2024年03月29日( 金 )

「人やまちに求められるものをつくる」アルファシオマンションの開発戦略

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新榮都市開発(株)

新榮都市開発の発祥は小倉の商業ビル管理

 「アルファシオ」シリーズの投資用マンションで躍進しているのが、新榮都市開発(株)だ。近年は100戸クラスの比較的大型物件を福岡市内で供給しているだけでなく、その供給スキームも注目を集めている。同社は、約40棟の供給実績を誇る投資用マンションの企画会社。販売は自社で行わず、管理も含めて提携するパートナー企業(現在は6社)が販売を手がけている。

 同社は、設立の背景もほかの地場マンションデベロッパーとは一線を画している。設立された当初の目的は、北九州市小倉北区の商業ビルなどの不動産管理だった。株主には地元の名士と呼ばれるような錚々たるメンツが名を連ねていたが、人口減少などを背景に北九州市の繁華街の勢いが低迷したことなどから、当初の目的は必要なくなっていった。

代表取締役社長 服部 孝司氏
代表取締役社長 服部 孝司氏

 そこに、金融機関で不動産にも造詣が深い現社長・服部孝司氏が1994年に「企画代行」として参画し、株式の譲り受けにより、オーナー兼経営者となったのが2006年。その後、福岡市内でのマンション開発に着手していったことに、現在の同社の源流がある。

 自らを「私は2代目」と話す服部社長は、「このような設立背景もあり、次の世代に引き継がなければならないと強く感じています」と続けた。

 同社は服部社長を含めて6名で構成され、年代は40代から20代まで在籍。今後も採用を継続することで、市場から求められる開発を担える人材を育てていきたい考えだ。19年5月に現在地に本社を移転したのも、採用強化のためにほかならない。

 建築家の田中俊彰氏が設計した本社ビル(ALFACIO赤坂ビル)は、18年11月に関連会社・(株)MTHコーポレーションが取得したもの。5階建てのオフィスビルで、2階から5階に同社およびグループ会社が入居している。同社が取得するまで会議室として使用されていた1階部分は、デザインに特徴があるビルや街の雰囲気に合ったテナントへの貸し出しを検討しているところだ。

ALFACIO赤坂ビル
ALFACIO赤坂ビル

福岡都市圏で40棟の実績、アルファシオマンションとは

 これまで、ラファセおよびアルファシオのブランド名で投資用マンション開発を手がけてきたが、ラファセブランドはすでにパートナーの販売会社である(株)ゴラッソへ譲渡。ゴラッソはパートナーを継続しながら、自社開発にも乗り出した。そのため同社は現在、アルファシオシリーズの開発に注力している。

 また、福岡市中心部の地価が高騰し始めたことで、郊外型の開発にも対応してきた。19年10月完成予定で博多区半道橋に開発中のアルファシオマンションでは、ロードサイド店舗や倉庫、マンションが建ち並ぶエリア特性を見て、周辺と調和するシンプルな外観、大型も収まる36台分のシャッター付きバイクガレージを設け、広めの間取りとした。

半道橋のマンションイメージパース
半道橋のマンションイメージパース

 さらに、多様な用途に対応できるよう、ドレッサーやホールディングテーブルなどの備え付けの収納家具の開発をメーカーと共同で着手。引越し費用や家具購入費用の負担軽減だけでなく、事務所用として利用する場合も、来客に生活感を感じさせない工夫を施した。

 「今は元気な福岡市も、いずれは人口減少のタイミングが来ます。そのときのために必要なのは、これからどのように人の流れが変わっていくか、行政のマスタープランに沿って動向を予測し、適切な建物を開発すること。これが、我々に求められる存在価値だと思っています。まちの魅力を損なうような開発をするつもりはありません。こういったことを引き継ぎ、強化できるような人材を育てていきたいですね」(服部社長)。

 パートナーの販売会社とは、服部社長が金融機関在籍時からの長い付き合いだといい、互いが互いを支えてきた関係性だ。金融機関に就職するまで、教師をしながら絵描きをしたいと考えていたという服部社長は、販売会社や設計事務所などのパートナーとともに、「これからも求められるものをつくっていきたい」と結んだ。

【永上 隼人】

<Company Information>
新榮都市開発(株)

代 表:服部 孝司
所在地:福岡市中央区赤坂2-3-2 ALFACIO赤坂ビル
設 立:1994年12月
資本金:1,000万円
TEL:092-726-3520
FAX:092-726-3521
URL: http://shinei-development.com

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