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2019年09月19日 07:00

凸版印刷が仕掛ける「キャンパスラボ」とは何か?(後)

凸版印刷(株)

新たなプロモーションスタイルを築けるか

 近年「SDGs」への取り組みを積極的に取り組む企業・自治体が多く見られるが、生活者における企業・自治体の取り組みに対する認知・理解・参加としては、課題を抱えるものが多い。そんななか、ラボはターゲット視点で若年層生活者に対するコミュニケーション施策を考え、彼女たち自身がアンバサダーとなって啓発PRまで一貫して担うことができる。

 「今後もラボとして、若い世代に共感される企画力・発信力を高めながら、さまざまな社会課題に取り組み、社会と若い世代を繋ぐオピニオンリーダーとして活動を広げていく」(中山代表)考えだ。

 「(若い)女性のアクションが消費を左右する」と言われて久しい。「女性に受けなければ、商品は売れない」はすでに定説化している。女性へのプロモーション手法は出尽くしており、どのプロモーションも似たり寄ったりの観がある。たとえば、「ミス日本」コンテストでは、複数の受賞者がそれぞれ「水」や「スポーツ」「みどり」などのテーマごとの大使に就任し、テーマに関連する業界などが主催するイベントに参加したり、SNSなどで大概的な情報発信を行うプロモーションの仕組みが定着している。

九州出身のミスキャンが参加する「九州ラボ」ポスター
九州出身のミスキャンが参加する「九州ラボ」ポスター

知らない業界だから魅力がわからない

 ここ数年、「若い人が来ない」と嘆く業界は、少なくない。そのなかでも、建設業界、とりわけ地域建設業の人手不足は深刻だ。「ウチらはPRが下手なので」と笑っているうちは良かったが、「2年前に求人を出したが、1人も応募が来ない」(地域建設業関係者)などという話を聞くと、もはや笑って済ませられる問題ではない。結局のところ、すべて「身から出たサビ」なのだが、当事者に自覚がない分始末が悪い。キャンパスラボが建設業界をPRするとすれば、どのようなアプローチをとるのだろうか。

 「そもそも建設業はどのような仕事なのか、イメージできていない学生が多いと思う。建設業に限らず、学生はなかなか各業界の商流を知る機会が少ない。とくにBtoBなど直接自分が関わることの少ない企業・業界に対してはイメージできていない学生が多く、就職活動でも、CMや店頭などで目にし、普段の生活のなかで学生自身がお客さんとして親しんでいるメーカーなどに注目が集まりがちだと感じる。建設業においても、学生が直接的に建設に関わる機会が少ないため、身近に感じにくい業界だと思う」。

 「一言で建設業界といっても、学生がイメージするのは現場作業がほとんどで、あまり建設業界の職種を理解していない。設計や土木やメンテナンス、設備、さらにはITを活用した技術や情報システムなど、幅広い業務があり、それぞれの仕事内容や働き方、やりがいなどをきちんと伝えていく必要がある。建設業で働く女性を増やすため、実際に建設業で働く女性の姿を見せていくことが業界・職種の理解につながり、学生が建設業界を進路の選択肢に入れるきっかけになると思う。リアルターゲットであるラボの学生が建設業で働く女性と対談し、建設業における女性の働き方やその魅力を学び、同世代の女性に向けて発信していきたい」。

 「また、『働く』という観点以外でも、建設業がより生活者にとって身近なものとなるような商品の認知拡大にも取り組んでみたい。近年では省エネや防災の機能をもつ建材も増え、建材が人々の持続可能な暮らしの助けにもなっている。ラボで商品の認知拡大のためのPR企画を行い、商品理解を通して建設業のイメージを向上し、建設業をより身近に感じてもらうための取り組みにチャレンジしたい」という答えが返ってきた。

 ラボの活動が、ほかの手法に比べて、どれだけ優れた効果があるのかは、定量的な評価が難しい面がある。ただ、ラボが提唱する、企画への参加を含めた「共創」型プロモーションは、あまり類例を見ない形態だけに、未開拓だった需要を掘り起こす可能性を秘めている。新たなプロモーションスタイルを築けるか。凸版印刷とラボの今後の動向を見守りたい。

(了)
【大石 恭正】

CAMPUSLAB
代 表:中山柚希(なかやま・ゆずき)
凸版印刷(株)情報コミュニケーション事業本部ビジネスイノベーション推進本部 事業創出推進部(同社の新規事業として運営)
所在地:東京都新宿区西五軒町13-1
URL:http://www.campuslab.jp/


<COMPANY INFORMATION>
代 表:麿 秀晴
所在地:東京都千代田区神田和泉町1
創 業:1900年1月
資本金:1,049億円
売上高:(19/3連結)1兆4,647億5,500万円
従業員数:5万1,712名
URL:https://www.toppan.co.jp

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