2024年05月20日( 月 )

非常用発電機の点検厳格化、ビジネスチャンスの裏に潜む罠(後)

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消防庁「誤解与える表現」

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 JLAについては、さらなる疑惑も浮上している。JLAが3月に東北地方で配布した1枚の案内文書がある。義務付けられた消防用設備が設置されていないなど、重大違反のある建物を公表する「違反対象物公表制度」を告知する内容となっているが、このなかに気になる一文がある。赤字の「これらの消火設備を作動させる非常用発電機も含まれています」という部分だ。

 消防庁が公表の対象としている「例示」では、屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、自動火災報知設備などであり、非常用発電機は含まれていない。消防庁に確認したところ、「各自治体によって判断は異なるが、消防庁としては非常用発電機の例示はしていない。そのため誤解を与える表現になっている」と回答している。

 そもそも、なぜ違反対象物公表制度の告知に対象として含まれていない「非常用発電機」を加えたのか――。案内の下半分には、突如として非常用発電機の負荷試験の案内が続いており、違和感を覚える記載内容だ。

 この案内文を見た関係者からは、「(非常用発電機を)点検しないと、公表されるというイメージを与える、脅し商法ではないか」との声も出てきており、JLAまたはその加盟店の営業手法に疑惑が生じている。

権利金トラブル、加盟者「仕事が回ってこない」

 実際にトラブルに見舞われた、相談者Aさんのケースを紹介しよう。
 Aさんは、一連の非常用発電機の点検が厳格化されるずいぶん前から、点検業務を生業としていた。数年前、紹介を受けて知り合ったのは、負荷試験を推進するX協会。協会の説明では、「ある協会と業務提携しているので、年間相当数の点検業務が入ってくる。加盟金を払えば、仕事を斡旋する」というものだった。X協会の話を信じて、Aさんは加盟金として、数百万円を支払い、仕事を待った。

 しかし、待てど暮らせど、仕事は回ってこない。不審に思ったAさんは、X協会と某協会の関係を調べた。そこで発覚したのが、業務提携の事実がなかったことだ。Aさんはその真偽をたしかめるためにX協会に直訴。しかし、返ってきた答えは「業務提携を結んでいるといった覚えはない」というものだった。

 X協会は法人登記されているものの、その稼働実態は確認できず。加盟金の返還を求めて、法的手続きを取る予定だ。

 全国的に非常用電源の点検義務は厳格化されつつあり、今後、点検業務に関する新たなビジネスチャンスが広がると予想される。そこにはさまざまな思惑をもって、群がる怪しい人間がいるのも事実だ。有事の際に、消防設備が動くようにと、真っ当に事業を行っている企業がほとんどだが、1つでも疑念や疑惑があれば、業界全体が疑いの目で見られてしまう。広く一般的に知られている話ではないし、ニッチな業界だけに、正しい情報が少ないのも事実。少ない情報のなかで、いかに正しい情報を見極められるかが、何よりも重要になってくる。

(了)
【東城 洋平】

 
(前)

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