2024年03月29日( 金 )

古賀市の未利用地8万坪の区画整理、起工式経て、新たな物流拠点へ造成始まる(後)

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業務代行者現れる、実現に向け加速

事業予定地

 そのようななか、エステートプランが16年6月に東京のデベロッパー、(株)日本エスコンとめぐり会った。九州での活動を強化したかった日本エスコンにとっても、やりがいのある大仕事。ようやく事業母体(業務代行者)が決定した。

 16年12月、準備組合は日本エスコンに業務代行を正式に依頼。その間も花鶴不動産、エステートプランが地権者をまとめ、(株)地域開発プランニングが認可の申請を行った。「古賀市玄望園土地区画整理準備組合」は17年5月に日本エスコンに自動車関連工場および物流施設の開発事業を委託する合意書を締結。そして18年1月に、晴れて福岡県より区画整理事業の認可が下りた。

 3月10日、古賀市筵内の建設現地で、「古賀市玄望園土地区画整理事業 起工式」が開催された。式典には事業主・地権者のほか、行政関係者、業務代行・設計施工関係者ら約70名が参列。3月より造成工事に着手し、造成完了には約20カ月を要する見込みだ。

 ここまで漕ぎ着けられた要因は、バブル崩壊やリーマン・ショックを経て、景気が回復傾向にあったことが挙げられる。そのため、企業が設備投資を行える状況になってきたことに加え、「成長続く福岡市近隣に物流施設がほしい」という企業のニーズも高まっていた。古賀市としても、企業誘致ができれば、税収は増え財政が潤う。雇用も生まれる。中村隆象・現古賀市長も、玄望園の再開発を自らのマニュフェストに掲げていたほど、念願の事業実現である。

古賀サービスエリア

 7年かけて事業を見守ってきた岩原氏は、「土地がまとまっていたのに、事業母体が決まらず、時間だけが過ぎていた。エスコンとの出会いが最大のポイントだった」と振り返る。庵原社長も、「2度の挫折を乗り越え、今回起工式を開催できたことを大変嬉しく思う。何よりも、多数の地主の思いを実現し、古賀市の発展に貢献できることが最大の喜び」と事業にかける思いを話している。庵原氏にとってみれば、苦節30年の一大事業である。感慨もひとしおというわけだ。

 今後期待されるのは、古賀サービスエリアにスマートICが導入されること。工業団地と直結されることで、物流施設としての価値は格段に上がる。それを聞きつけてか、すでに複数企業より物流施設開設の話が舞い込んできており、問い合わせも多いという。関係者はもちろん、地元住民、隣接自治体の期待も大きい事業に、注目が集まっている。

(了)
【東城 洋平】

 

(前)

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