2024年05月03日( 金 )

日本版「#MeToo」裁判~女性蔑視・男尊女卑の日本社会(13)

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検察腐敗国家~隠蔽された決定的証拠

 デイリー新潮の一連の報道によれば、伊藤氏が犯行現場のホテルに連れ込まれた際のホテルのドアマンの目撃供述調書(司法警察員の面前で作成された正式の捜査資料。員面調書として刑事裁判では決定的な証拠となる)が存在するという。供述の要旨は、伊藤氏は泥酔状態であり、かつ、ホテルへの入室に抵抗し、拒絶していたという。これは誰が見ても山口氏の「性行為に同意があった」との主張を完全に否定する証拠である。

 このような員面調書があるにもかかわらず、検察は不起訴処分とし、検察審査会も不起訴相当の議決をした。これは論理的に、検察官が当該員面調書を無視したものであり、検察審査会の審査員は当該調書を読まされていないことを意味する。これは新たな犯罪である。

 今後、民事裁判は控訴審の審理となるが、当該調書の存在とその内容が主張立証されることは明白である。このため、世間のいい加減な裁判予測に反して、高裁が第一審の判決を覆すことはない。ただ、高裁がすぐに判決をだすかどうかは別問題である。(管轄)裁判所は後述するように、検察と一体となって、検察審査会に不起訴相当の議決をさせた。国民が、この重大矛盾に関心を持たなくするためには、第二審判決をできるだけ延ばすことである。

 経験的に言えば、高裁の裁判体が検察と一体感をもった裁判官達であれば、この最後の手段を弄すると思われる。逆に、誠実な裁判官達で構成された裁判体であれば、判決は迅速に下される。

「新た」な犯罪

 検察審査会が不起訴相当の議決をしたことは、新たな犯罪である。それは11名の素人の審査員が何らかの犯罪行為を行ったという意味ではない。また、検察官の不起訴処分は、実質的には権利濫用(職権濫用罪)であるが、検察官が仲間の検察官を公訴提起するはずもなく、また、検察官の不起訴処分を直接、公務員職権濫用罪として準起訴手続きで起訴した例はない。もともとは告訴事実についての刑事処分の当否であるから、それをしないでよいようにしたのが、検察審査会制度である。しかし、現実には検察審査会制度の悪用が生じた。 

 本件の「不起訴処分」と「不起訴相当議決」は似たような刑事司法処分であるが、本質は全く異なる。

 筆者の論理では11名の審査員は被害者である。法に基づく検察審査会の審査員としての公的業務を妨害された被害者である。

 誰が加害者か。議事録や議決書など、審議過程の一切が隠蔽・秘密とされており、審査員も厳重な守秘義務が課せられているため、正当な意見や体験の公表をすることができない(11名の審査員のうち、一人でも、上記員面調書を読まされていないと体験発表すれば、以下の推論の必要性は全くなくなる)。この状況下では論理的な推論によって、犯罪者を論定していくほかない。

 犯罪行為は、決定的な上記員面調書の隠蔽と、検察審査会審査員の業務内容についての虚偽説明・教示と推定できる。これにより、11名の審査員は正当な業務遂行が妨害された。

 審査員らに接触し、これらの犯罪行為が可能であった人間は、法令で定めた組織規定では管轄裁判所に選任された補助審査員たる弁護士と裁判所職員で構成される検察審査会事務局員と事務局長である。

(つづく)
【凡学 一生】

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