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2019年11月11日 13:55

日本の政治の何が問題か(4)

拓殖大学大学院地方政治行政研究科 特任教授 濱口 和久 氏

「安全保障関連法案」審議と民主主義

 平成27年9月19日未明に安全保障関連法案(以下、安保法)が参議院で可決成立した。この法案は平成15年に成立した有事関連3法。平成16年に成立した有事関連7法と合わせて、日本の安全保障にとって重要な法案である。

 安保法は、「日本及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律(通称:平和安全法制整備法)と「国際平和共同対処事態に際して日本が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律(通称:国際平和支援法)」の2法から構成されている。

 安保法の成立により、日本の平和および安全の確保のために、グレーゾーンから重要影響事態、存立危機事態、武力攻撃事態まで、自衛隊が事態の段階に応じた対処ができるような体制となった。

 安保法の審議の過程で、野党は国会の内外で徹底抗戦をした。安保法の特別委員会での審議は、衆参両院で計200時間を超え、国会に記録が残る戦後の安保関係の法案審議で最長となった。衆院特別委の審議時間は約116時間で、記録が残る昭和35(1960)年以降で6番目の長さだった。参院特別委は約100時間で、衆参合わせると約216時間を費やした。

 これに対して、野党は「法案の廃案」「審議時間の延長」「強行採決反対」の姿勢で徹底抗戦した。「戦争への道」などと嘯く議員まで登場した。最終的には民主主義の基本は多数決であり、野党が多数決にいる採決を否定するのであれば、民主主義を否定することにもつながる。多数決での採決は少数者の意見が反映されないというケースもあるが、国家の安全保障については、特定のイデオロギーや一部の過激な市民団体と連携した野党の姿勢には問題があったと私は思っている。

 国会の外では連日、安保法に反対するデモ隊が国会周辺を取り囲んでいた。デモには連日、安保法を戦争法と主張する野党の国会議員や、若者組織「シールズ」をはじめとする市民団体などが参加していた。彼らの主張は、安保法により、「日本が戦争に巻き込まれる」「子どもたちが戦場に送られる」というものだった。この主張は、私が防衛大学校の学生のときに起きた湾岸戦争をきっかけに「自衛隊を海外に派遣する国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(PKO協力法)」が国会で審議されていた際にも繰り返された。PKO協力法が成立しても、彼らの心配していたようなことは起こらなかったし、当然、安保法が成立しても、私たちの生活に影響は出ていない。

 マスコミの多くが、デモの中心は「シールズ」などの学生や若者だと報道していたが、実際にデモに参加していた人たちは、中高年以上が中心であり、実態とはかけ離れていた。また、安保法に賛成、消極的賛成の人は、意図的に番組に登場する時間も短く、マスコミでコメントが紹介される機会も少なかった。番組のなかで正々堂々と安保法案の必要性について発言していたのは、一部の安全保障の専門家やダウンタウンの松本人志ぐらいだった。

 安保法に反対し、安保法を戦争法と声高に主張する集団に限って、暴力的で過激な行動をしている光景をたびたび見た。安保法に反対している人たちのほうが好戦的だった。

 国会で安保法が審議されていた最中、都内ではたびたび日本共産党系の団体が主催する安保法廃案のデモが繰り返された。「ブルドーザーデモ」と称して、安倍首相の生首のマスクをブルドーザーで踏み潰す過激なデモもたびたび行われた。このようなデモは、天安門事件のときに、中国共産党が民主化を訴えた学生らを戦車で踏み殺した行為と同じである。「ブルドーザーデモ」に参加している連中は、民主主義の意味を履き違えている。彼らのとった行動は、学生らを戦車で踏み殺した独裁体制の中国と何ら変わらない野蛮な行為でしかないのである。

(つづく)

<プロフィール>
濱口 和久(はまぐち・かずひさ)

1968年熊本県菊池市生まれ。防衛大学校材料物性工学科卒業後、防衛庁陸上自衛隊、元首相秘書、日本政策研究センター研究員、栃木市首席政策監(防災・危機管理担当兼務)、日本防災士機構理事などを歴任。現職は拓殖大学大学院地方政治行政研究科特任教授・同大学防災教育研究センター長、(一財)防災教育推進協会常務理事・事務局長。主な著書に『日本版 民間防衛』(青林堂)共著、『戦国の城と59人の姫たち』(並木書房)、『日本の命運 歴史に学ぶ40の危機管理』(育鵬社)、『探訪 日本の名城(下) 戦国武将と出会う旅』(青林堂)、『探訪 日本の名城(上) 戦国武将と出会う旅』(青林堂)、『だれが日本の領土を守るのか?』(たちばな出版)、『思城居(おもしろい) 男はなぜ城を築くのか』(東京コラボ)などがある。

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