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2020年01月28日 07:00

土木工事を総合的に行える体制をつくり 土木業界を変え福岡を災害から強くする 一樹百穫 

総合土木建築業
(株)福重産業

まずは福重産業を強くする

代表取締役 在郷 神也 氏
代表取締役 在郷 神也 氏

 「強い福岡をつくりたい」。淡々とした口調でそう静かに語るのは、(株)福重産業代表取締役・在郷神也氏、47歳だ。

 福岡市土木建設(協)の副理事長を務め、福岡の土木業界を牽引していく人物の1人である。強い福岡とは災害に負けない、たとえどんな大きな災害が起きたとしても迅速に復旧し日常をすぐさま取り戻せる。そんな都市を意味する。

 実際、福岡では2005年の福岡西方沖地震、そして16年には博多駅前で大規模な陥没事故があり日本中で話題になった。また、記憶に新しいところでは九州豪雨災害もある。地元の土木業者が結集して復旧にあたったわけだが、内輪話をいえば関係者のさまざまな思惑もあり、決してスムーズにはいかなかったようだ。

 強い福岡のためには、業者をまとめ上げ強力に牽引していく存在が必要だ。在郷氏が思い描くのは福重産業をそうした企業に押し上げることだ。そのために掲げるのが、同社を100年続く会社にするという目標である。「業界を変え福岡を強くするために、まずは私たちが強くなること。そのためにさまざまな取り組みをしています」。在郷氏に賛同する業界関係者は少なくない。その仲間の輪を広げることが理想を叶える近道になるという。

苦境を乗り越え現在に

自社ビルである本社社屋は4階建てで上階には独身寮を備える
自社ビルである本社社屋は4階建てで上階には独身寮を備える

 福重産業は、1986年に先代の在郷義治氏が有限会社として起業したことが始まりだ。特定労働者派遣事業を皮切りに現在では土木工事、とび・土工工事、管工事、水道施設工事、舗装工事、解体工事、警備業、産業廃棄物収集運搬業まで業務の幅を広げている。在郷氏が引き継いだのが2007年。そこから土木工事に積極的に繰り出していく。

 「バブルが弾けた後でしたから、そうした時代を知らない私にとってしんどいという感覚はありませんでしたが、それでも山あり谷ありでしたね。とくに今のように最低工事価格が決められるまでは価格競争ばかりです。収益が上がらず、従業員の給与をカットせざるを得ないという厳しい時もありました」。

 しかし、今日では従業員数は30名、契約社員の数はおよそ200名という大所帯である。「これからは舗装工事を拡大していきたいと考えています。土木工事を総合的に行える体制づくりです」。ここに力を注ぎたい理由は、もちろん100年続く企業になること、そして強い福岡を自分たちの力で実現するためである。具体的には舗装工事を手がける別会社を設立し、グループとして総合力を発揮していこうという計画を立てている。

学歴よりタフで折れない心

 10年後には売上も人員も現在の3倍に、そして人材の充実を図りたいという同社。一級土木施工管理技士7名、一級管工事施工管理技士1名、推進工事技士3名を筆頭に有資格者が多数在籍するだけに資格取得支援も熱心である。受験費用はもちろん講座の費用もすべて会社が負担する。働きながら国家資格を取得していくことは簡単ではないが「学歴よりも何よりもタフで折れない心をもった人材がほしい」と在郷氏がいうように人生に向き合っていける人ならきっと合格できるだろう。また、資格を取得すれば給与がアップするだけでなく、仕事の幅は一気に広がり、やりがいも大きくなる。

 40代で協同組合の副理事長という重職を担っていることからもわかるが、在郷氏の土木業界での評価は高く、真面目で人と人とのつながりを何より大事にする人物として知られている。やはり商売は人と人とのつながりでその未来が決まる。「先代の時代からいろいろな人たちに助けられてやってきた会社です。受けた恩は決して忘れない。そんな父の背中を見てきましたから私もこの会社で働きたい。早くからそう決意していました」。専門学校に通いながら関わり、卒業と同時に入社。在郷氏の経歴だ。

頼るなら社員を頼れ

he Power of Dreams、夢のもつパワーと掲げられた本社受付
he Power of Dreams、
夢のもつパワーと掲げられた本社受付

 そんな在郷氏が先代社長から言われたことがある。「頼るなら社員を頼れ」。会社を続けていくうえで、困ったときにいちばん頼りになるのは、親でも家族でもなく社員たちだ。社員は宝、いちばん大切にしなければならない財産だという言葉だ。

 その本当の意味が最近になってわかるようになったという在郷氏。「ある時、人が嫌がることを率先してやってくれている社員たちの姿を見て実感しました。誰よりもいちばん会社のことを考えてくれているのは彼らです」。

 同社の会社案内の冒頭にはこんな言葉が綴られている。「走り続けて、32年。携わった、旧現の仲間たちの力偉大である…どこにも負けない絆。士魂商才で前進。笑顔の日々であり続ける為に」。一見企業理念のようで、その実、理念ではない。これは先代が社員に向けて書き記した感謝の念だ。

 「私のこれからの仕事は、そんなマインドをもった人材を獲得し、そんな彼らにしっかりと受け継いでいける会社をつくり上げること、名実ともに100年続く企業に育て上げていくことです」。強い福岡の実現は、強い福重産業をつくり上げることにほかならないと考える在郷氏。その信念に共感する者は少なくない。これこそ世の中が変わる原動力だ。

<COMPANY INFORMATION>
代 表:在郷 神也
所在地:福岡市西区福重3-13-13
設 立:1986年3月
資本金:2,000万円
TEL:092-881-7579
URL:http://fukushige-web.com/?page=rec00

25周年記念出版雑誌 『一樹百穫』 一覧

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