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2019年08月10日 07:10

『盛和塾』稲盛塾長、最後の講演(4)

 人間は生きていくために、いろいろな知識を身につける必要があります。しかし、そのような知識をもつだけでは、実際にはほとんど役に立ちません。

 知識を「こうしなければならない」という信念にまで高めることで、「見識」にしていかなければなりません。

 しかし、それでもまだ不十分です。さらにその見識を何があろうが絶対に実行するという、強い決意に裏打ちされた「胆識」にまで高めることが必要です。

 フィロソフィも同じです。「論語読みの論語知らず」とよく言われますが、フィロソフィを学び、それを従業員に説こうとする経営者も、往々にして「フィロソフィ読みのフィロソフィ知らず」になってしまいがちです。

 誰しも、自分は何度も塾長からフィロソフィの話を聞いたことがあるし、本でも読んだことがある。言われれば「ああ、それなら知っている」と答える。だから、自分は知っているつもりで従業員に対してフィロソフィを説いているわけですが、実際には、自分の信念にまで高まっていませんから、伝わっていかないのです。

 フィロソフィを知っているだけでは何にもなりません。それが信念にまで高まった見識となり、さらに実践を促す胆識となってはじめて、皆さまが説く言葉が従業員1人ひとりの心に響いていくのです。

 ここまで、フィロソフィとはどのようなものか、また、フィロソフィの持つ力を信じることの大切さについてお話してきました。

 次に、経営者として、従業員に対してフィロソフィをどのように説くのか、その具体的な方法や姿勢についてお話していきたいと思います。

 第一に、フィロソフィを説く経営者に求められることは、最初はまねごとでも良いから、私が話したフィロソフィを自分の考え方のように、そのまま従業員に伝えていくことです。

 フィロソフィを聞いてすぐに、誰もがそれを揺るぎない信念とし、自らの血肉にし、実践していくことができるわけではありません。多くの塾生の皆さまは、盛和塾に入塾してから私のフィロソフィを勉強し、「稲盛塾長はこういうことを言っている」と聞いて、それをそのまま社内にもち帰り、オウム返しに従業員に話をするというケースが大半だろうと思います。

 想像するに、それまでは、従業員に生き方や働き方について話をしようと思っても、どういうふうに話をすればよいのか、その方法がわからなかったのだと思います。生半可に「自分はこう思う」と言ってみたところで、それが陳腐なものであれば、従業員は誰も信用してくれませんし、むしろ逆効果になってしまいかねません。

 それに比べて、私の言葉を借りてそのまま従業員に伝えてみると、不思議と権威がついたみたいになり、従業員もうなずいて聞いてくれるようになった。そういうケースが往々にしてあるようです。

 始めは、そのように受け売りでも良いから、とにかく一切の疑念をもたずに、盛和塾で学んだことを鵜呑みにして、まねして話すことから始めればよいと思います。

 もちろん、その間、自分自身でも懸命に勉強していかなければなりません。たとえば、機関誌「盛和塾」のバックナンバーや私の書籍を繰り返し読んだりする。

 また、稲盛デジタル図書館というサービスを活用して、いつでもどこでも私の講話を視聴したりする。

 そのように学ぶことで、次第に私の考え方が自分のものになっていきます。そうして何年か経てば、それはもう稲盛塾長の考えではなく、社長である自分自身の考えとなっていくのです。

 そうすれば、「自分はこう思う」と話しても、考え方が間違っていませんし、人の心を揺り動かすような、感動的な言葉で話していくことができるようになるはずです。

(つづく)

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