2024年04月16日( 火 )

若手ビジネスパーソンに伝えたい仕事の本質~「傍を楽にすれば、仕事はうまくいく」(3)

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(株)Kアライアンス・ジャパン 川邊 康晴 氏

アライアンスで企業や社会の問題を解決

 以前、私が勤めた西日本相互銀行は、1984年に他県に本店を置く相互銀行と合併し、西日本銀行として普通銀行となりましたが、実態はしばらく相互銀行のままでした。普通銀行としては新参者で、顧客からの信用を得るのに苦労していました。また、福岡は金融の町といわれ、都市銀行や福岡銀行さんはじめ、地方銀行の支店など強力なライバルが多く、激しい競争が繰り広げられていました。

 当時、給与振り込みが流行り始めたころでした。給与振り込みは、本社が指定した銀行しか振り込めません。個人の口座を開設していただいても、給与振り込みは指定銀行でないとほかの銀行に振り込まれてしまいます。だから、大手企業と取引しておかないと、個人のお客さままでほかの銀行を利用されるという問題がありました。

 それで、大手企業の経理部に営業に行きますが、「お宅と取引する理由はない」と新参者は相手にしてもらえません。そこで、「こっちがだめなら、別のルートで行こう」と発想を転換しました。ニーズのあるところ、困っているところに行けばひょっとしたらチャンスがあるかもしれないと考え行ってみると、「ちょうど困っていた」というような展開もあるわけです。

 たとえば、お客さまがこれから上場するのに準備室が必要だが、初めてのことなのでノウハウがない。上場準備室を始めようとしても、社内に人がいない。そこで、人を3年間出向させました。その後に、「こんなにしてもらって悪い」ということで取引が始まります。今まで「お金は要らない」といっていた難攻不落の担当者が、向こうから扉を開けてくれるようになりました。その時、開かずの扉はないということを感じました。

 「土地がこれだけある。何をしたら良いか」という相談も寄せられました。その時に社内を見たら、やれる社員がいない。融資はできますが、不動産の活用などということはやったことがない。だからといって、せっかく来た話を「うちではできません」と断るのは嫌だったものですから、自分たちよりもすばらしいノウハウをもった人たちと連携しようと動き始めました。

 これがアライアンスです。アライアンスとは業務提携。アライアンスという言葉には、「提携」とともに「同盟」という意味があります。同盟は一緒に永久にやっていく関係です。このアライアンス先を増やそうと考えました。そうしなければ、自分たちの戦力では足りませんでした。これからの企業は、社会やお客さまの問題解決をし続ける会社でないと生き残っていけません。お客さまに喜ばれることをやっていれば、支持される企業になります。本業以外のことでもその発想は必要です。

 では、どこと連携すればよいのかと、弊社への相談が増えました。当社は小さな個人事務所です。しかし、この需要はもっと続くだろうと思い、つくり上げた人脈インフラを残すためには個人事務所ではいけないと考え、Kアライアンス・ジャパンを設立しました。

 名刺の数だけは10万枚ほどあります。そのうち、現役の方は1万人ぐらいです。亡くなったり、会社を引退されたり。名刺の数だけ多くても、生きたネットワークを常時メンテナンスしておかないと人脈はあっという間になくなります。

(つづく)

<COMPANY INFORMATION>
代 表:川邊 康晴
所在地:福岡市中央区大名2-4-19
設 立:2005年9月

<プロフィール>
川邊 康晴 (かわべ・やすはる)

 1935年、福岡市で生まれる。九州大学法学部卒業後、西日本相互銀行(現・西日本シティ銀行)に入行。92年専務、98年西日本経営情報サービス(現・NCBリサーチ&コンサルティング)社長、2001年会長。現在は、川邊事務所会長、(株)Kアライアンス・ジャパン代表取締役会長。著書に『アライアンス・パワー「三方一両得」の経営』、『傍楽』がある。

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