2022年05月27日( 金 )
by データ・マックス

副都心形成へ 生まれ変わる熊本駅周辺エリア

熊本の新たなシンボルに

「熊本駅ビル」イメージ
「熊本駅ビル」イメージ

 九州旅客鉄道(株)(以下、JR九州)が、熊本駅周辺での開発を促進させている。現在進められている「熊本駅周辺開発」は、JR九州の中期経営計画での「拠点地域の戦略的まちづくり」の1つとして位置づけられており、グループの開発ノウハウを結集し、地域の特性を活かしながら駅を拠点に新たなまちをつくり、賑わいを広げていくもの。駅を拠点に駅ビル、オフィス、ホテル、マンションなどのさまざまな機能をそろえた「住みたい、働きたい、訪れたい」新たなまちを形成していくことを目指している。

 その核となる「熊本駅ビル」は、地上12階・地下1階建てで、延床面積約10万9,000m2の複合型の商業施設。地上1階から8階までは商業施設となり、7階部分には九州エリア初出店となる(株)松竹マルチプレックスシアターズ(東京都中央区)が手がけるシネマコンプレックスが入るほか、8階部分には(株)アルカディア(福岡県久留米市)が手がける多目的バンケットホールとしても利用できる結婚式場が入る。また、地上9階から12階には、JR九州グループで展開している宿泊主体型ホテルの最上位ブランド「THE BLOSSOM」(ザ ブラッサム)」(約200室)が入居する予定となっている。

 また、1~7階部分には「水と緑の立体庭園」を整備する。これは、JR九州としても初めての試みとなる屋内庭園で、落差約10mの滝を含めた水と緑の潤いのなかに店舗を配置することで、憩いと賑わいを感じる空間を創出。そのほか、駅ビルの大屋根上部広場や駅前広場を中心にさまざまなイベントの開催や情報発信を行うことで、熊本の陸の玄関口としての賑わいを創出していく。同駅ビルはすでに19年3月に着工しており、21年春の開業予定。開業の暁には熊本駅前のランドマークとして、熊本の新たなシンボルとなることが期待されている。

「熊本駅北ビル(仮称)」イメージ
「熊本駅北ビル(仮称)」イメージ
白川口イメージ
白川口イメージ

 核となる駅ビルのほかに、「熊本駅北ビル(仮称)」と「熊本駅西ビル(仮称)」、さらに新幹線口側にもう1棟の計3棟のオフィスビルの開発も予定している。

 北ビル(仮称)はオフィスをメインとした複合型施設で、地上12階建て、延床面積は1万7,000m2。1~3階部分が商業施設で、4~12階部分がオフィスとなる。商業施設では、駅前広場を挟んで向かい側の熊本駅ビルとは差別化を図るかたちで入居テナントを誘致し、駅ビルと相互に駅前一帯の賑わいを創出していく。また、メインとなるオフィスエリアでは、駅直結という好アクセスと、1フロア最大300坪超のワイドなオフィス空間を強みに、入居企業を誘致。開発発表からわずか1年で、早くも約9割の入居が決定しているという。同ビルはすでに19年7月に着工しており、20年12月の竣工予定。

 西ビル(仮称)は駅西側の「熊本駅第2駐車場」に隣接する地上4階建て、延床面積3,600m2のオフィスビルで、1~2階部分が商業・オフィス、3~4階部分がオフィスとして使用する計画。20年1月着工で、北ビル(仮称)と同じく12月の竣工予定となっている。

 住居系の開発としては現在、「(仮称)RJR熊本駅前」が進行中だ。同物件は地上14階建て、延床面積約6,930m2の賃貸マンションで、計画戸数は144戸。すでに19年6月に着工しており、竣工は21年1月を予定している。JR九州が発表している計画図では、駅周辺の住居系用地にはまだ余裕があり、今後も順次開発プロジェクトが進んでいくと見られる。

 それ以外では、高架下を活用した商業施設「肥後よかモン市場」が18年3月に開業しているほか、駅周辺に新たに3棟の立体駐車場を整備する予定。なお、現在公表されているスケジュールは、駅ビル開業などを予定している21年春までだが、以降もオフィスビルや住居系開発を進めていくとしている。

 JR九州の熊本開発プロジェクト担当部長・中村勇氏は、「熊本駅周辺は、弊社の新幹線駅整備や連続立体交差化事業などと合わせて、行政側でも土地区画整理事業や街路事業、駅前広場整備など“副都心”としての整備を進めてきたという背景があります。駅周辺には弊社の用地が約7万m2あり、まだまだ開発可能な余地がありますので、これを最大限活用しながら賑わいをつくっていきたいと考えています」と意気込む。

官民一体で開発推進

 JR熊本駅周辺では近年、駅東側で情報交流施設や高層マンションなどからなる開発プロジェクト「くまもと森都心」のほか、駅南側の熊本地方合同庁舎など、交通結節点の強みを生かした都市機能の集積が加速している。県と市でも、熊本駅周辺を「副都心」と位置付け、駅周辺における良好な都市空間の形成を図るとともに、デザインの統一性や長期にわたるデザインの一貫性を図るために「熊本駅周辺地域都市空間デザイン会議」を設置。官民一体となって、同エリアの開発を推進している。

 JR九州でも熊本駅ビルおよび熊本駅周辺の商業施設を一体的に管理し、専門的かつ効率的に運営するため、20年2月4日付で新会社「(株)JR熊本シティ」を設立。地域により密着した運営を行い、熊本駅周辺の魅力向上と賑わい拡大に努めて「住みたい、働きたい、訪れたい」熊本づくりに貢献していくのが狙いだ。

 「熊本市が掲げている“誰もが憧れる上質な生活都市くまもと”や、県が掲げている“幸せ実感くまもと”などと同じ方向性のなかで、我々も一緒になって熊本のまちづくりに取り組んでいきます。駅周辺の開発を通じて、熊本の魅力をさらに高めていくのに寄与していきたいと考えています」(JR九州・中村部長)。

 21年春の駅ビル開業によって、熊本の“陸の玄関口”が新たなステージを迎える。一連の駅周辺開発が、熊本のまちに新たな賑わいをもたらすことに期待したい。

【坂田 憲治】

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