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2020年01月09日 15:57

中小企業が“主役”になれる時代がやってきた!(前) 一樹百穫 

シンクタンク・ソフィアバンク 代表 藤沢 久美 氏

 不確実な時代を生き抜くリーダーにはどんな能力が求められるのか。正解などもちろんなく、どの選択肢を選んでも副作用(リスク)がついてくる現代、どのようにしたらチームや組織を活性化させることができるのだろうか。民間シンクタンク・ソフィアバンク代表の藤沢久美氏に聞いた。藤沢氏は「勇猛・大胆、ついていきたくなるカリスマ性、頼りになるボス猿」というリーダー像のイメージは過去のものになりつつあり、「一流のリーダーの多くは、内向的で、心配性で、繊細である」という。また今回、藤沢氏はインタビューのなかで、終始一貫「小さな企業の現場にこそ日本の未来がある」という姿勢を崩さなかった。それはなぜなのだろうか。

ビジョンを提示すること、決めること、環境を整えること

 ――これからの経営者像、また企業の人材採用・育成についていろいろとお聞きしたいと思います。その前に世界・日本の経営者の現状について少し俯瞰していただけますか。

 藤沢久美氏(以下、藤沢) おそらく、経営者の人物像そのものはそんなに大きく変わっていないと思います。しかし「第4次産業革命」という言葉にも象徴されますように、世界を取り巻く技術(ロボット工学、人工知能・AI、ブロックチェーン、ナノテクノロジー、量子コンピュータ、生物工学、モノのインターネット・IoT、3Dプリンター、自動運転車など)は大きく革新しました。このような時代、経営者1人が計画して何かを進めて行こうとするやり方では、世の中のスピード(「先週喜ばれたものが、今週には陳腐化している」)に追いついていけません。

 そう考えていくと、これから経営者がやらなければいけない大きな役割は3つあると思います。1つ目は「ビジョンを提示すること」です。ビジョン(「メンバーがワクワクして自ら動き出すような働く目的」)で思いを伝えることが大事で、共感してもらった後の実際の動きは現場に任せていくことです。新しい発想は経営者よりむしろ現場の人に出してもらうことが必要になります。

 2つ目は「決めること」です。経営者はその事業を“やるかやらないか”そして“誰に任せるのか”をスピーディーに決めることができないといけません。また、やった後は、“止めるのか続けるのか”も的確に判断できないといけません。

 3つ目は、先の2つにも関係することですが、現場の人が「成長できる環境を整えること」です。

視野が広く、時間軸が長く、人間について深いのです

 ――先生はダボス会議※などで世界の経営者とお会いする機会も多いと聞いています。日本の経営者と比較して何か違った点を感じましたか。

 藤沢 私はダボス会議に行って正直大きな違いを感じました。それは世界のリーダー・経営者が必ずもっていると思われる3つの視点についてです。

 1つ目は「広さ」です。その視野の広さは、地域、国、地球を超えて宇宙「今宇宙で何が起きているか」にまでおよんでいます。

 2つ目は、「長さ」です。過去は宇宙誕生の138億年前まで遡り、未来は100年後、1000年後に人類が「宇宙に移住している」という時間軸で語られます。

 3つ目は、「深さ」です。高邁な精神である世界平和、人間の美しさなどについて語られる一方、人間のもつどろどろとした醜さ(悪意、汚さなど)までとても幅広く語られます。

 すなわち、世界のリーダー・経営者は、日本のリーダー・経営者に比べて、「視野が広く、時間軸が長く、人間について深い」のです。

 ダボス会議には、企業家や政治家、学者の他に、非政府組織NGOの方も招かれています。今申し上げました3つのことは、世界的ビジネスを展開する企業家だけでなく、世界の片隅で人道支援をやっている非政府組織・NGOの方にも共通しています。

(つづく)
【金木 亮憲】

※【ダボス会議】
世界経済フォーラムの通称:世界の大手企業などで組織する民間団体、世界経済フォーラム (本部ジュネーブ) が毎年1月、スイスのダボスに世界を代表する企業家や各国の政治家、学者、非政府組織 NGOを招いて開催する年次総会。世界が直面する問題を明らかにし、それについての議論の場を設けること、また、経済界あるいはそのリーダーが世界のより幅広い問題に目を向け、それに取り組むよう促すことが目的となっている。

<プロフィール>
藤沢 久美(ふじさわ・くみ)

 大阪市立大学卒業後、国内外の投資運用会社勤務を経て、1996年に日本初の投資信託評価会社を起業。99年、同社を世界的格付け会社スタンダード&プアーズに売却後、2000年にシンクタンク・ソフィアバンクの設立に参画。現在、代表。07年には、ダボス会議を主宰する世界経済フォーラムより「ヤング・グローバル・リーダー」に選出され、07年には、世界の課題を議論する「グローバルアジェンダカウンシル」のメンバーにも選出され世界40カ国以上を訪問。政府各省の審議委員、日本証券業協会やJリーグ等の公益理事といった公職に加え、静岡銀行や豊田通商など上場企業の社外取締役なども兼務。自身の起業経験を基に、NHK教育テレビ「21世紀ビジネス塾」のキャスターとして、全国の中小企業の取材を経験後、国内外の多くのリーダーとの交流や対談の機会に積極的に参画し、取材した企業は1000社を超える。現在、政官財の幅広いネットワークを生かし、官民連携のコーディネータとして活躍するほか、ネットラジオ「藤沢久美の社長Talk」のほか、書籍、雑誌、テレビ、各地での講演などを通して、リーダーのあり方や社会の課題を考えるヒントを発信している。

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