• このエントリーをはてなブックマークに追加
2019年08月05日 07:00

【ネクスト(次世代)カンパニー】「のるーと」でバス事業の新たなビジネスモデルを(後)

ネクスト・モビリティ(株) 代表取締役社長COO 田中 昭彦 氏
代表取締役副社長CSO 藤岡 健裕 氏

ライドシェアを取り入れないと将来はない

 ――「のるーと」を海外輸出する構想があるそうだが・・・。

 田中 西鉄は、デベロッパーとして、東南アジアの住宅開発などを手がけている。郊外での住宅開発の場合、交通手段が問題になることがある。交通のオペレーションは基本的に現地法人にお願いしているが、我々が「のるーと」を通じて、優秀なオペレーションシステムを開発できれば、現地でも実装することができる。そういうチャンスがあると考えている。

 乗り物には、鉄道や航空機などの大幹線、バス、タクシー、自転車などのレイヤーがあるが、ライドシェアと呼ばれる相乗りサービスも生まれている。鉄道やバスを運行する西鉄にとっては、ライドシェアは強力なライバルになる。ライドシェアに対して、対抗するのではなく、これをうまく取り入れて、ビジネスチェンジする必要があると考えている。既存のビジネスモデルに固執したままだと、将来はないという危機感がある。

 都会のバス会社でも田舎のバス会社でも、同じだ。既存のビジネスとどう組み合わせて、どういうポジションを取るかを考えなければならない時代がきている。乗り物ツールのどれ1つとして欠けることなく、全部入れてグランドデザインを描いていくことが、これからの交通ビジネスの姿になる。その意味で、「のるーと」は大きなエレメントになる可能性がある。

 ――自動運転は?

ネクスト・モビリティ(株) 代表取締役副社長CSO
(三菱商事(株)いすゞ事業本部モビリティサービス事業推進室次長)
藤岡 健裕 氏

 藤岡 当然、可能性としてはある。ただ、自動運転をめぐる日本の法制度を考えると、完全自動運転(レベル5)の車両が一般公道を走るにはまだまだ時間がかかる。技術的な問題に加え、法制度や責任所在の問題もネックだ。

 田中 車両コストもハードルになる。仮に1台数千万円かかる場合、自動運転にするメリットはなんなのかという話になる。

バス事業は利益率が低いが逃げるわけにはいかない

 ――「西鉄=バス」のイメージが強い。

 田中 西鉄は、運輸事業を核として、いろいろな事業を行っているが、やはり交通は、西鉄ブランドの源泉になる。交通に関して、確固とした基盤、ビジネスモデルをもっておく必要がある。そういうところから、未来モビリティ部が設置され、「のるーと」という乗り合いサービスが始まっている。我々の部では、自己モデルの点検、変革モデルの検討に取り組んでいる。

 西鉄のなかでは、バス事業のウエイトは小さくなっている。利益率も低い。実態のあるリアルなサービスは難しくなっているが、そこから逃げるわけにはいかない。時代や環境に合わせて、モデルを少しずつ変えながら、地域の交通、人の移動を支える会社であり続けようと努力している。バス事業は、誰でもいつでも乗ることができる非常に優しいサービスだ。もっと大切にされて良いサービスであり、運転手の待遇ももっと改善されるべきだと考えている。

 そのためには、「人を乗せて運ぶ」という今まで通りのバス事業を続けているだけではいけない。たとえば、バスは年中無休で定時定路線なので道路の痛み具合などがモニタリングできるほか、人の動きである乗客の乗り降りのデータはまちづくりに役立つ。こういったものに経済価値が付けば、バスの付加価値が上がる。バスのあるまちにはメリットがあって、運転手はそれを支える貴重な存在だということになれば、「バスの運転手になろう」という人も増えるかもしれない。

 西鉄ではこれまで、「すべて西鉄で塗り替える」という競争意識をもってビジネスをしてきた。ただ、今はそういう時代ではない。これからは他社やお客さまと協調してやっていかなければいけない。西鉄全体として、モデルチェンジしてきている。そのなかで、トヨタ自動車(株)や(株)日立製作所など異業種とのアライアンスも増えている。

「のるーと」を世界に通用するモデルに

 ――「のるーと」をどう育てていきたいか。

 田中 日本のオンデマンドバスの標準モデルに、そして全国各地で使ってもらえるサービスにしたい。最終的には、世界でも通用するモデルに育てたい。それぞれの地域にオペレーションパートナーがいれば、適宜カスタマイズを加えれば、世界のどこでも可能だと考えている。この手の話に国境はない。

 藤岡 モデルを国内外に広げるためには、まずアイランドシティで成功しなければならない。成功とは、お客さまに安定的に使ってもらうことを意味する。お客さまを増やし、使い続けてもらうモデルに仕上げることが我々の第一歩になる。

(了)
【大石 恭正】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:田中 昭彦
所在地:福岡市博多区博多駅前3-4-25
設 立:2019年3月
資本金:1億5,000万円
URL:https://www.next-mobility.co.jp

<記者プロフィール>
大石 恭正(おおいし・やすまさ)

立教大学法学部を卒業後、業界紙記者などを経て、フリーランス・ライターとして活動中。1974年高知県生まれ。
Email:duabmira54@gmail.com

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2020年02月20日 16:54

福岡県、東京都内で予定していた企業誘致セミナーを中止

 福岡県は2月20日、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、3月9日に東京都内の会場で予定していた「福岡県外資系企業誘致セミナーin東京」の開催を中止すると発表した。

2020年02月20日 16:45

中国の新型肺炎の新規患者数が約25日ぶりに1,000人以下に~都市封鎖の効果が出始めたか

 中国国家衛生健康委員会の発表によると、中国における新型コロナウイルスによる肺炎の新規患者数の増加がペースダウンしてきている。18日から、肺炎に罹ったものの、回復し退...

2020年02月20日 15:54

ホークス、ファンサービスなど自粛~新型コロナウイルス感染対策で

 福岡ソフトバンクホークスは本日20日から、新型コロナウイルス感染予防のために選手によるファンサービスを当面の間、自粛する。ファンサービスの内容は、サイン、ハイタッチ...

2020年02月20日 15:20

【シリーズ】生と死の境目における覚悟~第3章・「尊厳死」とは(前)

 運営する「サロン幸福亭ぐるり」(以下「ぐるり」)で、新年をはさみ2件の常連客を亡くした。1人は82歳の男性Sさんで、死因は血液のガン。もう1人は77歳の女性Eさんで...

2020年02月20日 14:51

ベトナムの「光と影」(前)

 経済発展が進むベトナムの「最前線」を体感することを目的に、2月14日から18日の期間、12名でハノイを視察した。一言でいえば、現地・ハノイは新型コロナウイルスに戦々...

2020年02月20日 14:00

インターネット時代における言論人の使命・責任とは何か!(2)

 2つの基調講演が行われた。1つ目は、クリフォード・スターンズ米国前下院議員、2つ目は、申宰元・現代自動車副社長である。クリフォード前議員は、今言論人を取り巻く環境は...

2020年02月20日 13:30

アベノミクスがもたらす「資本栄えて民滅ぶ」国の未来(3)

 かつて株価は経済を映す鏡と言われた。株価上昇は景気回復の先行指標であり、株価下落は景気後退の先行指標だった。しかし、この関係が崩壊している。第2次安倍内閣が発足して...

2020年02月20日 12:57

糸島市、福吉地区活性化計画を策定

 糸島市は、農山漁村の活性化を目的として、国や地元福吉の産直市場「福ふくの里」と協議を進めていた「福吉地区活性化計画」を策定した。

2020年02月20日 11:30

生活より景観が優先された「鞆の浦」「ポニョ」の舞台も人口減と高齢化、観光も低迷(前)

 鞆の浦の路線バスは通常のバスより小さいが、道路沿いの家に触れそうなほど車体を近接させて通行していた。これでは有事の際、消防車や救急車が到着するのに通常以上の時間を要...

2020年02月20日 11:24

新型コロナウイルス、輸入建材関係の調達にも影響

 新型コロナウイルス感染拡大の影響が、建設業界にも出始めているという。福岡県内の戸建事業者は、戸建住宅用の資材は主に輸入建材を使用いるが、今回のコロナウイルス感染拡大...

pagetop