ANA Cargoが北九州空港を選んだワケ(前)
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2019年11月06日 12:00

ANA Cargoが北九州空港を選んだワケ(前)

ANAホールディングス(株)が100%出資する(株)ANA Cargoは、2014年4月に営業開始した航空貨物事業会社で、貨物事業戦略などの企画立案、商品販売、空港オペレーションなどを手がける。ANAグループは国際貨物事業において、貨物専用機就航や沖縄貨物ハブ運用開始などのさまざまな取り組みを推進し、18年6月には「沖縄貨物ハブ」への経由地として、北九州空港に貨物定期便を就航。同空港唯一の貨物定期便を就航する同社に対しての、地元自治体や産業界などの期待は大きい。北九州空港には24時間運用という強みがあるが、空港周辺に肝心の物流機能が整っていないというアンビバレントな状況にある。北九州空港で定期就航する唯一の貨物キャリアとして、北九州空港のメリット、デメリットをどう見ているのか。ANA Cargo担当者に聞いた。

国内唯一となる「コンビネーションキャリア」

 ANAグループの貨物専用機による事業拡大は、2002年9月に就航した成田~中国/アジア便(大連、天津、青島、香港、ソウル)が始まり。当初1機でスタートした後、機数を段階的に増強しながら事業を拡大していった。事業運営体制は、これまで全日本空輸(株)が貨物事業戦略などの企画立案や商品販売を実施し、関連グループ会社(後にANAロジスティクサービス(株))が空港オペレーションを行ってきたが、14年4月、全日本空輸(株)の貨物事業室とANAロジスティクサービスが事業統合。(株)ANA Cargoとして営業を開始した。

 ANA Cargoは、「Global Network」「Japan Quality」「Innovation Pioneer」の3つをバリューとして掲げている。ANAグループが持つ北米、ヨーロッパ、アジア、中国などの航空ネットワークを生かし、自社運航便としては国内唯一となる貨物便、旅客便を組み合わせた「コンビネーションキャリア」として、日本企業ならではの細やかで丁寧な貨物ハンドリングの追求などをウリに、空輸サービスを提供。18年の航空貨物の取扱量は約125万t(18年IATA実績で世界第11位)だ。

日本統括室西日本販売部 九州販売支店長 小野寺 生好 氏

 中型貨物専用機のB767Fは、主にアジア地域をターゲットとして域内・域外への輸送需要を担うべく、日本~アジア/中国便を運航している。当然ながら、貨物専用機は旅客機に比べ、より高さや重さのある貨物を搭載できる。代表例でいえば、半導体製造関連の装置など、貨物専用機にしか搭載できない大型貨物について、限られた輸送の担い手といえる。

 B777Fの就航は今年7月より成田/関空~上海便でスタート。今年10月には成田~シカゴ便が就航予定となっている。B777FはB767Fに比べ、さらに大型の貨物が搭載可能で、大型の精密機器などの輸送において、商品への衝撃リスクに配慮した輸送サービス「PRIO SENSITIVE」、自動車輸送サービス「PRIO VEHICLE」などの新サービスも開始した。「中長期的に航空貨物の需要は今後も増えていく見通しだ。日本・中国を含めたアジア域内、そしてアジア域内〜北米間の貨物流動は大きい。B767Fに加え、B777Fの就航はその需要にお応えしたい」(森本氏)と話す。

シニアマネージャー 森本 直樹 氏

 一方で、多数の旅客機による貨物輸送力も充実。新たな路線としては、今年9月に成田~パース(オーストラリア)便が就航、10月に成田~チェンナイ(インド)便、20年3月に成田~ウラジオストク(ロシア)便が就航予定。貨物輸送ネットワークも強化される。「貨物便、旅客便を合わせた幅広い輸送ネットワークは本邦系唯一。ネットワークを活用した輸送量、輸送方法の多様性は弊社の大きな強み」(同)と力を込める。

(つづく)
【大石 恭正】

<COMPANY INFORMATION>
(株)ANA Cargo
代 表:外山 俊明
所在地:東京都港区東新橋1-5-2
設 立:2013年10月
資本金:1億円
従業員数:805名(2019年7月現在)

ANA Cargoが保有する機材(2019年10月1日現在)
・B767型貨物専用機(以下「B767F」、搭載可能重量約50t):11機
・B777型貨物専用機(以下「B777F」、搭載可能重量約100t):2機

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