2024年04月19日( 金 )

空気の質が問われる時代に(前)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 人間の生存に欠かせないものとして、食べ物、水、空気などが挙げられる。食べ物を食べて栄養を摂取しないと、人間は生命の維持ができなくなる。水も同じである。人間の体の7割は水で構成されており、水を飲まないと人間は生きられない。

 数十年前まで、水はタダ同然だと思われてきたが、現在は水の味や安全性にこだわるようになり、ミネラルウォーターなどを買う人が増えた。一方、呼吸に必要な空気はどうかというと、今まであまり意識されることがなかった。しかし、世界の工場となった中国から飛んでくるPM2.5の問題、それから各種建築資材などから発生する揮発性有機化合物などの影響で、空気の質が問われる時代になりつつある。

 今回は空気の質を中心に空気清浄機の話を取り上げてみよう。

 世界保健機構(WHO)が、108カ国、4300都市の空気の質のデータを収集し、分析したところ、世界の人口の10名中9名は、非常に汚れた空気を吸っているという結果が出た。同報告書によると、毎年約700万人はPM2.5が原因で亡くなっているという。

 このような統計を例にあげるまでもなく、日常生活で空気はとても意識されるようになっている。中国ではマスクをつけるのが日常となり、韓国でも、子どもの健康のことを考えて、外国に移住するという極端な選択をする人が現れるようになった。

 これまで空気はそれほど意識されることがなかったが、健康意識が高まった現代では、空気は健康に重要な要素の1つとなった。このような空気の問題を解決するために導入されているのが、以前からある空気清浄機である。韓国では空気清浄機が結婚する際の必須用品になるなど、空気に対して敏感になっている。

 それでは、空気清浄機について、もう少し詳しく話を進めてみよう。空気清浄機の浄化方法には、いろいろな方式が存在しているが、そのうちの9割はフィルターを採用した浄化方法をとっている。

 空気清浄機の基本機能には、消臭、殺菌、空気の浄化などがある。実は今までの空気清浄機は、それらの機能がそれほど強力ではなく、限定された条件のなかで、効果が発揮できるものが多かった。それに既存の空気清浄機は、部屋の空気を吸い込んで、それをフィルターで浄化して、空気を吐き出しているが、吐き出す力より吸い込む力のほうが大きくなっているので、吐き出された空気の一部は、再び空気清浄機に吸い込まれ、空気が空気清浄機周辺でぐるぐる回っていることが多い。

 また、最近の多くの空気清浄機にはセンサーが付いており、空気の質が判断できるようになっているが、空気清浄機の周辺は、上記のような理由で、いつも空気がきれいになっているので、センサーの表示はあまり意味がなく、部屋全体の空気の質は、実はそれほどよくない場合がしばしばある。

(つづく)

(後)

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