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2019年10月10日 17:26

世界的に“市民権”を得た日本ビジネスインテリジェンス協会!(1)

 今、激変する世界政治、経済を正しく理解するために、競争情報、ビジネスインテリジェンスを中心とした情報の収集、分析、活用による的確な未来戦略がますます重要になってきている。中川十郎 日本ビジネスインテリジェンス協会(BIS)会長(名古屋市立大学22世紀研究所 特任教授)に聞いた。中川会長は同協会を1992年に立ち上げて以来、2カ月に1回、28年間1回も休まず、これまで166回の情報研究会を開催、我が国唯一のビジネスインテリジェンス研究を牽引してきた。

日本ビジネスインテリジェンス協会 会長 中川 十郎 氏

ソ連の崩壊で各国の諜報部員が行き場を失って民間に流入

 ――鳩山元総理に同行、安徽省合肥からお帰り早々のところ、お時間を賜りありがとうございます。本日はインテリジェンスについてじっくりお話をおうかがいしたいと思います。まずは、日本ビジネスインテリジェンス協会の設立経緯について教えていただけますか。

 中川十郎氏(以下、中川) インテリジェンスについて語る場合は1991年のソ連崩壊まで遡ります。このソ連崩壊によって、冷戦時代に諜報活動を行っていた米国のCIA、旧ソ連のKGB、英国のMI6、イスラエルのMOSADなどの一部諜報員は行き場を失い、民間に流入して行くことになります。軍事情報を集める必要がなくなったので、民間の経済情報を集めるようになったのです。つまり、敵国ではなく、国内外の競争会社の情報を集め出したわけです。

 一方、民間企業の方でも、世界市場がボーダレスとなり、国際競争が激化するなかで、国際市場での競争優位を目指し、諜報機関や軍の諜報の手法を企業のビジネスに活用する競争情報(Competitive Intelligence)の研究が始まりました。競争情報の収集を徹底的に行い、自社、自国の競争優位獲得に活用しようと努力し始めたのです。

 それに先駆けて、米国「競争情報専門家協会」SCIP(Society of Competitive Intelligence Professionals)がCIA、NSAなどの情報専門家、学者、実業家などにより、1986年にバージニアに設立されました。現在SCIP(Strategy and Competitive Intelligence Professionalsに名称変更)は会員3,000人に達し、毎年行われる米国での情報会議には約500人が参加しています。

 日本ビジネスインテリジェンス協会の設立の契機は、1989年に私がこのSCIPのニューヨークでの情報研究会にスピーカーとして呼ばれたことに端を発しています。ビジネス分野でインテリジェンスの必要に関して超大国に最も近い存在は、日本の貿易会社つまり総合商社ということになり、当時米国ニチメンのニューヨーク本店開発担当副社長だった私に白羽の矢が立ちました。以後私は、ワシントン、ニューオリンズなど毎年のように米国で講演、帰国後、1992年「日本競争情報専門家協会(SCIP)」を設立しました。

『CIA流 戦略情報読本 リアル=ワールド・インテリジェンスの世界』
『CIA流 戦略情報読本 リアル=ワールド・インテリジェンスの世界』

 同時期に私は処女作ともいえる『CIA流 戦略情報読本 リアル=ワールド・インテリジェンスの世界』(H.E.マイヤー著、中川十郎/米田健二 訳 ダイヤモンド社 1990年)を出版しました。本書は、企業に対し、戦略情報の真の活用の仕方について指針を与え、情報洪水からいたずらに溺れることを救う目的で書かれています。

 著者のハーバード・E・マイヤー氏は、1971年から81年まで『フォーチュン』誌の副編集長として、国際経済ならびに国際政治の専門家として活躍。1982年1月にCIA長官特別補佐官としてレーガン政権に登用され、1983年1月には国家情報評議会副議長に任命されました。

 

(つづく)
【金木 亮憲】

<プロフィール>
中川 十郎 (なかがわ じゅうろう)

 鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現・双日)入社。海外駐在20年。米国ニチメン・ニューヨーク本社開発担当副社長を経て、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、2006年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師、ハルピン工業大学国際貿易経済関係大学院諮問委員。米国コロンビア大学経営大学院客員研究員。中国対外経済貿易大学大学院客員教授、同大学公共政策研究所名誉所長、WTO-PSI貿易紛争パネル委員。JETRO貿易アドバイザ――。日本ビジネスインテリジェンス協会会長。米国競争情報専門家協会(SCIP)会員。中国競争情報協会国際顧問。日本コンペティティブ・インテリジェンス学会顧問。天津市河北区人民政府招商大使、産業発展顧問、世界銀行CSR(企業の社会的責任)コンサルタント。オリンパス(株)特別委員会委員。日本貿易学会理事。国際アジア共同体学会学術顧問(前理事長)。一帯一路陝西友愛研究所副会長などを歴任。2014年に東久邇宮国際文化褒賞を授章。

 主要著書として、『よくわかる商社業界』共著(日本実業出版社)、『貿易と海外投資の分析と実務』共著(文真堂)、『国際経営戦略』共著(同文館)、『北東アジアのグランドデザイン』共著(日本経済評論社)、『東アジア共同体と日本の戦略』共著(桜美林大学北東アジア総合研究所叢書)、『CIA流戦略情報読本』共訳(ダイヤモンド社)、『グローバル企業の情報組織戦略』共訳(エルコ社)。『成功企業のIT戦略』共訳(日経BP)、『知識情報戦略』編著
(税務経理協会)など多数。

 主要英文共著書には“Global Perspectives on Competitive Intelligence”(Society of Competitive Intelligence Professionals)Virginia, USA、 " The Intelligent Corporation" The Privatisation of Intelligence (Taylor Graham)、London、“An Introduction to Knowledge Information Strategy~From Business intelligence to Knowledge Sciences~”(World Scientific)、 Singaporeなどがある。

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