2024年04月26日( 金 )

「地主は承諾」虚偽情報用い、テナント退去迫るJ社~柳橋連合市場

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 「博多の台所」と呼ばれる柳橋連合市場(福岡市中央区春吉1丁目)において、同市場内に福岡支店を置き不動産開発を手がける「(株)ジョイフルコーポレーション」(東京都町田市)が市場内のテナントに対し、立ち退きに合意させるため虚偽情報を流布するなど不適切な行為を繰り返していたことが関係者への取材で判明した。

 同社はテナントの店主らに対し、「地権者(A社)から土地売買の承諾を得ている」「A社から土地を取得することになった」というニセの話をしながら、立ち退きを要求したうえで、店主らの許可なく店舗に入り込み、建物の測量を行っていたことも確認された。また、店主らに退去を約束する合意書にサインするよう迫ったという。

 しかしA社関係者によると、「ジョイフル社に土地を譲渡したこともなく、その予定もない。売買の承諾をした事実もない」とジョイフル社の発言を完全に否定している。

 ジョイフル社から立ち退きの説明を受けたというテナントは「後で地主からジョイフル社の発言が虚偽であるという説明を受けた。こういうやり方はよろしくないと思う。追い込んで交渉を有利に進めるためだろうが、不動産に関して我々は素人。言いなりになっていた」と話している。

※合意書添付(クリックで拡大)

 テナントが大家(地権者)に事実確認をして、虚偽情報と判明。ジョイフル社の行為実態を把握したA社は、6月に各テナントに対し、「ジョイフル社の発言に惑わされることのないように」との注意喚起の文書を送付していた。

※注意喚起文書添付(クリックで拡大)

 「テナントとの信頼関係が傷つけられた」――事態を重くみたA社は7月、弁護士を通じジョイフル社に対し、判明した一連の行為をやめるように警告文を通知。警告を無視した場合、法的措置を取るとしている。

 取材に応じたA社関係者は「テナントから苦情や問い合わせが相次ぎ、業務に支障が出ている。今後もジョイフル社と土地譲渡に関する協議を進めるつもりはない」とコメント。

 同社はすでに市場内に建設中のマンション開発や来年1月着工が予定されている「(仮)渡辺通りホテルPRJ」建設にも関与しているが、今回発覚した地上げ行為は第2ホテルの開発にむけてのものとみられる。前述の「(仮)渡辺通りホテルPRJ」建築主である(株)大京はジョイフル社の一連の行為について、「第2ホテルの事業は聞いているが、指摘されるような内容の行為は聞いていない。第2ホテルでは、当社は関与していない」と話している。

【東城 洋平】

▼関連リンク
柳橋ホテル計画 看板から事業者の名前消える
柳橋連合市場の新築ホテル計画、概要判明

関連キーワード

関連記事