫の手術のために一時的に血液を止める必要があるが、脳死の状態になるために手術ができないと診断されていた患者に対して、顔面にできた大きな腫瘍に血栓がつくられないよう針治療を施し、危険なく少しずつ血液を外部に排出して鮮血を流していくという治療の経験があった。

 その結果、患者の患部が改善されたことで医療機関での外科手術は無事に成功したという。

 左手にできた動静脈瘻に絶望したAさんは長尾治療院で治療を始めた1カ月後、仕事に復帰した。不治の病の宣告から左手首切断を余儀なくされた状況が一変したのである。

 「動脈と静脈が一体化したような、私たちがみても絶望する症状を先生は治してくれた」とAさんは当時を振り返る。治療から4年が経過し、Aさんの手には当時の痕跡が色濃く残るが、今は仕事も家庭もまったく支障なく過ごせている。

 「3つの医療機関から治療できませんと言われた時のショックは今でも忘れられません。こうして今も仕事を続けていけるのは先生のおかげで本当に感謝しきれません」不治の病が不治ではないことがある。このことがもたらす明日への希望は計り知れない。

<COMPANY INFORMATION>
所在地:佐賀県唐津市西城内6-7
TEL:0955-72-7243
FAX:0955-74-7072
URL:http://nagao-chiryouin.jp
治療内容:内科・外科・婦人科・皮膚科・眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・精神科・脳神経科系

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