2024年04月25日( 木 )

日本リージャスを子会社化 躍進するTKPのビジネスモデル(前)

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(株)ティーケーピー 代表取締役社長 河野 貴輝 氏

 5月末、日本リージャスを子会社化した(株)ティーケーピー(以下、TKP)。日本リージャスホールディングス(株)(以下、日本リージャス)を傘下に収めたことで、TKPグループは410拠点、室数2,512室、座席数16万2,515席(2019年7月末時点)に拡大した。さらに、貸会議室を軸に宿泊研修施設の運営やケータリング手配、BPO業務など周辺事業にも事業領域を広げている。日本リージャス子会社化の狙いについて、「仕入れの共同化と、クロスセルにある」と語る河野貴輝社長に話を聞いた。

ティーケーピー 代表取締役社長 河野 貴輝 氏

「持たざる経営」で危機を乗り越える

 ――まず、創業から現在までの流れをお聞かせください。

 河野 私は慶應義塾大学商学部を卒業した後、伊藤忠商事(株)に入社しました。伊藤忠商事がネット証券に参入することになった際、私もその社内ベンチャー(現・カブドットコム証券(株))の立ち上げに参画したのですが、これが転機となり、当時の上司とともにイーバンク銀行(株)(現・楽天銀行(株))の設立に携わり、執行役員営業本部長などを務めました。そして、2005年8月にTKPを創業した次第です。

 その後は、08年のリーマン・ショックや11年の東日本大震災による会議室利用の減少などの危機にも見舞われましたが、何とか乗り越え、17年には東証マザーズに上場し、現在に至っています。

 ――どのようにして、危機を乗り越えられたのでしょうか。

 河野 まずリーマン・ショック時は、不動産オーナーに賃料を下げてもらうよう直接交渉し、全体の原価を下げることで赤字を乗り切りました。

 東日本大震災のときは、全国的にイベントなどが自粛され、ホテルの宴会場需要が低下したため、宴会場を安く借りることができました。さらに宴会場に付随する厨房・料理人・サービスマンを内製化したことにより、単なるスペース貸しだけでなく、高付加価値サービスの提供や、単価の向上、売上の拡大につなげることができました。状況に合わせて原価をコントロールできるビジネスモデルであることが、危機を乗り越えることができた大きな要因だと思います。

(つづく)
【長井 雄一朗】

<Company Information>
(株)ティーケーピー
代 表:河野 貴輝
所在地:東京都新宿区市谷八幡町8 TKP市ヶ谷ビル2F
設 立:2005年8月
資本金:3億1,400万円
売上高:(19/2連結)355億2,300万円
TEL:03-5227-7321(代表)
URL:https://www.tkp.jp

【連結子会社】
日本リージャスホールディングス(株)
(株)コンビニステーション
(株)TKP プロパティーズ
(株)TKP コミュニケーションズ
(株)常盤軒フーズ
(有)品川配ぜん人紹介所
(株)TKPメディカリンク
(株)メジャース
TKP NEW YORK, INC.(米国)
TKP NEW JERSEY LLC(米国)

※8月9日、台湾でリージャス事業を運営するIWGの台湾子会社を約30億円で買収することを発表。リージャス事業の拡大およびTKPの会議室との共同出店も計画しており、会議室事業でも台湾へ本格進出する。

(中)

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