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2019年11月28日 09:37

人生100歳時代というけれど…(2)

ノンフィクション作家 大山 眞人氏

「地域包括ケアシステム」の本当の中身

 「介護保険法」は平成元年、「地域における医療および介護の総合的な確保の促進に関する法律」としてスタートし、2014年6月25日に改正された。

 その第一条に、「地域包括ケアシステムの構築」が明記され、第二条で、「地域ケアシステムとは、地域の実情に応じて、高齢者が、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように、医療、介護、介護予防、住まいおよび自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制をいう」と明記されている。

 「住み慣れた自宅、地域…」と心地よい文言が並ぶが、本音は、特養などの公的な施設の増設・新設とそれにみあう介護職員の確保の困難な状態で、急増する重度な要介護者を自宅で看る以外に高齢者医療費削減の決め手がないからだ。

 「地域包括ケアシステム」には、生活支援・介護予防サービスの担い手や、地域の支援ニーズと地域資源(人材など)掘り起こしを行う「協議体」の設置と「生活支援コーディネーター(地域支え合い推進委員)」の配置が義務づけられている。いわゆる新システムを牽引するプロの集団である。当然、介護の知識、経験豊富な人材が求められる。彼らには相応の対価が支払われる。

 組織の中身は、「第1層」(仕組み全体を把握・統括する部署)と「第2層」(重度な要介護者が住む地域を包括する部署。地域の有能な人材の開発と確保、地域にあるボランティア団体など、さまざまなサポートの依頼)、「第3層」(重度な要介護者を診る医療機関、要介護者を受け入れる施設などの部署)と3つに分けられている。

 所沢市では(予想どおり?)最重要とされる「第2層」が地域包括支援センター(以下「包括」)に丸投げした。包括が中心となり、地域のボランティア団体などを指導することになる。そもそも「包括」は市福祉部からの委託事業であるため、行政の顔色を気にする「忖度業務」となりやすい。肝心の地域住民が置き去りにされかねないという危惧をもつ。

 国の「稼働待ったなし宣言」に追いつめられた市が、3年間の猶予期間中にも「包括ありき」の姿勢を崩さなかった。この話を「さわやか福祉財団」(堀田力会長、清水肇子理事長)の丹直秀理事に伝えたところ、「えっ」といわれたまま電話の向こうで絶句された。「ケアシステムの命は第2層」である。

 所沢市でも3年前、「生活支援体制整備事業」というテーマで、清水理事長が講演。「第2層の重要さ」を力説された。第2層を地域のボランティア団体やNPOに委託することで地域にあるさまざまな問題が掘り起こされ、解決に向けて行動することにより、地域そのものが活性化する。この最も大切な問題から市は逃げた。

 「包括」の従来の仕事と「ケアシステム」の仕事内容は似て非なるものである。地域でおきている問題を、これまでどおり秘匿権と個人情報保護法を楯に、包括は住民への情報の開示には否定的な態度を当然とるだろう。

(つづく)

<プロフィール>
大山眞人(おおやま まひと)

 1944年山形市生まれ。早大卒。出版社勤務の後、ノンフィクション作家。主な著作に、『S病院老人病棟の仲間たち』『取締役宝くじ部長』(文藝春秋)『老いてこそ二人で生きたい』『夢のある「終の棲家」を作りたい』(大和書房)『退学者ゼロ高校 須郷昌徳の「これが教育たい!」』(河出書房新社)『克って勝つー田村亮子を育てた男』(自由現代社)『取締役総務部長 奈良坂龍平』(讀賣新聞社)『悪徳商法』(文春新書)『団地が死んでいく』(平凡社新書)『騙されたがる人たち』(講談社)『親を棄てる子どもたち 新しい「姥捨山」のかたちを求めて』(平凡社新書)など。

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