2024年03月19日( 火 )

新宮のラストフロンティアに「アーバンモール新宮中央」が開業

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7,200坪超の広大な敷地、ミツカン工場跡地を開発

 2010年3月、町内初のJR駅であるJR新宮中央駅が開業した福岡県新宮町では、駅開業を契機に駅前の区画整理や開発が急激に進行。12年2月に竣工した「MJR新宮中央駅前」(総戸数81戸)を始めとした大型マンションが、次々と開発されていった。その周辺には大型の商業施設も次々と進出。IKEA(12年4月開業)を皮切りに、カインズ(16年3月開業)、東京インテリア家具(18年4月開業)などが九州初進出の場所として同町を選んだことで、注目を集めた。

 新駅開業によってJR博多駅まで最短約20分と交通利便性が格段に向上したことに加え、近年は人気のため上昇傾向にあるものの、福岡市内に比べると比較的リーズナブルな不動産価格や家賃なども、急激な人口増を後押し。新宮町は全国的にも珍しい人口が増加しているまちとなった。駅周辺ではマンション開発が相次ぎ、いずれも販売が好調だったことから、住宅地としても新宮ブランドは確立されたといっても過言ではないだろう。

 駅前再開発や周辺の住宅開発も一段落し、めぼしいマンション用地は開発し尽くされたかに見えたが、駅西側に7,200坪超という広大な用地が出現。旧・福岡ミツカン福岡工場だったところだが、入札により第一交通産業(株)が取得し、大型マンションと商業施設の複合開発が行われることとなった。19年10月より順次入居店舗がオープンしている。

第一交通が力を入れる商業施設の開発

 第一交通産業が商業施設を手がけるのは、08年に完成した「サンリブシティ朝日ヶ丘」(北九州市)、11年に完成した「アーバンモール福間」(福津市)、17年に完成した「ウオマチヒカリテラス」(北九州市)、18年に完成した「カフーナ旭橋A街区」(那覇市)に続き、今回の「アーバンモール新宮中央」で5例目だ(ほかにも11年にイオン津(三重県)を取得)。

 タクシー・バス事業、そしてマンション分譲やオフィスビル賃貸などの不動産事業に強みを持つ同社は、九州沖縄・中国・近畿・北陸・関東・東北・北海道の14道府県で、飲食ビルを中心に商業施設・オフィスビル・マンション・倉庫・駐車場など2,051戸(19年9月末時点)の賃貸および管理を手がけている。そして近年注力しているのが、商業ビルの取得、そして開発だ。その同社にとって、人口が増加し駅前再開発で人気の新宮に、7,000坪を超える広大な敷地が出現する―となれば、是が非でも取得したかったことだろう。

第一交通産業の商業施設開発実績

緑化にも気を配り周辺との調和を第一に

 商業施設部分の企画を担当した第一交通産業・上野勝弘氏は、「アーバンモール新宮中央は、駅から徒歩2分かつ広大な面積というとても希少な土地です。どのような商業施設にするのかは、周辺環境との調和を第一に考えました。一般的なモールと比べても、緑化面積は大きいと思います。周辺住民の方々にどのようなテナントを希望するのかアンケートを実施したところ、飲食店や医療施設を要望されていることがわかりました」といい、こういった意見を実現するため、テナントの募集を開始。八仙閣や牛角、長崎亭などの飲食店舗、歯科医院などがすでにオープンしている。商業施設には含まれないが、コンビニエンスストアも設けられた。年末にはフィットネスジムが開業するほか、内科や心療内科などの医療施設も開業する見通し。

 すでに述べた通り、アーバンモール新宮中央は分譲マンションに接してつくられ、マンションも第一交通産業によって開発された。全108戸の大型マンション「アーバンパレス新宮中央駅前」とアーバンモール新宮中央は通用口で直接つながっており、マンションの住民は専用の出入口で行き来できるようになっている。駅至近の広大な敷地に開発されたことから、新宮町からも“町の顔”となるよう期待されているという。

 商業施設はつくって終わりではなく、つくってからがスタートだ。将来にわたって“町の顔”として、隣接するマンション住民だけでなく、周辺住民からも愛される施設となることが求められている。

施設概要

【永上 隼人】

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