2024年04月24日( 水 )

明暗が分かれた2019年の福岡プロスポーツ(前)

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 平成から令和に御世代わりした2019年。国内のスポーツ界は、大いに盛り上がった。そのようななか、福岡県内のプロスポーツ界においては、明暗が分かれた1年だった。県内のプロ球団およびクラブである福岡ソフトバンクホークス、アビスパ福岡、ギラヴァンツ北九州、ライジングゼファーフクオカの2019年をまとめた。

対ドラゴンズ戦

王者の証・圧倒的強さ、ホークス

 2019年のパシフィックリーグのレギュラーシーズン(ペナントレース)143試合は、76勝62敗5分、勝率5割5分の2位でリーグ優勝を逃した福岡ソフトバンクホークス(以下、ホークス)。それでも、クライマックスシリーズ(CS)は、ファーストステージで東北楽天イーグルスと対戦し、2勝1敗でファイナルステージに駒を進めた。

 ファイナルステージは、埼玉西武ライオンズと対戦。埼玉西武にアドバンテージ1勝がカウントされていたものの、その後の戦いは4戦無敗で日本シリーズへ進出した。日本シリーズは、セントラルリーグ覇者・読売ジャイアンツとの対戦で、4戦無敗で3年連続10回目(南海ホークス・福岡ダイエーホークス時代含む)の日本一を達成。CSから10連勝と破竹の勢いで偉業を達成した。

 もともとシーズン前からその安定した戦力が高く評価され、「今年(2019年)も日本一は間違いない」と予想されていたホークス、その下馬評通り勝ち星を重ねていった。開幕前の投手陣は、和田毅、岩嵜翔、石川柊太、デニス・サファテ、さらにリック・バンデンハークも腰の張りにより戦線を離脱。野手陣でも中村晃が右腹斜筋挫傷、さらに攻守の要である柳田悠岐が開幕後に左半膜様筋腱損傷を発症し、長期戦線離脱を余儀なくされた。

 さらに、今宮健太がコンディション不良などで戦線を離脱するなど、主力選手の故障が相次いだ。

 それでも、アルフレド・デスパイネ、ジュリスベル・グラシアルの両主砲、ベテラン内川聖一、松田宣浩がシーズンを通して攻守とも安定・堅実な活躍ぶりを見せ、さらに周東佑京、牧原大成、釜元豪、上林誠知ら若手選手の台頭により、主力選手の戦線離脱をリカバリーした。

 投手陣においては、いまや「日本の」エースである千賀滉大が13勝8敗防御率2.79の優れた成績でローテーションの柱として奮迅。奪三振227でタイトルを獲得した。千賀は、9月6日の千葉ロッテマリーンズ戦で史上80人目のノーヒットノーランを達成した。育成選手出身で初、そして令和に入ってからは初のノーヒットノーランとなった。

 また、ホークスとしても、ノーヒットノーランを達成したのは前身である南海時代の1943年5月26日に対大和軍戦にて別所昭が達成して以来76年ぶり2人目の快挙。ほか投手陣においては、ルーキーながら甲斐野央が65試合に登板し、セットアッパーとして投手陣を支えた。こうした活躍の最大の要因は、ホークスが3軍制を敷いていることにある。選手を常にチーム内で競わせ、高いレベルを維持・向上させている球団マネジメントこそ黄金時代を支える影の主役といえる。今期も不動の強さを披露するだろう。

(つづく)
【河原 清明】

(後)

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