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2019年11月22日 07:00

アベノミクスがもたらした日本経済崩落 政治刷新による国家保障最低ライン引き上げ急務(2)

経済学者・評論家 植草 一秀 氏

1億総低賃金強制労働

 安倍首相がアベノミクスを自画自賛する際に提示される事項は完全にワンパターンである。(1)有効求人倍率が1を超えた、(2)雇用が増えた、(3)企業収益が拡大した、(4)株価が上昇した、(5)外国人訪日客が増えた、である。これらは嘘ではないが、国民に対して自画自賛すべき内容とはいえない。雇用の改善は数の側面だけに限られる。現在の就業構造では雇用者の62%が正規雇用、38%が非正規雇用である。安倍内閣の下で雇用者数は増えたが、その74%が非正規雇用である。非正規雇用の比率は一段と上昇した。

 他方、企業収益の増大は突出している。法人企業統計における税引前当期純利益は2012年度から2018年度の6年間に倍増した。国税庁公表資料によれば2017年度に赤字だった企業の割合は62.6%に達する。圧倒的多数の企業が赤字であるなかで、企業全体の0.1%に過ぎない大企業が企業利益の大半を占有しているのだが、この企業収益が6年間で倍増した。

 日本経済が全体として超低迷し続けるなかで企業利益が倍増したことは、取りも直さず労働者の分配所得が圧迫されたことを意味する。既述の通り、1人あたり実質賃金はアベノミクス下で5%も減少した。労働者の分配所得が圧迫されるなかで、その圧縮されたパイを分け合う人数だけが増えたのだ。つまり、アベノミクス下で増大した中核は非正規の低賃金労働なのである。

 超低迷の日本のGDPを拡張させるために安倍内閣はすべての生産年齢人口を非正規・低賃金労働に駆り出そうとしている。これを安倍内閣は「1億総活躍」と謳っているが、実態は「1億総低賃金強制労働」というべきものだ。

現代版奴隷貿易制度の確立

 安倍内閣は電通で過労死した高橋まつりさんの事例を大々的にアピールして「働き方改革」という名の「働かせ方改悪」法制を強行制定した。法律を可決成立させた参議院本会議での採決を高橋さんの母・幸美(ゆきみ)さんが傍聴し、遺影に「これがあなたを追い詰めた日本の姿だよ」と語りかけた。過労死遺族は「過労死を防げない」として法案に反対したのだ。

 80時間の残業でも過労死認定されたケースがあるなかで、月間残業100時間が合法化された。さらに、残業時間に制限を設けない出来高払い賃金制度としての「高度プロフェッショナル制度」も創設された。労働者は所定の賃金を獲得するためには睡眠時間を減らして仕事をすることを強いられることになる。労働者の命と尊厳を守る意思が欠落した法制化である。

 さらに、介護、建設、農業、外食など、低賃金であるがゆえに求職者が不足する業種に低賃金労働を供給することを目的に、外国人労働者を大量に導入するための入国管理法(入管法)の改定が強行された。上記の業種分野で「人手不足」が叫ばれるが、問題の本質は「賃金不足」である。賃金が上昇すれば求職者は増え、労働需給の過不足は解消される。

 経済問題の解決に市場原理を活用することを叫ぶ人々が、この問題になると市場原理の活用を一切唱えなくなる。市場原理主義者は巨大資本の手先として、巨大資本の利益極大化のための方策を主張しているだけなのだ。過酷な労働分野での人手不足を解消するには市場原理に委ねて賃金上昇を容認することが解決策になるのだが、それでは労働コスト上昇によって企業利益が圧迫されるから、この方策を唱えない。

 低賃金のまま労働需要を満たすには、安い賃金で求職に応じる外国人を導入するしかない。これが入管法改定の理由である。

 技能実習生に対する人権侵害の事例が多数報告されているなかで、外国人労働者の権利を守る体制を整備するのが先決であるのに、その方向の対応を示さずに入管法改定だけが強行された。現代版の奴隷貿易制度確立としか言いようがない。

(つづく)

<プロフィール>
植草 一秀(うえくさ・かずひで)

 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、スタンフォード大学フェロー、早稲田大学教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ(株)代表取締役、オールジャパン平和と共生運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続している。経済金融情勢分析を継続するとともに、共生社会実現のための『ガーベラ革命』市民連帯運動、評論活動を展開。政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」で多数の読者を獲得している。

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