日本リージャスを子会社化　躍進するTKPのビジネスモデル（中）

（株）ティーケーピー　代表取締役社長 河野 貴輝 氏

日本リージャスの買収でシナジー効果を発揮

　――日本リージャスの子会社化は、大きな注目を集めました。

　河野　ニューヨークやロンドンでは、フレキシブルオフィスへの転換が顕著に見られています。リージャスは、その先駆者といえるでしょう。

　2030年までに、全世界のオフィスの30％はフレキシブルオフィス化すると推測されていますが、東京におけるフレキシブルオフィス市場は、0.9％程度だといわれています。TKPは約12万坪の貸会議室やイベントホールを提供していますが、日本で一番オフィスを借りている会社ともいえます。日本リージャスはシェアオフィス・レンタルオフィスでは日本一ですが、契約面積は約3万坪とTKPの4分の1程度です。TKPとのシナジー効果を上げていけば、日本リージャスの売上を2～3倍にすることが可能であろうと判断し、子会社化しました。

　日本リージャスとの連携によるシナジー効果には、2つの狙いがあります。まず、日本リージャスの月貸しレンタルオフィスとTKPの貸会議室は立地が近接しており、共同仕入れができるほか、共有部の一体化によって人件費を始めとした運営コストを抑えることも可能です。

　そして、クロスセルです。日本リージャスのお客さまは欧米を中心とした海外企業のビジネスパーソンが4割を占めており、今後TKPのユーザーになる可能性が高く、逆もまた同様で、両社が一体となることで時間貸し会議室と月貸しレンタルオフィスとのシナジー効果も生まれるわけです。

　福岡では9月1日より、（株）西日本新聞ビルディングから西日本新聞会館16階の「天神スカイホール」の運営移譲を受け、日本リージャスとの全国初の共同出店施設を開業します。これを皮切りに、両社がシナジー効果を発揮していくと確信しています。

　――貸会議室やレンタルオフィスには多数の競合がありますが、TKPの強みは。

　河野　TKPに頼めば、最適な会場はもちろん、弁当やケータリング、オプション、宿泊の手配やイベントのプロデュースもできます。顧客に合わせたカスタマイズが可能なのです。また、日本リージャスと合わせると、拠点数410拠点、室数2,512室、座席数16万2,515席は日本最大規模となり、全国を網羅する拠点ネットワークも強みです。

（つづく）
【長井　雄一朗】