2024年05月06日( 月 )

【業界ウォッチ】変わる年末年始営業

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 年末年始が近づき、歳末商戦も盛り上がりを見せるなか、ここ数年、スーパー、百貨店、外食の年末年始の営業に変化が見られる。とくに今回は、営業時間を短縮したり、休業したりする動きが顕著になってきた。

 その背景には、ますます深刻となっている人手不足と、企業の仕事と生活のバランスの調和の“ワークライフバランス”の向上を目指す働き方改革の推進があり、正月は家族と一緒に過ごしたいと従業員の思いに応える意味もある。

 ライフコーポレーションは全店で、マルエツも一部の店舗を除き元旦を休業することになった。サミット、ヤオコーはすでに今年から元旦に加えて2日も休業としており、来年も同様に休むことにしている。

 高級スーパーの成城石井も、今年から大晦日は、9割にあたる164店舗で営業時間を短縮、一部の店舗は通常23時閉店のところ5時間も早い18時の閉店となる。元旦は8割近い140店舗で休業、2日も前年よりも9店舗増やした25店舗で休業とする。

 外食も、「ガスト」や「バーミヤン」を展開するファミリーレストラン最大手のすかいらーくホールディングスが、大晦日の午後6時から翌日元旦の正午まで休業する。

 ロイヤルホストもほとんどの店舗で大晦日と元旦を休業、「天丼てんや」も元旦を休業することになった。

 年中無休24時間営業が売り物のコンビニにも動きが出てきた。「ローソン」が約100店舗で元旦休業し、売上への影響や休業後の来店客の増減、配送のオペレーションなどを検証する実験を行う。

 「セブン-イレブン」も、同様の立地の直営店と加盟店の約50店で実験を行うこととなったが、都心のオフィス街にあるなど来店客が激減する店舗などが対象で、限定的なものとなる。

 これに対し、初売りの福袋を買い求める人たちで賑わう百貨店は、多くの店舗が2日からの営業だ。

 しかし、「西武池袋店」は元旦から営業し、3日から営業だった三越伊勢丹も来年は2日に早めるなど逆行する動きもあり、百貨店にとって書き入れどきの正月はなかなか休業することは難しいのが実態だ。

 同じく初売りをする家電量販店は、ヤマダ電機は元旦を休業とするが、ビックカメラとヨドバシカメラは元日も営業する。

 また、大晦日から元日にかけて、人出が増える寺社の近くや観光地にある店舗、大型商業施設は営業するところがほとんどで、休業する動きはみられない。

 小売や外食の年末年始の営業は、食品メーカーや物流業者など関連企業にも影響がおよぶ。

 店舗を利用する消費者と店舗で働く労働者にとって、年末年始の営業はそれぞれの立場から考えると利害が相反する。初売りや初詣といった文化として定着している慣習もあり、その是非を問うことはなかなか難しい。

 せめて元日くらいは休みたいという声は大きく聞かれる。従業員満足度(ES)を高めるためにも必要と考える企業が増えている。

 そもそも、特別な出勤手当を払い人手を確保し営業してもそれに見合う利益が出ないケースもあり、これからも、年末年始の営業体制の見直しは確実に進んでいくだろう。

【西川 立一】

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