2024年04月16日( 火 )

2年連続で健康経営優良法人に 生産性と健康状態の改善を目指す

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クロレラ工業(株)

 健康経営を企画・運営する「健康応援団」を立ち上げ、「1日7,000歩」「目を休める」などの健康メニューで、健康意識の向上に取り組んでいるクロレラ工業(株)。クロレラ健康食品を50年以上手がけているクロレラ工業は、2017年からの健康経営の取り組みで「目の疲れ」「肩こり」などの社員の体の不調を改善させている。

社員任せだった健康管理、昭和の働き方を変える

クロレラ工業(株)専務取締役・健康応援団長 永江主税氏
クロレラ工業(株)専務取締役・健康応援団長 永江主税氏

 人だけでなく、企業もクロレラをきっかけに健康になる―このことを実現させているのは、クロレラ工業(株)だ。2018年、2019年と健康経営優良法人の認定を取得している。

 クロレラ工業が健康経営優良法人の認定を取得したのは、取引先の役員から、「クロレラが人を健康にする力」を生かして社員を健康にしたいと相談されたことがきっかけだった。「これまではクロレラを販売してお客さまに健康になっていただくことに力を注いできたが、社員の健康を計画的に考える健康経営を始めたいと新たな視点が生まれた」と専務取締役・永江主税氏は話す。

 クロレラ工業は、50年間クロレラ専門で事業を行ってきた会社だ。「地球の生命の原点」で栄養豊富な緑色藻類のクロレラを世界に先駆けて1964年に事業化した。今では、健康食品や医療など多くの分野で活用し、九州に工場、東京に本社、全国に8事業所を展開する従業員約250名の中小企業だ。

 創業当初は社会的風潮もあり、働き方よりも販売を優先させてきた現場があった。忙しい時期は社員の休日出勤もあり、代休が取れていないことも多く、まさに昭和の働き方となっていた。

 だから健康経営を始める時には、「健康経営よりもまず管理職の健康管理の意識を上げることが先決ではないか」と社内では批判もあった。健康経営はハードルが高いと考えられてきたのだ。

 だが、健康産業に関わる企業として、当社で健康経営を実現し、取引先や他社に紹介できるようにかたちにしたいと営業本部が働きかけをしたことで、現場の働き方も少しずつ変わり始めた。

「健康応援団」を結成、知恵を絞り土台づくり

 2016年11月頃から健康経営の実現と、健康経営優良法人の認定取得に向けて、役員会からの依頼のもと、全国各所から集まった社員で「健康応援団」を結成し、チームで知恵をしぼり、健康経営の土台づくりを始めた。

 まずは方針を定めるため、社内の健康課題を中小企業診断士や健康経営アドバイザーと相談しながら抽出した。結果、社員の健康状態はとても良好だったため、健康リスクに対する対策ではなく、健康状態を最上にする施策を行うこととなった。

 健康経営を先導する団体や企業を何社もまわり、集まった情報を基に議論を行った結果、健康経営に積極的に取り組もうとする風土づくりがまず必要だと健康応援団のメンバーは考えた。

 そこで、健康応援団がつくったさまざまな健康コースに楽しんでチャレンジができるキャンペーンをつくり、個人の目標設定として、コースを達成してポイントを貯めるとクロレラ製品に交換できる特典を用意した。

 健康コースはたとえば、「毎日あいさつする」ことから、「1日7,000歩を歩く」「毎日野菜を食べる」など、少しの意識で誰でも取り組める内容で、「まず行動する」ことから社員の習慣づくりを促した。

 作成した全19コースを大きく分けると食、運動、ワークライフの3つ。このなかで最もチャレンジが難しかったのが「食」だ。食事は個々の環境にも左右され、習慣づくりが難しいため、各事業所でクロレラ粒製品をいつでも食べられるようにした。

共有スペースでクロレラ錠剤をいつでも食べられる
共有スペースでクロレラ錠剤をいつでも食べられる

目の疲れ、肩こりが目に見えて減少

 健康メニューの取り組みには、なんと5~6割の社員が参加しており、健康に真摯に取り組みたいという姿勢をもつ人がとても多い。

 健康メニューの取り組みを採点表と事前・事後アンケートで評価した。アンケート結果によると、健康経営を始める前後では「目の疲れ」を感じる人が48%から35%に減少、「疲れやすさ」が45%から38%に減少、「肩こり」が43%から38%に減少と目に見えて気になる症状が改善した。

 また、出勤していながらも体調不良で仕事の生産性が低下する「プレゼンティーズム」のスコアを国際医療福祉大学医学部「(一社)産業精神保健研究機構RIOMH」が保有するスコアシートを参考に検証したところ、職場の生産性が有意に上がったことがわかったという。

 気になる症状や健康感が改善し、「クロレラを食べる」人は健康経営を始める前後で69%から83%に増加し、社員の食事に対する意識も変わった。初年度の取り組みでここまで改善したことは企画した健康応援団メンバーも驚きの結果だったという。

 「食事への意識が高まって野菜をたくさん取ろうと感じても、日常生活ではなかなか続かないケースもある。そんな時に代わりの栄養補給として、健康の悩みを解消できるきっかけにクロレラを使ってほしい」と永江専務は話す。

 健康経営は、今年1年で取り組みがどのくらい進歩したかを測るため、次の年はさらにレベルアップした目標を立てることが必要だ。健康経営優良法人の認定基準は年々、少しずつ上がってきているという。

 「健康経営で多くの人の意識を変革することで、健康の大切さに気づいてもらえるのではないか。年々増えている医療費の抑制にも貢献できるようにしたい」と永江専務は話す。

 少数先鋭で取り組む中小企業では、健康維持が職場のパフォーマンスに大きく関わる。クロレラ工業では、「健康応援団」の取り組みで体調管理をすることで、健康に仕事ができる体制づくりを行っている。健康経営を推進して人材面を強化することで、企業としての生産性を向上させることをクロレラ工業は目指している。

【石井 ゆかり】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:板波 英一郎
所在地:東京都港区浜松町1-18-16住友浜松町ビル7F
設 立:1964年6月
資本金:1億5,000万円
URL:https://www.chlorella.co.jp/

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