2024年04月30日( 火 )

中国経済新聞に学ぶ~米中貿易戦争1年 両国は4.4兆円損(前)

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 米国と中国が互いの製品に追加関税をかけ合う貿易戦争に突入してから7月6日で1年になった。米紙ロサンゼルス・タイムズ(電子版)が2日、「ロサンゼルスの高級店から中国人観光客の姿が消えた」とする記事を掲載した。

高級店から中国人観光客の姿消える

 高級時計やジュエリーなどを扱うChong HingJewelersの店内は「空っぽ」だ。中国語を話すスタッフは、きらびやかな陳列ケースの後ろに手持ち無沙汰な様子で立ち、来ないかもしれないツアーバスに乗った中国人観光客を待っている。

 同じ光景は、そこから遠くないHouse of ItalyJewelryでも見られる。

 関係者によると、中国人観光客は数年前、地元の宝飾業界の売り上げの約半数を占めていた。だが現在は5分の1ほどだという。

 2017年の中国本土の高級品価格は世界平均に比べて21%も高かった。この歴史的な価格差が、数万人の中国人がパリやニューヨーク、ロサンゼルスなどの高級店を訪れブランド品を購入するのを促した。コンサルティング会社ベイン・アンド・カンハニーによると、2018年の中国人の海外での高級品支出は、世界市場の約4分の1に相当する約700億ドル(約7兆5800億円)に上っている。

 だが現在、こうした買い物客は支出先を東方に移している。中国政府は昨年、高級品輸入関税を引き下げた。これは米中貿易戦争の間接的な影響でもあるが、中国の国内消費推進計画の一環でもある。海外での購入で節約できるお金が少なくなるにつれて、中国人はますます国内で高級品を購入するようになっている。ベイン・アンド・カンパニーの試算によると、中国人消費者の高級品消費のうち国内での消費が占める割合は、2015年は25%に満たなかったが、2025年には50%に達するという。これらの変化はすでに海外の業界に打撃を与えている。

 小売店の多くはこれまで、尽きることのないように思われた中国人購買者に頼ることで利益を確保してきた。中国人観光客はロサンゼルスに何十億ドルもの収入をもたらしてきた。中国からロサンゼルス郡を訪れた観光客数は2016年に20%以上増加し、7年連続で2桁の成長を記録した。だがそれ以降は減速し、2017年は約12%増となり、昨年は7%増に届かなかった。

中国人富豪による米国不動産への投資額が激減

 仏国際放送局RFIの中国語版サイトは21日、米中貿易戦争がエスカレートする中で、中国人富豪による米国不動産への投資額が激減していると報じた。

 記事は米ウォール・ストリート・ジャーナルの報道を引用。全米不動産業者協会が発表した統計で、この2年間で外国人による米国不動産の成約額が半減しており、今年3月までの1年間で中国人が購入した米国不動産の総額は130億米ドル(約1兆4000億円)を少し超える程度で、前の1年に比べて56%も減少したと伝えている。

 そして、経済学者や不動産業界関係者の話として、この1年は世界経済の成長鈍化、米中貿易戦争のエスカレート、トランプ米大統領による反移民の言論、さらに米ドルの上昇といった要素が重なったことで、外国人投資家が「米国は友好的な場所ではない」と認識するようになったとした。

 また、現在の外国人による米国不動産購入規模について、中国や南米の購入者が「安全な資金の保管先」として目を付け、続々と米国不動産市場に参入し始めた2013年以降で最低の水準にまで落ち込んだとも伝えている。

 そして、同協会のチーフアナリストが「この縮小幅には相当驚かされる」と語るとともに、これまで価格をつり上げてきた中国人の米不動産離れにより不動産価格が落ち着くことは米国における住宅不足問題を解決するうえで有益だとの見方を示す一方、ニューヨークやマイアミといった高級住宅の供給過剰地域にとっては価格の下落は決して喜ばしいことではないと語ったことを紹介した。

(つづく)


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(後)

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