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2019年07月23日 17:28

伝統の「対応力」で中核事業に~飯塚病院

 麻生グループは、地方財閥起源の企業としては稀有な存在だ。九州勧業・紙与産業は大家業に転じた。安川電機は株式上場して大企業となった。祖業に固執した貝島炭礦は消滅した。麻生グループは約150年に渡りオーナー経営を維持したうえで、地場有数の総売上高3,851億円を上げている。その真髄は現在の中核事業である麻生飯塚病院にみることができる。

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慢性赤字でも巨額投資の決断

 (株)麻生飯塚病院は、1818年に炭鉱王・麻生太吉氏が私財を投入して開業した。地域医療の充実を目的としており、収益は重要視されていなかった。同院は1972年から4年間と79年から6年間、そして88年から2年間赤字を計上している。

 76年から経営に参画した現会長・麻生泰氏が黒字化に取り組むが、「オンボロ病院」と評価される施設の再建は苦難を極めた。当時、セメントなど有力事業を擁するグループにおいて、病院の売上高は50億円以下。ほかの事業を優先してしかるべきだが、赤字まっただ中の82年に45億円を投資して救急救命センターを設置している。中核事業に成長した現状では正解だったといえるが、当時としては異様な経営判断だ。

 その後、海外有名病院との提携によって優秀な研修医を呼び寄せる仕組みを確立して収益力を改善。経営不振の官立病院との提携やグループ化により規模を拡大していく。

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増収続ける企業立病院

 麻生グループのセグメント別の医療事業の利益は15年3月期から4期連続で赤字を計上しており、決して簡単な事業ではないことがわかる。それでも19年3月期に394億円の売上高を計上。4年間で50億円以上の増収を遂げ、黒字化をはたしている。

 麻生飯塚病院を運営する(株)麻生は単体で増収を続け、しっかり利益を捻出している。医療設備の導入や建物の耐震化など、多額の設備投資が不可欠な中、着実に成長を遂げている。

 19年3月期の(株)麻生は単体で3.5%の増収となる売上高411億5,600万円を計上。経常利益は23%の増益となる36億1,600万円を計上した。14年3月期に13%に満たなかった自己資本比率を14.2%に引き上げた。この間96億円だった内部留保を187億円とほぼ倍増させている。18年の1日当たりの入院患者は926人。稼働率を単純計算すると約88%となる。平均在院日数は13.9日。退院日と退院可能日の乖離を縮めることで稼働率を上げている。

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5世代続く変化への対応力で生き残り

 麻生グループの経営は当代・巌氏で5代目である。家訓は「程度大切 油断大敵」。「程度大切」は現状と将来分析を行ったうえでの「身の丈経営」。柔軟対応による業態変更にもつながる。石炭からセメントへ主力事業を転換させたことは有名だが、泰会長は建設不況化でセメント業界が再編するなか、フランス・ラファージュ社との提携により、苦境を乗り切った。約4,000億円の売上はオーナー企業が統治するには、とてつもない規模だが、伝統の「変化への対応力」が独自の体制を守ってきた。

 今後もM&A・提携や海外進出などで生き残りを図っていくものとみられる。

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