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2019年10月11日 09:30

世界的に“市民権”を得た日本ビジネスインテリジェンス協会!(2)

日本ビジネスインテリジェンス協会 会長 中川 十郎 氏

あくまでも情報は経営戦略を立てるために使うものである

 ――「日本競争情報専門家協会(SCIP)」の設立総会&記念シンポジウムはとても盛会だったと聞いています。

 中川 溜池山王の全日空ホテルで、産学官協力のもとに行われた、「日本競争情報専門家協会(SCIP)」の設立総会&記念シンポジウムは約300人の方に参集いただき大盛会でした。SCIPのアメリカ本部の会長、副会長が来日、フランス、スウェーデン、オーストラリアなどのSCIPの会長にも来日いただきました。

 しかし、「日本競争情報専門家協会(SCIP)」は翌93年には「日本ビジネスインテリジェンス協会(BIS)」に名前を変えることになります。

 それには2つ理由があります。1つ目は、第1回の設立総会をやってみて、日本では「競争会社の情報を収集する」ことに関しては、企業側もマスメディアもあまり良い感触をもってなく、協力が得られないことがわかったからです。また、私は「競争情報」という言葉には当初から懐疑的でした。大事なのは、「あくまでも自分の会社の経営戦略をしっかり確立することで、そのうえで、競争相手の情報を参考にすればよい」と考えていたからです。

 2つ目の理由はもっと論理的かつ本質的なもので2つにわかれます。1つ目は、今日の急速に変化しつつあるハイテクノロジーのビジネス環境下では、自社に大きな損害を与える会社は2年前までは競争相手でさえなかった(名前も知らなかった)ということが多くなったことです。もう1つは、グローバル化した現在では、すべての競争相手が同じ経済的環境のもとで活動しています。従って、この環境全体を理解することから、さらにこの環境のもとでさまざまな力がそれぞれの競争相手にどのように影響をおよぼしているのかを、把握することから、大きな利点が得られます。

 競合情報の収集だけに焦点をあてることについて、私が根本的に問題とするのは、それは能動的ではなく、受動的だからです。競争相手に注意を注ぐことしかやっていなければ、いつも競争相手のイニシアティブに反応するだけになってしまいます。そのため常に遅れをとり、追いつくのにあくせくしなければならなくなります。

今世界は競争情報研究と経済情報研究の2つにわかれる

 「日本競争情報専門家協会(SCIP)」のその後ですが、2001年4月に前田健治元警視総監がSCIP Japanを設立して意欲的な活動を展開、2006年の中断を挟んで、2008年2月に新たに「日本コンペティティブ・インテリジェンス学会(CI)」と名前を変えて、現在に至っています。私は2001年から顧問として名を連ねています。今年8月に行われた「日本ビジネスインテリジェンス協会(BIS)」のセミナーは「日本コンペティティブ・インテリジェンス学会(CI)」と共催で行い、同学会の最高顧問の松平和也氏と菅澤喜男名誉会長(前会長)にも講演していただきました。

 現在、世界のインテリジェンス研究は、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、イギリス、アメリカ(UKUSA協定の5カ国、「ファイブ・アイ」)と中国などが推進する「競争情報」研究(Competitive Intelligence・CI)と日本、フランス、スウェーデンなどが推進する「経済情報」研究(Business Intelligence・BI)と大きく2つにわかれています。

(つづく)
【金木 亮憲】

<プロフィール>
中川 十郎 (なかがわ じゅうろう)

 鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現・双日)入社。海外駐在20年。米国ニチメン・ニューヨーク本社開発担当副社長を経て、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、2006年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師、ハルピン工業大学国際貿易経済関係大学院諮問委員。米国コロンビア大学経営大学院客員研究員。中国対外経済貿易大学大学院客員教授、同大学公共政策研究所名誉所長、WTO-PSI貿易紛争パネル委員。JETRO貿易アドバイザ――。日本ビジネスインテリジェンス協会会長。米国競争情報専門家協会(SCIP)会員。中国競争情報協会国際顧問。日本コンペティティブ・インテリジェンス学会顧問。天津市河北区人民政府招商大使、産業発展顧問、世界銀行CSR(企業の社会的責任)コンサルタント。オリンパス(株)特別委員会委員。日本貿易学会理事。国際アジア共同体学会学術顧問(前理事長)。一帯一路陝西友愛研究所副会長などを歴任。2014年に東久邇宮国際文化褒賞を授章。

 主要著書として、『よくわかる商社業界』共著(日本実業出版社)、『貿易と海外投資の分析と実務』共著(文真堂)、『国際経営戦略』共著(同文館)、『北東アジアのグランドデザイン』共著(日本経済評論社)、『東アジア共同体と日本の戦略』共著(桜美林大学北東アジア総合研究所叢書)、『CIA流戦略情報読本』共訳(ダイヤモンド社)、『グローバル企業の情報組織戦略』共訳(エルコ社)。『成功企業のIT戦略』共訳(日経BP)、『知識情報戦略』編著
(税務経理協会)など多数。

 主要英文共著書には“Global Perspectives on Competitive Intelligence”(Society of Competitive Intelligence Professionals)Virginia, USA、 " The Intelligent Corporation" The Privatisation of Intelligence (Taylor Graham)、London、“An Introduction to Knowledge Information Strategy~From Business intelligence to Knowledge Sciences~”(World Scientific)、 Singaporeなどがある。

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