• このエントリーをはてなブックマークに追加
2020年01月24日 11:00

明暗が分かれた2019年の福岡プロスポーツ(後)

昨季最下位からの飛躍・ギラヴァンツ

 日本プロサッカーリーグ(J.LEAGUE)のJ3に属するギラヴァンツ北九州(以下、ギラヴァンツ)。2019年シーズンは19勝6敗9分でJ3優勝を決めた。

 昨季(18年シーズン)は、6勝17敗9分。J3の17チームで最下位に沈んでいた。巻き返しを図るべく、ギラヴァンツの玉井行人社長は、「中長期的な観点から、改めてチームの基盤づくりに取り組んでいく」ことを表明し、サッカー界では名指導者として名高い小林伸二氏を監督兼スポーツダイレクターに招聘した。小林監督は、徹底したフィジカル強化のためのトレーニングを実践し、2部練習を導入して選手にハードワークを求めた。

 さらにシーズン前の選手補強においては、強豪・名門の大学や高校から有望選手を獲得し、シーズン中も他クラブから補強を進めるなど、強化・編成面でも積極的な活動を実践した。

 フロントと現場が一体となったギラヴァンツは、リーグ戦開幕から4連勝し、Jリーグ加盟から10シーズン目にして初、JFL加盟時代の2シーズンも含めて、全国リーグではクラブ初となる首位に立つ。その後も好調さをキープしながら、第26節から6戦負けなしと上昇気流に乗った。

 さらに第32節のホーム戦で讃岐に勝利し、J3の2位以上が確定。4シーズンぶりのJ2復帰が決定した。第33節、ガイナーレ鳥取戦で引き分けたものの、同節で2位藤枝MYFCが敗れたことで優勝が決定した。前年のJ3最下位から劇的復活をはたしてのクラブ初タイトルを勝ち取った。前年の最下位チームが翌年に優勝するのはJ1、J2、J3を合わせて史上初の快挙となった。

 総得点数は18年シーズン22から19年は51と倍増以上となり、失点は18年42から19年は27と大幅に改善した。27失点は、リーグ最少でもある。

 ギラヴァンツの大躍進は、フロント・現場とも危機感を共有し、対処的なチーム立て直しでなく、根本からチーム再生を実行することを決断し、ハードワークというシンプルで地道な強化が実を結んだ。来季は、16年シーズン以来のJ2復帰となり、スピード・フィジカリティそして戦略・戦法がより高度化することは必至である。Jリーグ史上初の快挙を成し遂げた戦力で、どこまで上位に食い込めるか、要注目だ。

資金難で迷走、ライジングゼファー フクオカ

 ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(B.LEAGUE)のB2西地区で戦う、ライジングゼファー フクオカ(以下、ゼファー)。2018-19シーズンは、BリーグのトップカンファレンスであるB1の西地区で戦ったが、12勝48敗で勝率.200。6チーム中5位でシーズンを終了した。さらにシーズン中に、ゼファー運営会社のライジングゼファーフクオカは1億8,000万円の資金ショートが表面化し、4月29日までに資金調達の見込みが明確にならなければ、最悪のケースで「リーグから撤退」もあり得た。

 期限直前に、地元福岡に本社を置く健康補助食品製造・販売のやずやなどの支援によりリーグ撤退は免れたものの、B1ライセンスは交付されず、B2ライセンス交付となりB1から降格した。その影響で、主力選手のほとんどが退団し、戦力ダウンを余儀なくされた。

 2019-20シーズンは、B2西地区から再スタートし19年9月21日に開幕を迎えた。1月20日現在、9勝25敗勝率2割6分台と低迷。6チーム中最下位と苦戦している。球団マネジメントは19年8月に代表が交代し、経営陣も一新された。ゼファーの再生は、今後資金的な基盤を構築できるかにかかっている。選手補強など編成のテコ入れが急務である。

J2残留したものの、……アビスパ

コーナーキックに合わせる、アビスパ福岡の大型新人、三國ケネディエブス選手
コーナーキックに合わせる、アビスパ福岡の大型新人、三國ケネディエブス選手

 最後にJリーグJ2のアビスパ福岡(以下、アビスパ)。2018年シーズンまで4年間監督として指揮した井原正巳氏(現・J1柏レイソル・ヘッドコーチ)が退任。2019年シーズンは、新監督にイタリア・エラス・ヴェローナFC前監督のファビオ・ペッキア氏が就任し、新体制でのマネジメントに期待が寄せられた。

 ペッキア監督のもと、主導権をもった組織的かつ攻撃的なサッカーを目指すも19年2月24日開幕(対FC琉球)から4戦勝ち星なしで苦戦を強いられた。さらにペッキア監督が6月3日付で退任、同日付でコーチの久藤清一氏が監督に昇格して采配を振るった。厳しいチーム事情のなかチーム一丸となって健闘したものの、42試合12勝22敗8分の22チーム中16位でシーズンを終えた。

 課題であった得点力不足はシーズン中に解消されたとはいえず(総得点39)、失点が62と攻守とも不調に終わった。辛うじてJ2には残留したものの、クラブおよびサポーターとも満足いくシーズンではなかった。

 11月25日に同じJ2の水戸ホーリーホックで指揮を執っていた長谷部茂利氏が新監督に就任。さらに強化部長には、柳田伸明氏が就任して体制を一新させた。

 アビスパは、J2下位に甘んじていいチームではない。2020年は、組織的かつ攻撃的なサッカーに加えて選手が1対1の局面で必ず勝つハードワークの継続が求められる。これまで以上の過酷なトレーニングを追求していくことが先決である。

(了)
【河原 清明】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2020年09月19日 07:00

WITHコロナで柔軟対応戦略を展開NEW!

 「コロナ襲来でこんなに社会活動が規制されることを想像したこともなかった」と諸藤敏一社長が溜息をつく。しかし、立ち止まることはない...

2020年09月19日 07:00

【凡学一生のやさしい法律学】香港で起きていること~国家統治の基本となる三権分立(前)NEW!

 国の政治状況には、騒乱期と安定期がある。騒乱期には政治的争点は直ちに露見され、騒乱を激化させる。一方で、安定期には本来であれば政治的争点となる「不都合な真実」を支配...

2020年09月18日 17:48

【9/18~30】カイタックスクエアガーデンがスイーツなどのポップアップショップをオープン 新たなカルチャー発信を目指す

 「カイタックスクエアガーデン」は本日から、ポップアップショップやプロモーション拠点などとして利用できる「ワスクポケットショップ」をオープンさせた。

2020年09月18日 17:22

小田孔明選手らが豪雨被災地に義援金~復興への願い込めアスリートが数百点のグッズを無償提供

 九州出身のプロゴルファーの小田孔明選手らは、7月の豪雨で甚大な被害を受けた九州の3都市(福岡県大牟田市、熊本県人吉市、鹿児島県鹿屋市)に義援金を届けた。被災地が悲惨...

2020年09月18日 17:15

【書評】岡田勢聿の『自立論』~自らのチカラで生き抜く思考法

 青少年の自立支援を行う(一社)自立研究会は、コロナ禍で安定雇用の崩壊が深刻化するなか、いかにして自らのチカラで生き抜くのかということを主題にして、実業家・岡田勢聿氏...

2020年09月18日 17:07

医者の診断を断って、AI診断へ切り替えよう

 肺がんに罹患している友人A氏の証言を紹介しよう...

2020年09月18日 17:00

コロナで綱渡りの百貨店 高い損益分岐点、収益大幅悪化は必至

 コロナ下で百貨店が綱渡り経営を続けている。博多大丸以外は損益分岐点比率が高く、岩田屋三越とトキハ、井筒屋は95%を超え、山形屋は105.0%で、わずかな減収で赤字に...

2020年09月18日 16:52

地銀の経営統合~「待ったなし」を検証する(後)

   【表1】を見ていただきたい。47都道府県の地銀の状況表である。 ~この表から見えるもの~ ◆全国47都道府県にある地銀は、第一地銀64行、第二...

2020年09月18日 16:45

新型コロナワクチンの開発に成功したと豪語するプーチン大統領と世界の反応(後)

 とはいうものの、「スプートニクV」に限っていえば、すでに触れたように、あまりにも少ない治験データであり、その効果の程は「神のみぞ知る」といったところかもしれない...

2020年09月18日 16:30

ユニバ裁判、創業者の控訴が棄却に

 パチンコ・スロットメーカー大手、(株)ユニバーサルエンターテインメントは、17日、同社の創業者で、元取締役会長・岡田和生氏との裁判において、岡田氏の控訴が棄却された...

pagetop