活用策は「上階を開放」――大転換期で新天町は生き残れるか!?(後)
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2019年07月16日 07:00

活用策は「上階を開放」――大転換期で新天町は生き残れるか!?(後)

 ――人がいれば、それだけで賑わいが生まれてきますから、2~3階部分を活用して住民を増やしていくというのは、賑わいを生む1つの手だと思います。

HIPPO Design Research Network 代表
椛島 清太 氏

 佐藤 天神に限らず、ヨーロッパの街にあって日本の街にないもの、それは都心の中心部のマーケットです。観光に特化したようなマーケットもあれば、日常生活に特化したようなマーケットもありますが、そういうところに人がきて、賑わいが生まれるじゃないですか。そういったマーケットが、天神の街中になぜないのか――。

 椛島 今、アメリカなどで「ジェントリフィケーション」(地域の高級化により一般の人が住めなくなるということ)という現象が起こっているのですが、これは問題だと思っています。たとえば、シアトルやサンフランシスコなどでは、ハイテクの企業が集まって街は良くなったのですが、一方で家賃が高騰し、そういう高給取りしか住めない街になってしまいました。そうすると、そこからどうしても生活感が失われ、街の魅力がなくなっていくわけです。

 今の天神ビッグバンもそのように、時代に逆行しているように思えてなりません。私としては、生活の多様性―いろいろな年齢層のいろいろな家族体系の人たちが、お願いをしてでも街に住んでもらえるような、そういう枠組みを行政主導でつくるべきだったと思いますが、それを捨ててしまって、ジェントリフィケーションの道をまっしぐら。そうなると、誰も住みませんよね。

 ――そうならないために、新天町はこれからどうなっていくべきでしょうか。

 椛島 商業的見地でいうと“物”は絶対になくなりませんが、これからは、その必要な物を「どう買わせるか」という方向にシフトしていくと思います。物に対する価値観の在り方をどうつくっていくかが、これからの勝負の肝だと感じます。

 佐藤 やはり、街中の商店街にとっては、そこに“来る理由”や“行かないとできないこと”などが必要ですよね。

 椛島 ベタな話ですが、今はモノ(物)消費からコト(事)消費へと移行しているといいますが、さらにこれからは、トキ(時間)消費やトコ(場所)消費なども出てくるでしょう。その4つを組み合わせて、「行く理由」と「居る理由」「使う理由」などをいかにつくっていくかが、問われていると思います。昔であれば、「アンカーテナント」(核テナント)として、百貨店やGMS(総合スーパー)などが集客力をもっていましたが、もはやその力はありません。そうなると、あとは組み合わせることでマグネット力を付けるしかありませんが、その組み合わせのクリエイティブなアイデアをどうつくるか―。

 佐藤 これまで話してきたような、新天町としての新たな価値づくりは、ハードがともなえばそれに越したことはありませんが、既存の新天町のなかでも、コンテンツさえ全部替えてしまえば、成り立つように思います。新天町の商店街全体が何かポリシーをもって、「ここはそれを表現する場所だ」――みたいなことになれば、その考え方に共感する人たちが、わざわざそこまで出かけてくるというようなことはあり得ます。

 現実的な話をすると、1~2階部分はそのままにしつつも、上階部分を、たとえば、ネットやグラフィック、建築など、クリエイティブな活動をやっている連中を集めて、それに特化したような場所にしていけば、それだけで1つの価値になりますよ。

 椛島 そうした人たちが集まることによって、また新たな価値ができたり、新しいモノができたりしますし、そうすると、そこにきたい人も増えます。新天町をそうした何かの“メッカ”にしていくことで、その場所自体をブランド化していく取り組みも面白いでしょう。それで人は集まりますからね。波及効果は絶対にあると思います。外国人観光客だって、絶対に来るでしょう。

 たとえば、新天町の上階部分を全部フリーにして、“入れ子”で小さなハコをたくさんバラバラに入れて、そこでハコごとに好きなことをやれるようなスペースにするのはどうでしょうか。かっちりと決めるのではなく、そのなかに飲食があったり、事務所があったり、物販があったり、サービスがあったりなど、好きにやれる土台を用意できたら面白いかもしれません。

 佐藤 すべてを新たにつくり直すのは難しいですが、上階部分にテコ入れしていくだけでも、新たな魅力をつくっていくことは十分に可能だと思います。新天町がこれからどうなっていくか、我々としても期待しています。

(了)
【坂田 憲治】

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