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2019年10月03日 09:52

続・鹿児島の歴史(3)~平安時代~

 前述したように800年に班田制が導入されますが、中央では723年に三世一身法、742年に墾田永世私有令が出されており、班田制はあまりできなかった(しなかった)ものと考えられます。「導入した」という政治的意味合いが強いのでしょう。律令制下の国は、大・上・中・下国の4階級に分けられますが、薩摩・大隅の財政規模は下国以下で、日向・肥後国の援助を受けるほどでした。

 10世紀になると、政府は地方政治を国司に委ね納税請負を命じますが、九州の支配権は大宰府に委任します(大宰府と国司との対立)。大宰府は政所を設置し、大土地所有を展開し、皇室領や摂関家領荘園を支えていきます。

 このような背景のもとに、11世紀前半に大宰府の役人であった平季基が、日向国諸県郡島津の地(都城市)にきて土地を開発し、摂関家に寄進します。これが荘園「島津荘」の始まりです。摂関家寄進については、上役の藤原惟憲が摂関家の家司であり、惟憲の口入(くにゅう)がありました。寄進の主な理由は、不輸の権(人や土地に対する税の免除)や不入の権(国の役人の立ち入りを認めない)を得るためです。荘園の税は、年貢と雑税でしたが、年貢は国司に、雑税は荘園領主に納めました。

 その後、季基は対立していた大隅国府を焼討ちし、荘域の大隅国内への拡大を図りました。季基は、平貞盛の弟繁盛系平氏で、鎮西平氏(薩摩・肥後平氏)の祖となります。

 11世紀の間は、たびたび荘園整理令が出されたこともあり、島津荘はそれほど大きくなりませんが、12世紀になると、土地が「寄郡(よせごおり)」に変わっていきます。「寄郡」は、年貢を二分して国司と荘園領主、雑税は荘園領主ということで、荘園領主の権限が強い領域でした。寄進したい地方豪族と経済基盤を強めたい摂関家、さらに荘園拡大を容認した国家の動向もあり、12世紀末の「建久図田帳」では、薩摩国は総田数4010町余、うち島津荘は2934町余で、全体の70%を超えています。

 島津荘が寄郡化するころは、薩摩のほとんどの郡司職が、薩摩平氏の伊作良道の6子とその姻族彼杵(そのぎ)久澄の子孫によって独占され、とくに一族の阿多忠景が中心的な存在でした。忠景は交易の重要拠点を掌握したり源為朝を婿にしたりして、その支配地域は薩摩・大隅におよびましたが、12世紀半ばに反乱を起こし、没落しました。

 中央では、平清盛が勢力をもち、血縁関係から島津荘も実質的に平家の支配下にありました。平氏は対外交易の拠点である島津荘を重視し、重臣の平盛俊を役に補任したり清盛の弟の忠度を薩摩守(遙任、赴任はしない)にしたりしました。この時目代として実質的に支配したのが、前述した忠景の女婿であった平宣澄(肥前平氏)です。

 なお、大隅国では、土地はほとんどが島津荘と大隅正八幡宮(現在の鹿児島神宮)領に大別されていました。

(つづく)

<プロフィール>
麓 純雄(ふもと・すみお)

 1957年生。鹿児島大学教育学部卒、兵庫教育大学大学院修士課程社会系コース修了。元公立小学校長。著書に『奄美の歴史入門』(2011)『谷山の歴史入門』(2014)『鹿児島市の歴史入門』(2016 以上、南方新社)。監修・共著に『都道府県別日本の地理データマップ〈第3版〉九州・沖縄地方7』(2017 小峰書店)。ほか「たけしの新世界七不思議大百科 古代文明ミステリー」(テレビ東京 2017.1.13放送)で、谷山の秀頼伝説の解説などに携わる。

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